心の闇と孤独の中で
父の真の言葉は、武之の心に深い傷を残した。学校ではいじめがエスカレートし、かつての友人たちも彼を避けるようになる。武之はますます孤立し、自分の居場所を見失っていった。彼は学校での生活が息苦しくなり、やがて不登校になる。
家庭では、父の失業による経済的な困難が次第に明らかになる。母のめぐみは、家計を支えるために一層の努力を重ねるが、そのプレッシャーは彼女の心身に大きな負担をかけていた。武之は家族の苦悩を目の当たりにし、自分に何ができるのかと考えるが、答えは見つからない。
孤独と不安に苛まれる中、武之は父の真からある日、特別なものを託される。それは透明で、虹色に輝く小さな玉、「覚醒玉」だった。真は、この玉が神野家に代々伝わるもので、12歳の誕生日を迎える武之に渡すべきだと言う。玉には特別な力が宿っており、武之に大きな変化をもたらすかもしれないと真は語る。
武之は、この「覚醒玉」を受け取り、不思議な感覚に包まれる。玉を見つめる度に、彼の心にはほんの少しの希望が芽生え始める。しかし、彼はまだその真の力を知らない。そして、その力が彼の運命を大きく変えることになるとは、武之自身もまだ想像もしていなかった。