第九話 ヒロインズ「想いを一つに」ダンジョンコア「いいですとも」
秋。暑さが過ぎ去り過ごしやすい季節になった日本のとある県のお昼過ぎ。そこには一際大きなダンジョンとそれを攻略するための施設が建設されていた。基本的にダンジョンの入り口の大きさがその内部にいるモンスターの大きさに比例しる。ゴブリンやウルフといった小柄なモンスターならば直径二メートル弱の入り口。オークやバーサーク・カウといった中型なら五メートル。そして、ドラゴンや巨人と言った大型のモンスターなら十メートル以上の大きな入り口になる。そんな巨大な入り口をしたダンジョンが日本で発生したのだ。
基本的に巨大なモンスターほどダンジョンの外に出れば被害は甚大なものになる。それを重く見た政府は大々的にこのダンジョンを宣伝し、世界中から冒険者と関係者を集めた。この巨大なダンジョンの発見からたった一ヶ月でその周囲には仮設病院から鍛冶屋やガンショップ。ポーションを売り出す道具屋。そして、娯楽施設が建設された。
これらは世界的に見ればそう珍しくない。世界のどこでもこれほど巨大なダンジョンが出現すれば自然と出来上がる。そうでないと辺り一帯はモンスターが跋扈する魔境になるからだ。ある意味で人類の力の総結集ともいえる。
危険なモンスターが出る=莫大な報酬があるという事。地位や名声を求めた様々な人間が集まる場所にはフランスから派遣。いや、志願した聖女。アメリカから派遣されたガンショップの主人とその手伝い兼ダンジョンの研究員性としてやって来た学者。ポーションといったファンタジー道具を作成できる中華系の錬金術師。そんな人達を全面的に支援するためにとある国の王族。心情を少しでも軽くするためにやって来たアイドルが。奇しくもダンジョンの最寄りの青空食堂で集まった。
「あ、エリーじゃん。貴女も来ていたんだ。もーう、連絡くらいしてくれてもいいんじゃない」
「イブさん。こうして会うのは一年ぶりくらいでしょうか。お久しぶりです。お元気でしたか?」
「元気、元気。元気すぎて今にも体がはちきれそうだよ」
白い白衣をきた美女はカレーライス。白いシスター服を着た美少女はカレーうどんと、すこし正気を疑われる食事内容だったが、それぞれ思惑があってこのメニューにしている。カレーはタカヒトの好物だからである。彼を理解しようと思って二人は日本に来たらカレーを食べようと思っていた。彼もまたこのダンジョン攻略に参加していた。
日本のカレーは魔改造されていて、海外のカレーに比べてマイルドになっているので、子どもでも食べやすいものだ。だからと言って、白い衣装を着た人物が食べるには難易度が高いと思われるが。
「イブさんが元気のない時が想像できませんから羨ましいです。私も頑張らないと」
「何言っているの。そういうエリーだって粗相を働いている時が想像できないくらいにお淑やかじゃない。そういうイメージを持っているのも羨ましいよ」
「えへへ。そうですか?」
二人が注文したメニューを受け取ったのはほぼ同時。そのため、二人一緒に食べられるテーブル席へ移って食事を摂ることにした。その光景を見て癒される周りの人達。だが、うかつに彼女達に声をかける者はそうはいなかった。なぜならばエリーが【聖女】だからだ。白いシスター服を着ることが出来るのは位の高い僧侶のみ。何より可憐な容姿をしているエリーは冒険者ならば大体に知られている。
聖女に自ら触れてはならない。それは聖女の奇跡を奪い去る。そして、その恩恵を受けるだろう冒険者を救う手段を奪うことになる。ある意味で神聖化されている。そんな彼女に関係を持とうするのは親しい人間か、余程の我欲を持った輩か馬鹿である。そんな馬鹿が現れた。
「あ、そこの綺麗なお姉さん。一緒にご飯を食べてもいいですか」
