表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/58

「バカにしちゃいけないよ」

まったく何でこんなものを

後生大事にしまってあるんだ

私は

こりゃ怖い物が出て来たと

掃除の手を止める


写真には

行く先を知らない二人が

無邪気に腕を組んで

手紙には

大雑把な文字で

「ごめん」と一言だけで

この二つを結ぶ間には

命懸けの恋があったはずなのに

今ではただの

厄介者でしかないのは

なぜだろう


少なくとも

あの頃の私には

捨てられない想い出だった

何度も捨てようとして

悩んで 苦しんで

それでも

捨てられなかった想い

どうすることもできないままの

あの苦しみの中を

どうやって生きて来たのか

もう良く覚えていないのだけど

いつの間にか

涙で枕を濡らすことも

思い出にすがることもなくなり

挙句の果てには

こんなものが残っている事すら忘れて

過ごしてきました

今の私には

あの頃の思いなど

到底分かるはずもない

時間の流れと並行して

流されていくものがあるみたいね


心の流れを

バカにしちゃいけないよ と

あの頃の自分に

笑いながらつぶやく

写真は灰皿の上へ

手紙は飛行機になって

軽くなった心も

風に乗る


【第34号掲載 「佳作」】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