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魔法少女杯争奪戦  作者: finalphase
第1章 覇権争い
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13話 優しき戦士

 中原瞳子には特殊能力があった。魔法少女、魔法少年は誰しも特殊能力を持っているのだが、彼女の持つその力は一風変わっていた。まず、鳥や犬、猫などと会話をすることができるのだ。会話をするといっても、彼女自身が動物の言葉を話せるわけではない。動物たちの言いたいことがわかり、動物たちにも彼女の言わんとすることが自ずと伝わっていた。彼女がいれば、野生のどんな動物も彼女に近づいてきた。また、瞳子は人の感情に敏感だった。その人のその時の感情に良く気づいた。何かを隠している人間は表情や演技が完璧でも、些細な行動までは誤魔化しきれないものだ。この前の戦闘時の白石真由のことが気にかかっていた。あの時、彼女の弓の色がくすんでいたことだけではない。真由がイーグルを狩るときは彼らの胴体の中心部に狙いを定めることが多かった。堂々とした性格の真由らしい戦闘スタイルだ。しかし、この前の戦闘ではそれが微妙に左にズレた。それに、最近の彼女は何かに怯えているように見えた。目がそれを物語っていた。この勘が外れていることを瞳子は願った。しかし、今までの経験上嫌な予感は的中することの方が多かった。今日は弟の誕生日なので店でケーキを買った。その帰り道、彼女は殺気を感じた。奴がいる。この気配は間違いなくイーグルのものだ。イーグルの目的は何なのか、ということも未だ分かっていない。人間が自然界の中で力を持ちすぎたことによって生態系が崩れてしまったため、その調節のために人間より強い種族が生まれたというのが有力な説だ。一体どこにいる?瞳子は耳を澄ませて近くにいる鳥の声を聞き取った。

「イーグルはパインストリートの入り口にいる」

「お前は弱いんだから戦うのはやめとけ」

鳥たちの声が聞こえる。

「キュッピー、ありがとう。飛鳥、余計なお世話よ。」

キュッピー、飛鳥は瞳子が名付けた鳥の名前である。2羽ともスズメである。彼らは彼女に情報を提供したり、相談事に乗ったりしてくれる大切な友達だ。飛鳥が心配していたように瞳子には少し不安要素がある。それは戦闘センスがゼロだということだ。戦闘時には真由たちの足を引っ張ってしまうことが多かった。今、彼女は1人。飛鳥は他の仲間を呼んでから戦いを挑んだ方が良いと考えていたのだ。だが、彼女は1人でも魔法少女に変身した。ケーキを地面においてイーグルの前に立ちはだかる。彼女の武器は弓だけであった。どんな魔法少女も弓は基本アイテムとして持ち合わせている。魔法少年の場合はそれが銃なのだがそれが判明するのは当面先の話であった。瞳子は弓をイーグルに向けて勢いよく放った。しかし、それは見事に外れた。

「ほら、言わんこっちゃない」、とでも言いたげに鳥とは思えないほど表情豊かな飛鳥。次の瞬間、イーグルの牙が彼女に向かって真っすぐに降りかかってきた。

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