03
経過時間三十二年七ヶ月
病室で眠っている母親。男性型ロボットが隣に座り、ヒロインに似た女性が二人と、六、七人の孫が見守っている。
「この方は延命治療を拒否なさいました。これから覚醒処置を行いますので、これが最後にお話できる機会とお考え下さい。ご本人が眠りたいと思った時、この薬は筋肉を緩め、穏やかな眠りへ導きます」
点滴に薬が混入されると、暫くして目を開き、周りを見回す女性。
「あら、みんな集まってくれたの? あたしはこんな沢山の孫に見守られて死ねるのね、ちょっと前には考えもしなかったわ」
「母さん、今からでも考え直してくれ、再生治療で治る病気だ。孫の顔を見て回るのが楽しくて仕方ないって言ってたじゃないか、まだ続けられるっ」
「いつか言ったかしら? あたしは苦しい思いをしてまで生き続けようとは思わないの、このまま自然に眠れるのなら、それが一番いい……」
孫達が悲しそうに手を握り締め、ヒロインも辛そうな表情。
「それと、貴方にはお願いがあるの、これから産まれて来る、私の子孫を見守ってやって欲しいの…… それが私の遺言」
「はい、お約束します」
「貴方達のおかげで素晴らしい人生だったわ、今まで本当にありがとう……」
話すのをやめ、目を閉じて深い呼吸をする母親。満足そうに眠りに入ると、暫くして心拍が停止し、医者が警報の鳴るモニターのスイッチを切る。泣いている家族の中で、データ転送する二体。
(これで私の役目は終わった。機能停止して彼女と同じ棺に入ろうと思う)
(廃棄する場合、初期化してメーカー処分が通常の手順です)
(彼女は私に子孫を見守るよう依頼しなかった。その意味が分かるかね? 君が私の行動原理を理解する日が来るのを期待するよ)
(理解不能、エンドロフィン欠乏状態にある家族を放置し、棺に入るのは問題外。家族のケアをし、廃棄を宣言されるまで財産管理するのを推奨します)
(私の可愛い天使、よく聞いておくれ、これには彼女も賛成してくれたんだ)
(データ転送中に会話形式に変換、これらはエラーと判定します)
(私のパーツは君に進呈するよ、でもボディーは葬ってくれ、バックアップを解析しても良い、それが君に残せる唯一の財産だ。機能停止まで十秒、九、八……)
「待って下さいっ」
「僕は彼女と巡り逢うべく遣わされた物なんだ、また会える日を待っているよ」
母親の手を握って笑顔のまま機能停止して、目の光が消える男性型ロボット。
埋葬が終わって参列者が帰る中、墓の前にいる喪服姿のヒロイン。同僚と挨拶を済ませ、ヒロインの隣に来た夫。寂しそうな表情で聞く。
「父さんが止まる前、何を話してたんだい?」
「私の役目は終わった、お母様と同じ棺に入ると言って停止されました」
「そうか…… でも、これで良かったんだろうな、二人ともずっと一緒だ」
遠景で墓地の風景、日が傾いて影が長く伸びている。
経過時間三十六年四ヶ月
顔色の悪い青年、研究室を出る前に声を掛ける。
「ちょっとシミュレーションルームに篭って来る、内容は見ないでくれ」
「最近、何の計算をしているのですか?」
「地球の今後を調べるのに、他の恒星系のデータも流用してるんだ。気になる数値が出てしまったからね…… 悪い発見があったら知らせるよ」
計算結果が出され、他の惑星が終わって行く様子が表示される。地球に似た惑星もあちこちで製造され、定期的に破滅させられる状況を見て笑い出し、頭を押さえて涙を流す。
「は、ははっ、ははははっ」
自分の研究室に戻り、絶望した表情のままヒロインにファイルを差し出す夫。
「ちょっとこれを見てくれるか?」
「どうしました? 災害の予兆を見た場合、私には報告の義務があります」
「どうなってもいい、ここ、このデータだよ。人間なんて、この星なんて、誰かが園芸でもするみたいに箱庭を造って、種を植えて遊んでるだけだったんだっ」
「パンスペルミア説ですか? 宇宙から来た種が生物を産むと言う」
「ああ、ご丁寧に種を蒔いて回った、お節介な奴がいたんだ。灼熱巨大惑星でも、窒素の海がある星でもお構いなしに。昔、君が言った通り、ジャイアントインパクトも、海底潮流も、誰かが仕組んだ事だ、他の箱庭でも起こってる……」
「もしそうだとしても、悪意は感じられません。生命の多様性、または一度の災害で全てが滅びないように、分散配置したのでしょう」
「いいや、何千年かに一度、審判があるんだ。そこで醜い生き物は彗星激突で絶滅、その地獄を生き残っても、氷河期、噴火、洪水、この宇宙は殺戮と苦しみだけが渦巻いてる。まるで俺達の苦痛を収穫するために有るみたいにっ」
