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第7話:疑惑の少女

男は頭を掻くと面倒くさそうに彼女の言葉を否定した。

「そいつぁ『操人形マリオネット』だぁな」

「違うの?」

訂正の言葉に和姫は不思議そうに聞き返した。

彼はその質問に訝しげな目つきをしたものの、彼女の質問に答えた。

「全然違わぁな。『生人形ドール』っつぅのは、人形に人間の魂を入れてぇ作る。人形に入っている間ぁ、人形師マイスターがその体をきちんと管理しとる。だから役目をきちんとこなせば普通に人間の身体んに戻って『中級階級ミドル』の住人として生きてけれらぇが。

しぃかし、『操人形マリオネット』っつぅのは、人間の身体から魂だけ取り出して、身体の方を操る。壊れりゃあ、そのまんま廃棄だぁな」

その説明に彼女は少しだけほっとした。

つまりは人形師という人の処に連れて行かれても、自分の幸せを壊したあの不気味な『人形もの』になるわけでも、自我をなくすわけでもないようだ。

逆に男は少しだけ考え込む。

下級世界アンダーにいる彼ではあるが、上級階級アッパーの人間達が他の世界と戦争を続けていることは知っていた。だからこそ、屈強な男でも人形師の目に適えば生人形になることがある。その場合、生人形となった男は操人形と戦うことを義務付けられる。

更に、男が戦った分だけその人物の願った集落さきへと報酬の半額が支払われることになるので、若い青年とかは率先して人形師の元へと自分を売り込みにいくぐらいだ。

実際、この村からも数人が戦士として生人形となっている。

目の前の少女が操人形を見れるぐらいの地位の異世界の人間の可能性もでてきた。

男は一つ唾を飲むと、恐る恐る和姫に問いかけた。

「こんの世界では『操人形』つくるなんて邪道だからぁ、他の世界の『上級階級』か?」

緊張する回りを余所に、彼女は小さく首を傾げた。

「アッパー?ミドルとかアンダーとかそれすらも解らないわ」

少なくとも彼女の住んでいた『日本』という世界には貧富の再はあるが、そんな明確な階級などはなかった。

その答に男達が緊張感を解いた。目の前の少女が本気でそれらを知らないことはその表情から明らかだった。

「それがない世界から、か………新しい道でも出来たんか?」

男達は先ほど和姫を拾ったほうの空へと目を凝らした。しかしそこには何の以上も見えない。異世界同士を繋ぐ道がある場所によく見られる澱みも見られなかった。

「道がどうのとか解らないけどあなた方がいう『マリオネット』っていう人達が開けた穴から私落っこちたわ」

空を見上げている男たちに和姫は補足するように自分がこの世界ばしょへと到着ついた経緯を述べた。

その言葉に、彼らは空から振り向き驚きの表情を露わにした。

「つぅことは、『対立世界あっち』が新しい世界を見つけて人狩りでも始めたんか?」

和姫の腕を掴んでいた男の一人が心配そうにリーダー格の男に視線を向ける。だが彼は重く首を横に振る。

「いんやぁ、それだと人形に行かさずぅに魔導士が行く。そうじゃなけりゃぁ、こんの嬢ちゃみたいに落ち先が滅茶ん苦茶んになる」

人形に任せたから彼女は落ちる世界を違えることが出来た。それは明確だ。つまり『操人形ぶったい』ぐらいしか通れない道から向こうの世界はこの少女だけを得ようとしたのだ。

(これは凄い拾いモノか、それとも厄災の種か)

何れにしても村に危害が起きない内に早々に人形師の元へと移動させた方がいいだろう。

「とりあえずあんたは『人形候補部屋マテリアル・ハウス』で少しのまぁ、過してもらう。といっても、二、三日ぃで人形師の元に行くことになるから覚悟しておいてくれ」

男の言葉に和姫は硬い表情ながら確りと頷いてみせた。

サブタイトルは村人から見た和姫のことです。

それにしても年明け初めての調和女神……そろそろ遅筆モードに移行してしまいそうで怖いトロさです。

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