「気が向いたらね」
掃除するのが
億劫なのよねぇ
寒くて
掃除機はだんだん暖かくなるけど
テレビをぼぉーっと見ながら
こたつに突っ込んだ私の足は
なかなか暖かくならない
もぞもぞと
こたつから顔だけを出した猫が
人の顔を見て「ニャー」と鳴いて
また寝る
「さっさと掃除しろよ」と
言いたげな態度に苦笑して
重い腰を上げる
人類がこたつを取り戻す日は
まだまだ先の様だ
と、思ったのも束の間
人にしたら4年半
猫にとっては20年
うちに来た君は
もう大したオッサンで
おじいちゃんに片足突っ込んでた
本来なら
余生を穏やかに送るはずだった君を
精一杯甘やかして
可愛がって
せめて君が
ここに来てからも
幸せだったと思える様に
分かっていた事は
いつかその時は
必ず来ると言う事
覚悟はしてたけど
別れはいつも
人の都合なんてお構いなしに
突然やってくる
君がいたから
穏やかで優しい日々を
過ごす事ができた
だから
ホントにホントにありがとう
苦しむ君を見て
もう頑張らなくてもいいんだよ
って言ったけど
本音はね
もうちょっと一緒にいたかった
でも君が
「もう行くね」と
言ったから 私は
うん、またねと
笑顔で見送る事しか
出来なかったよ
今頃君は
虹の橋の向こうから
こちらを監視してるのかしら
もう季節も変わるし
いつまでも
泣いてる訳にもいかないよね
分かってる
分かってるんだけどね
子供がいなかったら
猫を飼いなさい
猫が赤ちゃんの頃
あなたは猫の
良き下僕となるでしょう
猫が子供の頃
あなたは猫の
良き下僕であるでしょう
猫が年をとった頃
それでもあなたは
猫の良き下僕のままでしょう
そしていつかその時が来た時
猫はあなたの心に
猫型の穴を開けて行くでしょう
そしてその穴を埋めるには
また猫を飼うしかありません
と、人は言うけど
君じゃなくちゃ
意味がないから
毛皮の着替えを早くして
またここへ帰っておいで
「気が向いたらね」
(第43号「特別寄稿」)




