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「おばあちゃん」

「よかったねぇ、ナオミは

いい会社に勤められて。」

記憶の薄れたおばあちゃんは

そればかりを繰り返す


一身上の都合により

退職いたしたく

ここにお願い申し上げます

はじめて書いた割には

良く書けた退職願

これ以上

ここではやってはいけないと

勝手な判断

会社帰り 足の向くまま

おばあちゃんの様子を見に行く


「よかったねぇ、ナオミは

いい会社に勤められて。」

あのね、おばあちゃん

私もうその会社

辞めちゃうのよ

「あら、そう。大変ねぇ。」

記憶の薄れたおばあちゃんはもう

私がナオミであることもわからない

「アタシの孫のナオミはねぇ

いい会社に勤めているのよ。」

だからこうして

自慢げに話をする


厳しい人だった

いたずら好きの私を

いつも叱ってくれた

おばあちゃん

今ではもう

一日が過ぎるのを

ぼんやりと眺めている

おばあちゃん

私はあなたのそんな姿

見たくはなかったよ


私がナオミだと

わかってくれたのなら

あなたは何と言って

叱ってくれますか

「あたしの孫のナオミはねぇ

いい会社に勤めているのよ。」

おばあちゃん

それがあなたの生きがいならば

わからない方が

いいかもしれない


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