「え、嫌だけど」
声をかけてきたのは身綺麗な格好をした美形と言ってもいいアジア系の男冒険者だった。だが、そんな彼の誘いをあっさりと、きっぱりと断るイブ。この手の馬鹿は何度も見てきた事がある彼女は誘いをぶった切った。明らかに不機嫌そうな態度だったが、この手の馬鹿は痛い目に遭わない限り反省しない。
「まあまあ。こう見えても俺って最近頭角を出し始めた冒険者で有名でして。お姉さんともつり合いが取れると思うんですけど」
「あ、あの。私、こう見えても聖女なんです。だから、その、こういうお誘いはお断りをしているので、申し訳ありません」
「いいじゃないっすか。聖女とは言っても女の子なんだから青春しましょうよ」
エリーがそれとなく断りを入れてくるが、男はへらへら笑って受け流している。こちらの言うことに全く耳をかさない輩なのだろう。さて、どうするべきかと悩んでいると、彼の後ろからドスドスと歩み寄って来る存在がいた。異常に気が付いた男が後ろを振り返るとそこには男の頭一個分、背の低いでっぷりとした黒髪の人物がいた。
「ちょっと、そこの冒険者。聖女様たちが困っているからやめるんだ」
頭から足先までむっちりとした体躯は明らかに運動をしていない脂肪で出来ており、一見すると日本特有の格闘家【力士】に見えた。
「ジャパニーズウォーリアーの力士か。引っ込んでいろファットマン。痛い目に遭いたくなければな」
「失礼な。私は錬金術師だよ。それに私は女だ」
目の前の力士。ではなく、女と自称する錬金術師に対して、呆気に取られていた冒険者は女を自称する人物が懐から取り出した丸薬を鼻に詰められるという失態を犯す。
「ぎゃあああっ!鼻が、鼻がぁあああっ!」
その丸薬はあまりにも匂いが強烈だった。末で鼻毛を全て抜かれたところにミント系の柑橘系のリップを塗りたくれたかのような爽快感と甘すぎる匂いで冒険者はその場で倒れ、のたうちまわっているところにニードロップを行う。
「ぎゃあああっ!膝が、ひざがぁあああっ!」
呼吸困難になっているところに、鳩尾への攻撃。しかも超重量のものを受けてしまった冒険者はさすがに気絶。と、同時にニードロップをした錬金術師は、その怠惰な体で膝への負担を急にかけてしまったため、関節を傷めることになった。
目の前で繰り広げられた珍騒動に呆然としていたエリーだったが、目の前に負傷者がいるという事を把握すると自前のポーションを二人に施すことにした。聖女のお手製という事もあってそこらの錬金術師が造るポーション以上の効果がある。
エリーの処置が終わるころには治安部隊が気絶した冒険者をしょっ引いていく。太った錬金術師も聖女に迷惑をかけたのかと連れていかれそうになったが、そこでようやくイブが、錬金術師が自分達の知人。レンだという事に気が付いた。
タカヒトからはその不摂生な生活をしている彼女は見かけるたびに極度に痩せているか太っているかの状態が多く、彼からは『風船みたいな女』と評価されている。
最初は瘦せている彼女しか見たことが無いイブは別人だと思っていたが、見覚えのある眉尻と髪色。太ってしまい野太くなってしまった声。どこか見覚えのある顔つきに最初は否定していたが、女であり、錬金術師で、自分達に対して迷惑な相手を追い払ってくれた事も重なり、かなり疑問に思っていたが、首元に掛けている名札を見て、ようやく彼女が知り合いだと気が付いた。なお、その衝撃はエリーも同様だったらしく、「え、うそでしょ」とぽろっと言葉を零すほどであった。
「うう、酷い目に遭った。やはり、急な運動はするもんじゃないね」
「すいません。レンさん。私ももう少しうまくやれればそんな事には」
