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魔法少女杯争奪戦  作者: finalphase
第2章 真の正義
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18話 前進あるのみ

真由、瞳子、愛理、の3人はトボトボと歩いていた。真由は歩くことすらしんどそうだったため、瞳子と愛理が彼女を支えて歩く形になっていた。桃子の死体の処理は愛理が好美にお願いした。好美は何か言いたげだったが、「そういう汚れ仕事、いつもやってたんでしょ?」という愛理の言葉に黙って頷き、大人しく死体の処理に行ったのだ。瞳子と愛理の2人は真由を家に送り届けた。ヤンキーに絡まれた私たちを真由が助けてくれたと、真由の母親には説明した。自分たちが魔法少女であることは秘密にしているためだ。瞳子はその日家に帰ると直ぐに眠りについた。もう何も考えたくなかった。明日になれば憂鬱な気持ちが少しでも和らぐかもしれない。彼女は悩み事があるときはいったん寝て気持ちをリセットするようにしていた。とにかく明日を待つのだ。明日はきっと今日よりも良い日になるに違いない。対照的に、この日愛理は一睡もできなかった。自分のせいで桃子が旅立ってしまって、真由を落ち込ませてしまったと思うと憂鬱な気持ちになった。次の日の学校で、彼女は1日中爆睡した。瞳子は前方の白石真由の席を見た。彼女の姿はそこにはない。かつてこのクラスで一番の優等生だった筈の彼女は最後まで姿を見せることはなかった。3日経過しても登校してこないのでラインを送った。しかし、更に3日経っても既読すらつかなかった。

「明日、家に、お邪魔するよ」

短く、簡潔にメッセージを送った。翌日、予告通り家に出向いた。チャイムを押すと真由の母親が出てきた。快く家にあがらせてもらい、ご馳走まで出して貰った。だが、彼女の話によると、真由はあれからというもの自分の部屋に籠りっぱなしだそうだ。了承を得て、真由の部屋に行かせてもらった。ノックをする。返事はない。

「開けるよ?」、そう言ってドアノブを引く。ドアは開かなかった。どうやら鍵がかかっているようだ。その日はそっとしておいた方が真由のためかもしれないと思った。

「また来るからねー」、そう言ってその場を後にした。真由のお母さんに挨拶を済ませて家に帰る。彼女の目の前に2羽のスズメが降り立った。キュッピーと飛鳥だ。

「私たち、あのあとも真由の様子を見てたんだ」

「あれは相当やばいぜ。もうまともな日常生活が全く送れていない。ほとんど寝たきりな上に自傷行為を毎日のようにやってやがる。覚悟して聞いてくれ。言葉を選ばずに言うとだな、腕や足を鋭利な刃物で切りつけすぎて皮膚が膨れ上がってる。」

「瞳子の力で何とかして欲しいわ。あれじゃあまるで廃人だもの。」

瞳子は力強く頷いた。ショックが減ったわけじゃない。桃子のことを諦めきれたわけじゃない。でも、ここで立ち止まったら桃子は絶対怒る。

「いつものように無茶する瞳子はどこ行ったの?後ろを振り返ってる暇があったら前に進みな」って。だから、私は立ち止まらない。桃子の死を決して無駄にはしない。瞳子は視線を前に向けた。この前の悲惨な出来事をあざ笑うかのように、夕日の太陽は美しく輝いていた。

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