#4 冒険の拠点
皆さん、こんにちは!アオです!
それでは「運の悪すぎる俺が全てガチャで決まる異世界へ転生して
しまったのは何かの手違いだといいのだが……」をどうぞ!
二時間後……あの後、俺はその場で数十分程度空を見上げていた。
そして体力が少し回復したのでそのままの足で町へ向かった。
しかし普通に歩くよりもはるかに遅くなったためかかった時間は
予想時間の二倍である二時間だった……
辺りはだいぶ暗くなっており、不気味だったが幸いモンスターと戦う
ことはなかった。それだけが唯一の救いだ。
俺「すみません」
俺がそう言いながら一軒の宿に入ると店主のようなおばあちゃんが出てきた。
店主「ありゃ?ここら辺では見ない顔だね、もしかして冒険者さんか?」
俺「はいっ……はい、まあそんなところです」
店主「そうかそうか。それなら大歓迎だよ!」
俺「ありがとうございます」
おばあちゃんのわりにめちゃくちゃ元気な人だった。
店主「今夜は全然部屋が余っているから料金はいらんよ」
俺「えっ!?いいんですか!?」
店主「いいってことよ!ほれ、これが部屋のカギだよ」
おばあちゃんはそう快く俺に宿を提供してくれた。
部屋に入った俺はベッドで横になりながら独り言を言う。
俺「……久しぶりに人の温かさに触れた気がするな……」
これまでずっと引きこもっていた俺は家族以外の人と接する機会が
ほとんどなかった。そのため、こういう人の優しさ、温かさというものに
触れる機会がなかった……異世界って案外いいのかもしれない。
翌日、久しぶりに気持ちよく起きることができた俺は部屋を出る。
向かった先は、食堂だ。この宿は小さいながらも朝食を提供しているという
神サービス。"現実世界"でこんな宿があったら評価は星五だろう。
それに味も文句がないくらいおいしい。前世では、食事の時間すら
よく思っていなかったため味もそれに比例して何とも思わないあるいは
まずいの二択となっている。しかしここでは違う……こんなに
おいしいなんて感情を持ったのは何年ぶりなのだろうか……
そんなセンチな気持ちに浸りながら朝食をとっているとこんな時間に
宿の扉が開く。扉の向こう側には俺と同い年か数年年上の男性がいた。
店主「サールズさんいらっしゃい。今日も朝食かい?」
サールズ「ああ、いつもと同じでお願いします」
店主「わかったよ、適当に座っていてくれ」
店主に促された"サールズ"と呼ばれた男性は俺の隣の席に座る。
サールズ「見ない顔だな、もしかして冒険者か?」
昨日、店主に全く同じ質問をされたため俺は同じように解答する。
俺「はい、そんなところです……」
サールズ「……間違っていたら悪いが……お前は転生者か?」
サールズさんの言葉にびっくりして少しむせる俺。
俺「そっ……そうですが、なんでわかったんですか?」
サールズ「やっぱりそうなのか……やっと同じような人に会えたよ」
俺「同じような人って……もしかしてサールズさんも転生者なんですか!?」
サールズ「ああ、その通りだ。数か月前に前世を旅立って今に至る」
俺「……そうなんですね……さっきの店主さんとの会話的にここを
いつも利用しているんですか?」
サールズ「ああ、ここ周辺で活動をしているからだ。しかしそろそろ
次の町へ行こうと思っている……経験値が足りないからな」
俺「数か月前からずっとこの周辺でレベル上げをしているってことですか!?」
サールズ「ああ、その通りだ。ちょっと粘り過ぎた気がするけどな……」
俺「粘り過ぎたって……経験値以外に目的があったんですか?」
サールズ「モンスターがドロップするアイテムってあるだろう。
それの激レア版この世界ではSRドロップアイテムという
ものが存在していてそれを狙っていたわけだ」
運が悪い俺にとっては絶対に足を踏み込んではいけない領域だ。
店主「はい、サールズさんお待たせ。いつものやつね」
サールズ「ありがとうございます。いただきます」
店主さんが去ってから俺たちは再び話始める。
俺「サールズさんは前世どんな職業に就いていたんですか?」
サールズ「どんな職業って言われてもまだ学生だったんだけどな」
俺「えっ!?本当ですか!?」
サールズ「ああ、高三の夏に海でおぼれて気が付いたらこの世界に」
俺「なるほど……やっぱり前世で死んだ人って全員、この異世界へ
送られるというものなんですかね?」
サールズ「それはわからない……俺と同じような転生者はお前が初めて
だからな……そういえば、まだ名前を聞いていなかったな」
俺「前世では壮太っていう名前でした……新しい名前を考えるのが面倒なので
この世界でも壮太でいいですよ」
サールズ「なるほど。さっきから名前で呼んでもらっている通りサールズだ。
壮太は前世だと学生だったのか?」
俺「はい、大学一年でした。最初サールズさんを見たときに自分よりも
年上かと思ったんですが、そうではなかったのに驚いています」
サールズ「そうなのか……」
俺「はい、自分よりも結構大人びているというかクールというか……
なのでまさか年下とは思ってもいませんでした。
とは言ってもこの世界では先輩ですが……よろしくお願いします」
読んでいただきありがとうございました!
ブックマークや評価を付けてくださるとうれしいです!
それでは次回お会いしましょう!アオでした~!