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「手紙」

8月の暑い日に

街から手紙が来た

封筒の宛名は

相変わらず癖のある字で

懐かしすぎて動けない

厚みのある封筒に

これは読み甲斐があるわね、と

苦笑する


「娘も高校生になりました

最近の話題は

好きな男の子と体型

時代は変わったと言うけれど

女の悩みは

そんなに変わらないみたい」

手紙は近況報告

ふふっと鼻で笑いながら

パチンと手紙をはじく

手紙を読み終わる前に

思わずスマホを手に取って

そっと置く

最近の私は

夢や理想を語るより

現実を語る方が

上手くなった

変わったのは時代の方が

それとも私の方か


終わらないおしゃべりは

課外授業

人生論や恋愛論は難しい

それでも

少し早口な貴女の言葉に

アンダーラインを引きながら

退屈な学校の授業より

ずっと真面目に聞いていたあの頃

それから

幾つもの季節が巡り

時は流れ

どれ程の出逢いや別れが

私を変えたのか

惰性を覚えていく代わりに

夢を追うことを諦めた

安定を求めた結果

変化を嫌う様になった


変わる事が

大人になると言う事ならば

きっと

生きる途中で落として

忘れてしまった気持ちも

たくさんあるのだろう

生活に追われ

日常に迫られ

変わる事で

この生きづらい日々を歩いてきたのだから

それはそれで悪くないわよね


あれから

だいぶ時間が経つけれど

お変わりありませんか

変わらない人は

いないけれど

きっと貴女が

ずっと好きだわ

時々届くこんな手紙も

いつかは途絶えてしまうのだろうか

それでも貴女が

ずっと好きだわ

時の流れに

負けないわ

第43号 「特別寄稿」

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