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独立機動艦隊『紀伊』―連合艦隊大勝利!  作者: 草薙
プロローグ―変わりゆく太平洋戦争
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第9話 日本の心『大和』

アメリカ合衆国大統領は機動部隊壊滅の報を受けて誰にも部屋に入らないように言ってから部屋の中で頭を抱えていた。

「なんということだ…」

ルーズベルト大統領が嘆いているのは何も太平洋艦隊だけの話ではない。

パナマを破壊され、さらに機動部隊の壊滅である。

いくら、空母を増産しているとはいえ軍の士気の低下は避けられない状況であったのだ。

従って情報操作を行い日本の空母4隻破壊とミッドウェー海戦の勝利を大々的に取り上げ、アメリカの機動部隊の壊滅はなるべく伏せるように言明した。

しかし、人の口にチャックは出来ないとはよく言うもので噂レベルではあるが

アメリカ機動部隊の壊滅とパナマ運河の破壊はすでに全国民に知れ渡ることとなっていた。

大きな視点で見るならばその被害は微々たるものだ。

パナマ運河の修理は1ヶ月もあれば終わる程度であったし空母の増産も進んでいる。

壊滅した機動部隊もすぐに復活するだろう。

だが、しかし、実際の日本艦隊と戦ったスルプーアンスからの報告がさらにルーズベルトの頭を痛ませる原因となっていたのである。

日本軍のジェット戦闘機の実戦投入、そして、なんと誘導式のロケット弾を開発したというではないか。

これは由々しき問題である。

反撃の戦力を整えるのも時間がかかるだろう。

この危機的状況を打開するためにはドーリットルの東京空爆並みのことをし、アメリカは勝っているということを国民に見せ付けねばならない。

しかし、空母がない。

足りないとルーズベルトは思った。

更なる造船所が必要だ。1年に空母が70と少し程度では生ぬるい。

叩き潰してやるとルーズベルトは思い受話器に手を伸ばした。

この後アメリカ政府は臨時の国営の造船所を多数建設する。

これもまた、未来の連合艦隊…これからは独立機動艦隊と呼ぶがかれらが現れたことによる影響だった。




その日の天皇陛下との会見は極秘の扱いで行なわれた。

東條総理が事前に謁見し恐れ多くも未来から来たものとあってほしいというと

昭和天皇は以外にも是非あってみたいと日向を呼び寄せたのである。

無論これは公式な記録には残らない極秘の話である。


「そちが未来から来たという男か」

極秘の謁見ということもありそこは何の変哲のない部屋である。

西洋風の部屋というべきか木で出来た机と椅子。

いわゆる会議室に近い部屋だがそこに昭和天皇はいた。

さすがに日向も昭和天皇がこのような形で接触してくるとは思っていなかったので

一瞬固まってしまった。

何せこの時代、天皇とは日本民族にとって神と同意義の存在であったものなのだ。

無論謁見は望んではいたのだが…

「どうした?私の顔に何かついておるのか?」

日向ははっとして敬礼した。

「失礼いたしました陛下!私は2042年に存在していた日本連合艦隊司令長官を務めて

いました日向 恭介です」

「未来よりの旅路。大儀である」

昭和天皇は言った。

なるほど威厳があると日向は思った。

この昭和天皇という人物は柔軟な思考の持ち主であったと読んだ資料に乗っていた。

1つの例を挙げるが宮中では天皇に使える女官はいわゆる『側室候補』として未婚で住み込み勤務とされていた女官の制度を改め既婚で、自宅通勤を認めるという時代にあった

改革を行なった。

柔軟な思考の持ち主であったことからおそらく未来の話を聞いてもさほど驚かなかったのだろう。山本五十六、東條英機が信じたことを聞きこうして日向とあってくれたのは

おそらくは最終的な確認がほしいため。

そう、パソコンの中の情報だ。

従って日向は改めてパソコンの情報と合わせて未来の日本の話をした。

天皇はそれを真剣な顔つきで聞いていたがやはり日本の滅びを聞くと悲しそうな顔になった。

「そうか…日本は滅ぶか…」

「陛下。それをさせないために我々は来ました。必ずこの戦争を勝利に導き、新しい日本を作り出します」

滅びではない未来永劫続く日本。

それには様々な困難もあるだろう。だが、それをなさねば日本は滅ぶ。

「それで日向よ。私に何か言うことがあるのではないかな?」

「はい、実は陛下にお頼みしたいことが…」

それを聞き終えた昭和天皇はしばらく黙り込んでいた。

同時に聞いた東條も怒りを押し殺して日向を見ている。

こいつ陛下になんと言うことをという顔だ。

しかし、昭和天皇は次の瞬間微笑み言った。

「よかろう日向の条件を飲もう。東條!」

「は、はっ!」

突然名を呼ばれて東條は慌てて背筋をぴんと伸ばした。

