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スペースバスターズの日常【2000文字】

作者: 有梨束
掲載日:2026/01/01

「マチー、こっち手伝って」

「ええ〜、さっきコウスケの手伝いしたばっかりだよ〜」

「人手が足りないんだから、文句は部長に言って」

「…はーい」

マチはランカに呼ばれて、宇宙船の中をスイーっと泳いでいった。


特殊能力は、世界中のみんなが持っている。

花を元気にする能力とか、お湯を適温にできる能力とか、5分を正確に計れる能力とか。

それらの多くはたまに役立つちょっとした能力ばかり。

マチが地球にいた時のクラス担任は、目で文字を書く能力が役立つから教師になった、と言っていた。

たまにそんな人もいる。

そんななか、能力者が求められ、集まっている場所が一つだけある。

それがここ、通称『スペースバスターズ』だ。

世界中から選ばれた老若男女が、今日もスペースバスターズとして活動している。

マチの時も『おめでとうございます。あなたは選ばれました。』という通知が来た、ふざけんなと思った。

結局はマチに断る勇気もなく、家族と離れ、友達と別れ、この宇宙船にやってきたのだった。


「あのデッカいゴミ見える?次はあれね」

「ランカさん、休憩しようよ〜」

「まだ終わってないでしょ」

「…うう、鬼ぃ〜」

「マチの能力があれば、すぐ終わるでしょ」

「みんな、私のことこき使いすぎじゃな〜い?」

「頼りにしてんのよ」

ランカがそう言いながら、宇宙船の窓から見えるロケットの残骸の方に手を伸ばした。

「そう言えばいいと思ってぇ〜」

口を尖らせて文句を言いながら、マチはランカの肩に手を置いた。

「いくわよ」

ランカの声に、マチは自分の能力を解放した。

ランカに触れている指先が熱くなっていく。

「いいね、さすがマチ。さーて、仕留めるわよ」

ランカが口元をニヤッとさせたと同時に、外のロケットの残骸が小さくなっていく。

ひゅーっと縮んでいって、あっという間に手のひらぐらいのサイズにまでなった。

「こんなもんかしらね。あとは、コウスケに回収してもらいましょう」

「だはーっ!もう疲れた!もう何にもしたくないー!」

ランカから手を離して、マチは手足をバタバタさせた。

宇宙船の中だ、無重力で手も足も動かし放題だ。

「ダメだ、能力使いすぎてお腹空いた〜!もう休みたい〜!」

「そうね、休憩にしましょうか」

「やったーーー!おやつにしよう!」

「はいはい、お疲れ様」

ランカが笑って、マチは走っていく勢いで食堂に向かっていった。


「あっ、コウスケが先に食べてる!ずるい!」

「マチの分も取ってあるよ。ほら、おつかれ」

「おお〜、ショートケーキだあ!いただきまーす!」

「あたしコーヒーが欲しいわ。部長の部屋からくすねてこようかしら」

「ランカさんがそう言うと思って、持ってきてあるよコーヒー」

「まあ、コウスケ気が利く〜。ついでに後で回収して欲しいのがあるのよ」

「わかった、どこにあるか教えて。食べ終わったらやっとく」

食堂にいたコウスケの横に座って、マチはショートケーキを頬張った。

窓から、地球が覗いている。

「うまあ〜〜」

「ゆっくり食べな、喉詰まらすぞ」

「ふはあ〜〜い」

「すっかり仲良しね、ふたりとも。マチが来た頃はケンカばっかりだったのに」

「俺が大人になったんだよ」

「私がここに慣れたからだよ」

「なんだ、みんな集まってるじゃないか。ご苦労様、今日の分は終わったのかい?」

3人で談笑していたところに、部長のダニーがやってきた。

「部長っ、もぐもぐ、今日はもう働きません!」

「マチ…、食べるか喋るか、どっちかにしな」

「ははは、まあ頑張ってくれたもんね。終わりでいいよ」

「やった〜〜!」

マチは両手を挙げて喜んだ。


そもそも、スペースバスターズとは?

それは、宇宙に漂うスペースデブリ、宇宙ゴミをどうにかすることを命じられた能力者の集まりだ。

宇宙空間は、むかーーーしの人間が出した宇宙ゴミでいっぱいなのだ。

地球が地球以外の惑星と交流を持つようになった時、それはひどく怒られたのだという。

『地球人は宇宙をゴミ箱だと勘違いしている!ゴミ回収をしないならば交流はせん!』と。

それで結束されたのが、『スペースバスターズ』。

要は、宇宙ゴミの掃除屋さんってわけだ。

手段は問わないからとにかく宇宙を綺麗にしろと、適した能力者が選出されては、宇宙に送り込まれている。

マチもそういうわけで、スペースバスターズに選ばれた。

マチと同じ班のランカは、物を圧縮する能力。

コウスケは、無機物を瞬間移動させて自分の手元に持ってくる能力。

この班の取り仕切り役の部長ダニーは、スピードを緩める能力。

そしてマチは、他人の特殊能力のパワーを増幅できる能力だ。

そんなわけで、来たくもなかった宇宙に来て、掃除を頑張っている。


「次に地球に戻れるのはいつだっけ?」

「ゴミの回収日は、来月」

「はああ〜、もう〜!これも全部、昔の人間のせいだあああ!」

「それは同意」

「ほんとにね」

「まあ頑張っておくれよ…」

今日も、掃除は終わらない。

いつものように、マチの叫びが宇宙船に響くのだった。



はじめまして。お読みくださりありがとうございます。

2026年は毎日2000文字小説を投稿予定です、今年の目標です。

書くぞ〜!よろしくお願いします!

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