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「花が散るは日ノ本の為」
あれから
幾つもの季節が過ぎまして
幾つもの時代が在りました
人の心と云う物に
一片の不変が在るのなら
どうか どうか 此れからは
永久の平和が在ります様に
花の命の短い事を
貴方は知っているのでしょうか
人の命は花の如しと
貴方は知っているのでしょうか
例え
貴方のその小さな命1つで
より多くを救えるとして
残される者の
苦しみに似たもどかしさは
一体どうしたら救われますか
今は全てお国の為
たった一つの命も惜しまず
貴方は飛ぶと云うのですか
貴方も此の世に
たった一人の人なのです
旭日旗の揺れるあの滑走路を
帰り路の無い滑走路を
飛び立つ貴方に行かないでと
言えない私のせめてもの救いは
貴方は決して
絶望へと旅立つのでは無い事
あれから
幾つもの季節が流れまして
幾つもの時代が在りました
貴方が残してくれたものは
何一つ無くて
この愛だけが
ずっと貴方を忘れない
貴方が還る場所だけは
ずっと守って来たけれど
貴方はまだ帰らない
貴方はもう帰れない
あれから
幾つもの出逢いが在りまして
幾つもの別れが在りました
もう忘れてしまいそうな程の
時間が流れても
ずっと忘れずに居るのは
此の空があの時と同じ
又 青空