「今、日向が言っていたことは聞いたな?私が日向の後ろ盾だてとなる。

日向の言葉は私の言葉と思え」

「し、しかし…」

「東條!私に逆らうか?」

「めっそうもない!」

東條は慌てて言った。

「ありがとうございます陛下。この恩義、2度と忘れません」

昭和天皇はうなずくと

「日本を救ってくれるものの言葉だ。本来なら私以上に発言力があっても

よいぐらいだ」


最終目的はクリアされた。この大日本帝国においては天皇の言葉は神の言葉と同義である。

その天皇が後ろ盾についてくれた以上。最低でも総理以上の発言力を得たに等しい。

だが、いかに天皇が後ろにいるとはいえ勝手は許されない。

権力で無理やり従わせてもそれはいずれ摩擦を生みだし、日本のためにはならない。

しかし、日向の考える日本再興への道はようやく第1段階を終えたのである。




東京の郊外にある野原から飛び立ったSH-60シーホークは日本で初めてとなるヘリコプター特有の音を立てながら呉を目指していた。

正確に言うならば今、目指しているは少し日本から離れた海域にいるはずの機動艦隊である。

天皇や東條の許可をもらった今となっては隠れている必要もなく。全艦隊は呉へ入港する準備を進めていた。

横須賀にということも可能ではあるがある程度の紀伊の戦闘を見た呉にいる艦隊と違い

見たことのない艦隊が横須賀に入港したら混乱が起こるということで呉への入港は

確定事項となっていた。

シーホークで行ける距離に艦隊は移動していたため日向達は呉に帰るという山本五十六を乗せて正式にはまだ、存在していない独立機動艦隊を目指していた。

そこにはそれぞれの役割を果たした戦艦『尾張』、『三笠』と空母群と輸送船団がいるはずである。

そのヘリの中山本五十六は日向に声をかけた。

「聞いてもいいかな?」

「はい?」

パソコンを使っていた日向は顔を山本に向けた。

「陛下に何を願ったのか気になってね。よければ教えてもらえないかな?」

パチっとパソコンを閉じると日向はいいですよと話し始めた。

そして、それは大まかに言うと次のようになる。

東條に出した条件もそうだがその他に一部をあげると


1、独立機動艦隊専用の滑走路を備えた基地及び港の設置。


2、日本国内の飛行場の増加


3、独立機動艦隊専用のミサイルを作る工場の創設


4、大和の機動戦艦への改装

ただしこれらの資金はこちらで用意する。


である。

ほとんどが機動艦隊関連だが最後の大和の改装という点に山本は驚いた。

「大和を機動戦艦に?」

日向はうなずき

「ええ、さすがに全ての艦を機動戦艦にすることは不可能ですが大和のみなら出来ます。

元より大和の機動戦艦への改装はすでに未来でも決まっていたことでそれに適した大きさの部品などもすでに用意してあります」

「しかし、なぜ大和を?」

と、山本が聞くと日向は遠くを見るような目をしながら

「大和は日本の心なのです」

「日本の心?」

山本が聞き返した。

「ええ、未来では大和は悲劇の戦艦という見方も確かにありましたが伝説の戦艦として

日本民族の心に深く刻まれた戦艦でもありました。その大和を守護神として生まれ変わらせるという考えは未来のこの計画で必然でした」

「そうか…大和は日本の心か」

と山本は言うと微笑んだ。

「日向長官!見えました。我らの連合艦隊です!」

ヘリコプター操縦士のうれしそうな言葉に日向と山本が窓から外を見る。

波立つ海原に艦隊がいた。

輸送船団を守るように空母が分散配置され、その艦隊の先頭には1隻の巨大戦艦『尾張』がいる。

「ほう、これが未来の連合艦隊か」

と山本が日向を見るが日向は目を見開いていた。

「どうしたのだ?」

山本が聞くが日向は海から目を離さなかった。

そして、怪訝な表情で

「三笠が…いない?」


ご意見、感想お待ちしております。

では、凜様予告を

凜「最近この作者、私に後書き依存しすぎてない?ただでさえ私の存在が賛否両論に

分かれてるのに作者がやる気をなくしたら終わりよ?」

作者「やる気はあります!」

凜「ふん、別にあんたなんかどうでもいいんだけど書いてくれないと私が困るしこんなところまで読んでくれた読者に申し訳が立たないわよ?」

作者「大丈夫です!やる気は…」

凜「さて、こんな作者は放っておいて次回予告ね。この世界には紀伊、尾張、三笠の3艦が戦艦としては来ているはずなんだけどよく探してみれば確かに三笠の姿がどこにもないわね。次は『尾張』艦長、椎名と恭介が何か話しする見たいね。まったく、藤宮だけ先に紀伊に返すなんて…。

恭介…早く帰ってこないとあなたの部屋全部ひっくり返すわよ?」

作者「やる気はあるんです(まだ、言ってるよ…)!以上凜様&作者でした!」


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