「いや、無理でしょ。あの様子だったら。調子のいい冒険者二年目くらいになるとああやって全能感に溢れた馬鹿はあちこちに沸くよ。エリーも地元じゃないんだからビシッと言わないと付きまとわれるよ」
お互いの知人という事もあって三人で食事を摂ることになった。イブのカレーライスはともかく、エリーのカレーうどんは完全に冷め切った為、勿体ないが廃棄しようかと考えていた所で、捨てるなら私がもらうよ。と、レンが言ってきた。彼女曰く聖女の使った物なら何かしらの影響があるだろうと言ってきた。その手の研究は昔からされてはいるが今のところそのような結果は出ていない。
大丈夫、大丈夫。無いなら無いで利用価値はあるからと言って、リンは自分用に買っていた大量のカレーパンから二個エリーに渡して、彼女のカレーうどんを保護に特化した専用のアイテムボックスに収めた。小声で転売の言葉を耳が拾ったが、聞かなかったことにした。
「ところでイブ君はどうして日本にやって来たんだい?ドラゴンクラスのダンジョンで聖女の力は必要になるかもしれないが、学者を自称している君がここにいるのは危険なのではないかい」
彼女達が遅い昼食を取りながら、レンは早速深い所に切り込んできた。
聖女のエリーや錬金術師の自分ならば緊急性があればダンジョンの中に突入する事もあるだろうが、学者としてやって来たというイブがダンジョンの近くに行くのは危険すぎる。それについてどう思っているのかと。
「パパの手伝いもあるし、大学の依頼もあるけれど、本命はヒートに会いに来たんだよ。エリーもそうでしょ?」
「そうですね。じゃ、じゃないっ。わ、私は聖女として派遣されたんですっ。そ、それにタカヒトさんに会えるのもやぶさかではありませんが」
イブは真っすぐに。エリーはやや迂遠な回答をするが、二人とも目的はタカヒトに会い、共にダンジョン攻略をしたかった。二人共、世界中で発刊されている『月間冒険者!』の特集で冒険者が恋人を作りたいと思った瞬間はダンジョン攻略を達成した時であり、相手はその時を過ごした相手だという情報を掴んでしまったためだ。
「まあ、私も似たようなもんだがね」
レンは錬金術師として国から派遣されたが、二番目の目的は逆玉の輿狙いで、有力な冒険者との関係を持つことであり、三番目はエリーと言った知人達との関係を深めるため。と、私利私欲まみれだが、大体の錬金術師はそういうものだと自負している。
美女と美少女と力士(肥えた錬金術師)が食事を摂っている風景を周りの人たちが、珍妙な物を見るような目で見ていると、彼女達の食器が細やかな音を立てながら震えた。
『緊急速報!緊急速報です!現在、●●県に発生したダンジョンが攻略された模様です!』
その知らせを一定間隔で設置されたテレビからダンジョン攻略の情報が流れた。
ダンジョンは攻略されると大なり小なり鳴動しながら消滅する。それはまるでダンジョンの断末魔。その時、ダンジョン内部に挑んだ人達の転移が行われる。大体は男女の入り口付近に出てくる。
映し出される映像にはダンジョンへ挑んだ冒険者チームからソロ。更には日本の自衛隊隊員が転移してきた。その映像を前のめりで見るエリーとイブ。レンもテレビに注視していた。
タカヒトもこのダンジョンに挑んでいるのは知っている。彼が転移してくることを願った。ダンジョンで死んでしまうようなことがあれば転移されず、ダンジョンと共にこの世界から消失する。だからこそ彼の姿を早く見たかった。たとえ、どんな姿になっても戻ってきて欲しい。そう願った。
『やったぴょおおおおおんっ!』
赤いミニスカメイド服にドクロのマークが入った眼帯。ピコピコ動くうさ耳をつけた彼女達の想い人が天に向かって拳を突き上げているタカヒトの姿が映し出されていた。
彼女達の願いは叶った。嬉しいやろ?
