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恐竜、犬、猫、お魚、と、

作者: かねこふみよ

 白い息の向こうで流星群が降っています。ニット帽とダウンジャケットと手袋と長靴と完全防寒をしていても頬は氷柱でしきりにツンツンとされている感じがします。

 お父さんと一緒に流星群を見るのは二回目です。実は一回目は見えなかったのです。夏、曇っていたせいか、時間が良くなかったせいか、どうにか一時間がんばってちらりと光の線が見えたかなあくらいでした。今は冬です。曇りが心配でしたが、すっかり強い風が払いのけてしまって、きらびやかな夜空になっていました。

 流れ星に3回願い事をすると叶う、と聞いていたので、ピーマンが食べられるようになりますようにとか、二重跳びがクラス一位になれますようにとか、言おうと思ったのですが、これほどの星々が雨のように降っているのを見ると、どの星にお願いをしていいのやら迷ってしまいます。

この際だから、あれやこれやと願ってみようと思って、ふと思い出しました。昨年は中止になってしまった恐竜展が今年は開かれると聞いたのでした。恐竜展に行けますように、と願おうとすると、不思議に思ったことがあります。

「お父さん、ティラノサウルスやトリケラトプスも流れ星に願い事をしていたのかな」

 お父さんは恐竜の脳は人間と比べて……と話そうとしましたが、それは止めて

「願い事はどうかしれないけれど、見えてたとは思うよ」

 と答えました。

「ふーん。恐竜たちの願い事って何だったんだろうね」

 それはお父さんにきいているようで、独り言のようでもありました。

「それなら、犬や猫はどうだろう」

「犬や猫はもう寝ているんじゃないか?」

 今はもう日付が変わりそうな時間です。今晩は特別に起きていますが、確かにいつもなら寝ています。犬も猫も寝ているはずです。

「それなら恐竜も寝ていたかもしれないね。そうしたら流れ星は見れなかったね」

 夜空の映画のようなシーンにワクワクしています。恐竜も犬も猫もそれが見られない。

「ん? お魚はどうなんだろう。寝ない魚もいるってテレビでやってた。お魚は流れ星見えてるのかな。海の中から見る流れ星ってどんなだろう」

「夜の海はまっくらで怖いんじゃないんかな。流れ星どころではないかもね」」

 お父さんは困ったように言い聞かせるようでした。

「お魚は夜の海は怖いのかな」

 お父さんに聞こうとしましたが、独り言にしました。

「流れ星を見ることができたら、恐竜や犬や猫やお魚はどんな願い事をするかな」

 それも独り言にしました。お父さんはどう答えにしたらいいか分からなくなって黙ったままになりました。

「僕が代わりに何かお願い事をしようか」

 お父さんには聞こえない声で、ぶつぶつとつぶやきました。おさまってからふと我が子の顔を見ると、爛々とした目つきでまた流星群を見上げていました。お父さんはなんだかほこらしい気持ちになりました。

 しばらくして大きくはない動物の足音が聞こえると、二人は流星群の中、静かに帰ることにしました。


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