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第3話 父の秘密

確か・・

私が20歳になった頃、加世子さんが浮かない顔をしてた時期があった。


『加世子さん、どうしたの?なんか心配な事でもあるの?』


継母ではあるが

私にとって加世子さんは姉のような存在。今更ママと呼ぶのは照れがあった。

加世子さんは、お弁当を作る手を止め、私の方を振り向く。

目に涙を溜めていた。


『パパに女の人でもいるの?』

私としたら何気に言ったのに、加世子さんは顔色が変わった。


『・・・そうみたい。おまけに子供までいるらしいの・・・。』

『ええ~!?』


この私に弟か妹がいる???

青天の霹靂ってのを初めて経験した気がする。

加世子さんは、その親子の住む家まで突き止めていると話す。

お節介にも、加世子さんに告げ口する人がいるようだ。


『もうパパったら・・私は加世子さんの味方だからね。』

留守がちの父にかわり

血の繋がらない私を可愛がってくれた加世子さんに恩義を感じていた。


そして、夏のある日、加世子さんと二人で、その女の家まで

偵察に行ってみた。

女は坂井真由美と言う。女と父がなんで知り合ったのかはわからないが、

うちから二駅先で、坂道の途中で隠れるようにある小さな家に住んでいた。


(することが卑しいので、家まで卑しい・・)


そんな事を思っていたら、何と、父親が出てきた。

私達二人は慌てて、陰に隠れた。その際壁に思い切り顔をぶつけ

アザをつくってしまった・・。


そんな私達の心配をよそに、父親は

『マーくんと風呂に行って来る。』なんて暢気に言いながら、

5歳くらいの男の子を連れて出かけて行った。

父は広い風呂にはいるのが好きで、よく近所のサウナに出かけていたのだ。


マー君は慣れた手つきで父に甘え、よく笑いながら

サウナの店に消えていった。


(あの子が私の弟???)


二人呆然と立ちすくんでいると、その女の家からいい匂いがしてきた。

炊き込みご飯でも炊いているのだろうか・・・

炊き込みご飯は父の好物だ。まだ時間が早いがサウナのお風呂上がり

いい気分で、女二人の心配をよそに、美味しそうにビールを飲み干す

父の姿が想像された。


(何やってんのよ~!!)


サウナの前で陣取って、父に蹴りの一つでもおみまいしようと

思ってたら、意外にも加世子さんが止めた。


『待って、もう少し様子を見ましょう。私にも考えがある。』


その後、加世子さんは思いも寄らない行動に出た。












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