まるで感情が脱色したかのように何も考えられなくなったエリーとイブ。その隣で爆笑しているレン。どうして、そんな格好になったのかと問い詰めたい。が、意外とその代弁は近くにいた。
『え、え~、っと。ダンジョン攻略の皆さんにインタビューをしたいと思います』
世界各国から集められたのは冒険者達だけではない。あらゆるメディア報道陣が転移されてきた冒険者に詰め寄っていった。ダンジョン攻略は一つの大きなイベントだ。その功労者の言葉は一金の価値がある。が、珍妙な格好をしているタカヒトに詰め寄ろうとしたのは日本のとあるアイドル。タカヒトの年下の姉弟子。お頭の娘さんだった。彼女はダンジョンにも機微なアイドルであり、タカヒトに近寄ることを躊躇っている自分の事務所関連の人からマイクを借りて彼に近寄って行った。
目的はアイドルとして他の人より目立つため。そして、タカヒトの恥部を世界的に広め、自分以外の女性からの好感度を下げるため。彼女も知っている。タカヒトに想いを寄せる女性は確かにいる事。ここで珍妙な格好をしたタカヒトを大々的に写せば彼へ好感を向けるのは自分だけだと。
『ダンジョン攻略おめでとうございます。ところでどうしてそのような格好を?』
『苦難に会ったぴょん。これを拾い、必要だから装備したぴょん。これが無ければ踏破は出来なかったぴょん』
彼女はあくまでもタカヒトとは初対面のように彼にインタビューをした。が、タカヒトの言葉は【呪い】によって省略・改悪されるのでその意図を読み取るのは難しい。しかし、彼の表情は珍しく柔らかい。いや、嬉しさを隠しきれない程に破顔していた。その様子から見て誰もが変な人だと思っただろう。聖女であるエリーを除いて。
「あ、なるほど。ダンジョンでいつもの迷彩服を捨てざるを得ない状況になった。途中でドロップしたのか、それとも発見したあの赤い服とカチューシャをつけてみたら、能力が上がるマジックアイテムで、語尾のぴょんはその影響。それでダンジョンを攻略したというわけですね」
「わかるの?!すごいねエリー!」
「錬金術師の私でも解析は出来なかった短縮言語を解読するとか。聖女、恐るべし」
聖女。というかエリーの読解力に驚いている周囲の人達だったが、それより驚いたのはダンジョンを攻略したという言葉。
え、あの変人がダンジョンを攻略したの?!
その事に気づかされた人達はざわめき立つ。よく見てみれば彼が掲げている手の中から七色に光が漏れ出していた。
この世界にいる誰もが欲する願望器。ダンジョンコア。それがタカヒトの手の中にあるのだと気づかされたからだ。
テレビではタカヒトに向かって姉弟子が一番聞き出したいコメントを要求した。
『そ、そのダンジョンコアで何を願いますか!』
『危険のない。穏やかな日々をぴょん』
その言葉を聞いた少女達は天啓を得たかのように彼の意図に気が付いた。
タカヒトは常日頃から【呪い】を解きたいと言っていた。しかし、その後の事は聴いたことが無かった。それが、今の言葉なのだろう。
危機のない日々。それは冒険者から一般人になりたいというもの。そうなれば、どうなるかを一瞬でイメージしてしまった。
聖女は、【呪い】関連でホーリーボトルをやり取りしている関係だが、それがなくなるのではと思ってしまった。お互いに恩人同士で気を負わない関係。頼り頼られるのが心地よい関係。それが【呪い】と同時に解け、冒険者を止めてしまったタカヒトとの接点が消えてしまうのではないかと。
戦乙女も危惧していた。タカヒトとは武器関係で接点があるだけで、冒険者を止めるという事はそれも必要としなくなるという事。まだ、彼との交友関係はそれほど深め切れてはいない。このまま、自然消滅も考えられる。
錬金術師はスポンサー兼モルモットを失うのではないかと恐れた。まだ、タカヒト以外にコネを作れた事業所や冒険者はいない。このままでは貴重な存在が自分の元から去ってしまうのでは。と、考えた。
姉弟子の将来設計に支障をきたす事態が起きてしまった。人気上昇中の自分と釣り合うのは凄腕冒険者と名を馳せるだろうタカヒトくらいだと考えていた。ここで彼が冒険者を止めてしまえば、つり合いが取れなくなり、彼が自分から離れて行ってしまうのではないかと。
