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第3話「とろけるプリンの涙」



 


ひかりが次にたどり着いたのは、“甘露の湖”と呼ばれる場所だった。


湖の水は淡いカスタード色。見渡す限り、クリームやカラメルの香りが漂う幻想的な景色。


 


「ここが、次の素材のある場所……?」


 


歩き出したその時、ポタ……ポタ……と、どこかから音が聞こえた。


ふと見ると、大きなスプーンに腰かけている少女がいた。


丸い帽子に、ふわとろのドレス。目の下には――とろけた“涙のあと”。


 


「あなた……泣いてるの?」


 


少女は、くしゃっとした顔でこちらを見上げた。


「うん……。わたし、プリン姫なの。でも、うまく固まらないの……」


 


プリン姫の体は、半分とろけている。


「甘さも、固さも、うまくバランスが取れないの。魔法が効かなくなってきて……このままじゃ、湖に溶けちゃうの……」


 


ひかりは、そっと手を差し出した。


「よかったら、一緒に作ってみない? 甘くて優しい、ちょうどいい“プリン”を」


 


***


二人で湖のほとりに、小さな調理場を作る。


プリン姫の涙が、少しずつ材料の一部となっていく。


 


「卵とミルク、それに優しさを混ぜて……」


 


焦がさないように、静かに火を入れる。


プリンの表面がふるふると震え始めた頃、プリン姫は、目を見開いた。


 


「……止まった。涙が……止まった」


 


ほんの少し笑った彼女の瞳に、光が戻っていた。


やがて完成したプリンを、ひかりはそっと差し出す。


 


「食べてみて?」


 


姫が一口食べると、その顔がふわっとほころぶ。


 


「なつかしい……お母様が、昔作ってくれた味……」


プリン姫の体が淡い光に包まれ、しっかりと固まり、美しく整った姿に戻っていく。


 


空から紙が舞い降りた。


 


> 《甘さレベル:27》

“とろける心”を癒した者に、調律の力が与えられる。




 


プリン姫は、そっとお辞儀をした。


「ありがとう、パティシエさん。あなたの甘さは、とても……優しい」


 


その言葉に、ひかりも微笑む。


そして彼女は、再び歩き出した。

まだ見ぬお菓子たちと、甘い出会いのために――。



---


今回のレシピ:とろけるプリン


材料(3個分):


卵:2個


牛乳:300ml


砂糖:50g(+カラメル用に別途30g)


バニラエッセンス:少々



作り方:


1. カラメルを先に作る:鍋で砂糖30gと水大さじ1を火にかけ、茶色になったら型に流し込む。



2. 卵と砂糖をよく混ぜ、温めた牛乳を少しずつ加えて混ぜる(泡立てないよう注意)。



3. バニラを加え、濾してカラメルを入れた型に注ぐ。



4. 蒸し器で弱火15分。火を止めて10分放置。



5. 冷蔵庫で冷やして完成。




**ワンポイント:**蒸すときは布巾を鍋蓋に巻くと水滴が落ちずに綺麗に仕上がります♪





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