−エピローグ−少し賑やかな宴会
一晩明けてから、摩天龍が消えたことが文々。新聞でも取り上げられ里でも大きく話題になり、観光地が消えたことを嘆く人や、怪しげなものが消えて喜ぶ人もがいた。
そしてここ、博麗神社ではーー
「騒げー宴だぁー!」
「酒持ってこーい! 足りねぇぞー!」
こんな感じで異変解決ごの宴会が行われていた。
「結局こうなるのよね、関係ない奴がいっぱい来るしめんどくさいのなんのって」
「どうせお前も飲むんだから関係ないさ、ただ飯食えてんだからいいだろ?」
すでに頬を赤くしている魔理沙が霊夢の隣に座って置いてある酒をラッパ飲みする。他にも妖精や年の若い妖怪が踊るように飛び回り、プリズムリバー三姉妹が妖精の間に合わせるように音楽を奏で、博麗神社は久しぶりの大宴会になった。
「元凶はまたどっかで隠れて飲んでるんでしょうね、いつもそうだから慣れたわよ」
「あら、私だって時には表に出るわよ」
全く気配なく霊夢の隣に座っていた紫に声をかけられ霊夢は杯を落としそうになる。この妖怪は、本当に神出鬼没だ。
「慧音は寺子屋の仕事が終わってから来るって言ってたし、私は龍神との話もつけたからいつも通り接してね」
「ふん、普通に宴会来ていつも通りを求めてんじゃないわよ。そっちがいつも通りなら自然とそうなっちゃうでしょうが」
「やっぱり可愛いわね、霊夢は」
今の言葉に霊夢が勢いよく振り返るが、もうそこには紫はいない。あるのはいつも通りの日常、いつもよりもなぜかちょっと賑やかな宴会。
「やっぱりこれだから飽きないのよ、幻想郷って」
霊夢は幻想郷が好きだと言った。紛れもない正直な言葉で、それはこの幻想郷中に響き渡り、最東端に位置する博麗神社を中心にすべての幻想を受け入れる彼女だからこそ言える言葉なのだろうか。
とりあえず今は、この宴会を楽しんでいる住人たちを見れば、どれだけ幸せかはわかるようだ。
ふと、霊夢の杯のなかに一輪の桜の花が落ちた。