17話 儚き友情
「そういう…あんたこそ…相変わらず…無茶するね」
「私、何で私なんかのために」
「私なんか…なんて言わないで。瞳子は…優しい子だから。ドジでおっちょこちょいで…人騒がせでどうしようもない奴だけど、私、瞳子と友達でいれて幸せだった」、そう言って桃子は目を閉じた。
瞳子は桃子の上で泣き崩れた。気まずい沈黙が流れる。真由は放心状態といった感じだった。誰よりも仲間を大切にしてきたのに、仲間のために頑張ってきたのに…友達の1人さえ守ることができなかった…次の瞬間、理恵は放心状態の真由を蹴り飛ばした。その場に倒れた彼女を何度も蹴りつける。真由は抵抗しなかった。理恵は彼女の頭蓋骨に銃を突きつけた。
「てめぇ、大切な友達の一人さえ守れなかったな。自殺はするなよ。それは自分の罪から逃げる行為だ。この光景を目に焼き付けて一生苦しみながら生きていけ」
満足げに勝利宣言をすると理恵。そして、好美の方を振り返って語気を強めた。
「覚えてろよ、好美。私を裏切ったこと、あとでたんまり後悔させてやるよ。」
そう言い残すと、彼女は天音と共にその場を立ち去った。瞳子の泣き声だけが響き渡る。沈黙に耐え切れなかったのか、愛理が恐る恐る口を開いた。
「真由…ごめん、うちが」
「うるさい、静かにしててよ。私はもう…」、そう言って泣き崩れる真由。まるで理性を失かったのように号泣する。愛理は思わず目を逸らした。痛々しくて見ていられなかったのだ。文武両道の完璧な優等生が学年一の劣等生に転落した。そんなイメージを無意識のうちに思い浮かべた。
「おい、テメェは一体どっちの味方なんだよ?」、突っ立っている好美に声をかける。
「私は…私は…松下理恵の仲間だけは二度と嫌。できることならあなたたちの仲間になりたい」
「はぁ..このタイミングでそんなこと言われてもねぇ。あんたを信用できるわけないし…」
再び沈黙が起こる。理恵と天音は行きつけの焼き肉店で祝杯をあげた。
「まさか好美が裏切るとはね、これからどうするの、理恵?」
「あいつはそのうちぶっ潰すわ。絶対痛い目に合わせてやる。裏切られたことは癪だけど、今日のとこは斎藤桃子が死んでくれたってだけで十分よ。これで私の勝利は確実よ。白石真由は完全に終わったわ。あの子メンタル弱そうだし、これからどう生きていくのか見ものだわ」
「まるで悪魔だねぇ、理恵は。人の不幸ってやっぱ最高だよね。」
2人は高らかに笑った。