王族はそうなってしまってはつまらん。と、考えた。
奇しくもタカヒトに想いを寄せる彼女達の想いは一致した。
そんなのは嫌だと。これからも彼ともっと仲良くしたいと。
ここで一つ、どこにでもありふれた物語と少し珍しい現象の話になる。
力ある【勇者】【英雄】の活躍劇。彼等が守る人達の想いが重なり、彼もしくは彼女に注がれて力になる。思いが力になるというもの。
そうなる現象はこのダンジョン時代、数えるほどだが確認されている。未だに謎は多いが、想いの強さとその対象にそれ相応の力や事象が重なれば、その想いは力になる。
特に奇跡の力の象徴と言える聖女。力を与える戦乙女。力の本質を変える錬金術師と力の増幅が行える王族。想いの伝播が可能なアイドルの想いが重なり、まじりあい、タカヒト。の、持つダンジョンコアへと届いた。
『俺が願うのは『バキン』、ぴょん?』
タカヒトが願うよりも早く、ダンジョンコアがその手の中で砕けた。
それ、すなわち、願いが受諾したことが示されることになる。
本来であるのならば周囲の人間の願いなど、直近のダンジョンコアを持っている人間の想い比べれば比べるまでもなく棄却される。しかし、タカヒトを想う特殊な天職と力を持った者達の想いが一時ではあるが彼を追い越した。恋する乙女は無敵とは言うが、思春期の娘さんの想いはそれだけに強く深いものだったのだろう。また、タカヒトの願いも少しだけ似ていたのも起因する。
タカヒトは【呪い】が解けても冒険者続けるつもりだった。学歴が中卒で止まっており、そのあとは冒険者という経歴しか持たない彼がこの先食っていくには冒険者の道くらいしかなかった。冒険者を止めるカモと言うのは彼女達の勘違いである。
そして、彼もまた欲のある男だ。エリーやイブと言った美女、美少女とは交流を続けたいし、レンやイルと言った人脈も保ちたい。そのためにも自分を鍛える。そのうえでは姉弟子のような美少女とも鍛錬と積んでいきたい。
あくまでも彼がダンジョンコアに願うのは【呪い】の解除だけで、あとはこれからも続けたい。それを伝えていなかった事により、悲劇な奇跡が起こってしまった。
様々な願いを受信したダンジョンコアは、現状の向上。でも【呪い】は解かない。と言う願いを叶えてしまった。
『う、うそぴょん。まだ、願いは。い、いや、叶ったはずだぴょん』
タカヒトは手の中で砕け散り、光の粒子となって消えてしまったダンジョンコアを見送ったあと、恐る恐るうさ耳を外して、目の前の姉弟子に弱音を吐くことにした。【呪い】が解除されていれば素直に「今日は疲れたから温泉付きの高級旅館に行きたいんだけどおすすめとかある?」と、言ってくれるはず。タカヒトは深呼吸して、姉弟子に向かって尋ねた。
『今日、空いているか?旅館で眠りたい』
『・・・え?』
え?ちょっと待て。なんか【呪い】解けていない感じ?いやいや、通常モードに慣れていないだけだってっ。今度は食事っ!ダンジョンでは保存食しか食べられなかったから今は美味しいものが食べたいなぁ!姉弟子にもお世話になっているから美味しいならどんなにお高くても奢るよ!
『共に来るなら奢るぞ』
驕るなぁああああっ!相手は日本のトップアイドルみたいな御方やぞ!俺みたいなぺーぺー冒険者がプライベートでお相手できるわけないだろう!もっと下手に出ろ!と、というか、もしかして【呪い】解けていない?嘘でしょ…。火を吐くドラゴンから逃げながらダンジョンコアを奪取したのに、そんなの。そんなのって…。
『あ、あのすいません。私、事務所的にはそういうことはNGなんで』
姉弟子がなにやら狼狽えている。この気障な強がり方。言葉の省略。間違いない。これは。この状態。俺の願いは。
『叶わなかったか。仕方ないな』
嘘でしょ!いやあああああああっ!!
ここに世界初。ダンジョンコアでも願いが叶えきれない程の欲を出した冒険者とダンジョンコアを使ってもナンパできないアイドルが誕生した。という、誤報が世界中に広まるのであった。




