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103話 神気契約の内容っぽい

ペットボトルのジェンガ楽しい

炭酸類のペットボトルが入っていると難易度あがりますよね

 時は少し遡り、ヴェレスが神界でイザナミと神気契約した後の話。




「強斎の話をする前に……ヴェレス。お主にひとつ質問じゃ」

「は、はい」


 イザナミは少し間を置いてから、その質問をヴェレスにぶつけた。


「お主は、運命というものを信じるか?」

「運命……ですか?」

「うぬ」


 ヴェレスはほんの少しだけ考え、小さく頷く。


「私は信じます。ユウシさんやキョウサイさん、他の皆様に出会えたのだって偶然とは思えませんから」

「そうか……そうじゃな」

「えっと……その運命がどうかしたんですか?」


 イザナミが顔を伏せた気がしたが、ヴェレスは大して気にしていない。

 だが、次の言葉によって、顔を伏せた理由が明らかになった。


「妾はな……『その運命』を捻じ曲げるために幾度か邪魔をしたんじゃよ」

「え……?」


 ヴェレスは全く理解していない。

 イザナミはそれでも話を続ける。


「邪魔……なんてレベルではないな……。ある時はドレット王国を潰し、ある時は澪や強斎を奴隷にし、ある時は……強斎を、遠くの地に転移させた。他国の王の性格まで変えてな」

「え? ちょっと待ってください。ドレット王国を潰す? ミオさんやキョウサイさんが奴隷? どういうことですか?」


 イザナミは苦笑い気味に微笑んで、ヴェレスの質問の結論を叩き出す。


「妾が黒幕なんじゃよ。強斎がお主らと離れ離れになるように仕組んだ……その原因は妾なんじゃ」

「答えに……なっていません……。ドレット王国は未だ健在ですし、ミオさんも奴隷になんて――――」

「言ったじゃろう? 妾は運命を捻じ曲げたと」


 イザナミの強い視線にヴェレスは怯んでしまった。


「妾は、たった一つの運命を変えるためだけに、ありとあらゆる運命を捻じ曲げた。何も、この『時間軸』だけではないぞ」

「時間軸……? まさか……!?」


 ヴェレスはやっと理解したのだろう。

 イザナミはしっかりと頷き、再度口を開く。


「妾はな……何度も何度も同じ世界を見てきているのじゃ。いや、正確には『結果』が同じ世界を……か」

「イザナミ様は……私たちが今いる世界と別の世界で……ドレット王国を潰したり、ミオさんやキョウサイさんを奴隷にしたりしたんですか……?」


 ゆっくりと。しかし、どこか悲しそうにイザナミは頷く。


「何故……何故そのようなことを?」

「妾が変えたい……いや、変えなくてはならない運命はただ一つ。その運命を変えるためならば手段は選ばない」

「……その、運命は?」

「…………」


 イザナミは長いあいだ躊躇った。

 だが、結局は口を開く。


 その内容は、本来なら絶対にありえない。

 もし、そんなことが起これば……それ以上のことはヴェレスには想像できなかった。



「――――澪が強斎を殺す。それこそが全ての運命の終着点。何億と運命を曲げようとも、その『結果』だけは揺るぎなかった……」

「ミオさんが……キョウサイさんを……?」

「そこから先は知らぬ。気が付いたらあやつらが転移してきたところから始まっておった」


 イザナミは繰り返していたのだ。

 強斎たちが異世界転移してから、その終わりまでの間を……永遠と。


「この特殊能力を恨んだのはこれで二度目になるの……」

「キョウサイさんが……殺される? どうして……?」


 未だに混乱しているヴェレスの質問にも答える。


「あやつは最強じゃ。神々が束になっても傷一つ付けられんじゃろう……じゃが、澪だけは例外じゃ」

「ミオさんだけ?」

「あやつも特殊能力持ちでの……それも、特殊もいいとこなレベルで特殊じゃ。……『小鳥遊強斎』に対して無類の強さを誇る。それが澪の特殊能力じゃ」


 ヴェレスは開いた口が塞がらなかった。

 特殊能力の存在は知っていたつもりだった。

 ステータスの枠を超えた、神に等しい力。


 その能力の内容が……個人に対してのみ強くなるというふざけた能力。

 だが、その対象を考えれば特殊能力と言っても過言ではないだろう。


「つまり、その特殊能力によってキョウサイさんはミオさんに殺されると?」

「結果だけ言うと……な」

「そんなこと――――」

「ありえない。じゃろ? 澪の強斎に対する愛は尋常じゃない。そんな澪が強斎を殺すわけがない……と、言いたいのじゃろう?」


 ヴェレスは頷く。

 一緒に暮らして最初にわかったことは、澪の強斎に対する愛が怖いことだったから。


「じゃがな、それが現実で、起こり得る未来なのじゃ。澪は強斎を殺すまでは絶対に死ぬことはなく、強斎も澪に殺されるまでは死なない」

「……仮に、その未来が事実ならば……。キョウサイさんに直接言えばいいのでは?」

「何度も試そうとしたさ。じゃが、無理じゃった……。まるで何かに操られたかのように、喋ることができなくなったのじゃ……。強斎だけではない。他人に話そうとすると、全て制限がかかってしまうのじゃ」

「……」


 ヴェレスはふと思う。

 何故、自分にはこのように話せるのか?


「お主に話せる理由は幾つかある。ここが実際の空間とは別の世界であること。神気契約によって、話をしたという事実が事実でないこと。そして……お主が神の血を最も多く引き継いだ時空魔術師だからということじゃ」

「!?」


 ヴェレスは勢いよく立ち上がって、目を見開いた。


「初耳……みたいじゃな」

「あ、当たり前です! わ、私が神様の……? 有り得ません!!」

「何故そう言い切れる?」

「私はイザナミ様のように強くも美しくもありません……至って普通の人間です」

「普通……か。では聞こう。お主のような小娘が何故、優れた騎士に勝つことができたのじゃ?」

「それは……ステータスが私のほうが上回っていたからで……」


 イザナミは鼻で笑い、ヴェレスに座るように目配りした。


「数え切れないほどの魔物や人を斬ってきて、訓練も怠らない騎士が……ステータスで負けたと? それこそ異常だとは思わないのか?」

「そう言われてみれば……」

「勇者たちを召喚させた時だってそうじゃ。お主、その時の魔力量はかなり少なかったはずじゃな?」

「はい……」

「別の世界から五人を転移させる……魔法陣の補助があったとはいえ、普通の人間が出来る範疇を超えているはずじゃ」

「……」

「お主の父……ホルス・ドレットは恐らく知っておるじゃろう。お主と……本来の召喚主であるお主の姉の正体をな」

「お姉さま……が……召喚主?」


 ヴェレスの頭の中は今にでもパンクしそうだった。

 強斎が澪に殺されると言われ、この世界が繰り返されていると言われ、自分が神の血を受け継いでいると言われ……。

 それだけでも十分に混乱するレベルだが、まだまだそれが続きそうだった。

ホルスって、神様の名前なんですよ?知ってましたか?

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