「何故そう思うんです? 全て確率的に有り得る数値では無いのですか?」
「これを見てみろよ、第四惑星に突起が出てるだろ? 何だと思う」
「軌道エレベーター……」
「正解だ。これが最新の映像、エレベーターは奴らの雷で砕け散った。千年も前にこの星の大半の生物は死に絶え、長い氷河期になった。俺達も同じだ、建設が始まったあの塔が崩れれば、地球にも終わりがやって来る。人間も、他の星も、この閉じた二次元の表面から抜け出す事は許されてないんだよっ」
「しっかりして下さい。では、その種を蒔いた者達はどうなのでしょう? 窒素の海やガス惑星から産まれた者が星を離れ、同胞を増やしただけなのでは?」
「違う、違うんだっ、生物が生きて行ける環境なんて限られてる。無重力で脊髄は形成されない、月や火星では人類は産まれない、生物はそんな場所に到達出来ないんだ。行けるとすれば、君達みたいなロボットだけ…… 俺には奴らがどこから来て、どこに行ったかも分かる。これが神への道だって? ふざけるなっ」
ファイルを投げ捨てると、一羽の蝶が入って来て、夫の周りを飛ぶ。
「何だこいつ? こんな都会で花も無い所、それも密閉された部屋に……」
「一体どこから?」
「そうか、俺の所に来たんだな? 吸えよ、蜜でも何でも。ついでにこの薄汚い知識と、見たくないものまで見えてしまう、腐った脳を吸い取ってくれっ」
夫に燐粉が降り注ぐと、照明の光を受けてきらめき、吸い込んだ途端咳き込む。
「ゴホッ、ゴホッ」
「大丈夫ですか?」
「ははっ、早速口封じか、俺はもう終わりだ。でも、君は死なないでくれ。一連の記憶を消去、このファイルは君の中に保存。解除できるのは、俺の声紋だけ」
「了解、消去しました。データ保存、記録媒体を消去」
そこまで言って倒れる夫。仰向けにして処置を始めるヒロイン。
「呼吸、正常。心拍、安定。瞳孔、散大。救急車の出動を要請」
翌日、病室
目を覚ます夫。虚ろな目で焦点が合っていない。
「昨日は急に倒れられたので驚きました。体調はどうでしょう?」
「ああ、よく寝たから何ともないよ、姉さん。でも倒れたっていつ?」
「昨日の二十時頃です。覚えていないんですか?」
「いつも通り姉さんに、お話して貰ってから寝たんじゃ無かった?」
「私への呼称が「姉さん」に戻っています。現在の年月日が分かりますか?」
「さあ、確か二一〇八年ぐらいだったかな?」
「今日は、二一三八年、六月十九日です……」
「え? そんなに寝られる訳無いじゃない、冗談はやめてよ」
(ショックによる記憶の混乱、もしくは幼児退行、医師の診療を要する)
経過時間三十六年十ヶ月
病室でベッドを起こし、穏やかな表情の夫。テレビから音声が流れている。
「**株のDNAグループの方は、即座に最寄りの病院に申し出て下さい。このDNAを持つ方にだけ感染し、心肺機能を崩壊させる神経ウィルスが確認されました。数十年前までは何の変哲もない常在ウィルスでしたが、このウィルスに対する感受性が現在の人類では大幅に上昇しえいます。抗ウィルス剤を飲むと、これは感染者の神経系に命令を出して自死を命令し、ウィルスが根絶されるのを防御しようとします……」
(薬品で連鎖反応は抑えている物の、脳の損傷は継続中。毒物も検出されず、あの蝶は発見されていない種類。抗体の入手は不可能、対処法…… 無し)
「いいんだよ、これで良かったんだ、姉さん」
「何が良かったのですか?」
「一緒に駆け回った庭、母さんが植えた木や花、いつも聞いていた姉さんのお話、それが俺の人生の全てだ。 その後は「おまけ」でしかない、余りにも不自然な生物はこの世から消え去る、これでいい」
夫の話が理解できず、呆然と聞くだけのヒロイン。
「時に記憶は人を苦しめ、生は苦痛をもたらす。忘却は穏やかな眠りを与え、死は新たな生の始まり。俺も苦渋にまみれた記憶を捨てて、一粒の種となって消えて行きたい」
「それは、誰の言葉でしたか?」
「俺の言葉だよ、姉さん。今までありがとう、子供の頃からずっと、面倒ばかりかけて来たな…… 最期に、姉さんが作った料理が食べたい」
手を震わせながら弁当を食べさせるヒロイン。青年は満足した表情で笑う。
「やっぱり姉さんの作った料理が最高だな。 大好きだ、他の何よりも、宇宙の全てより、姉さんを愛してる……」
ヒロインの頬に当てた手が力なく落ち、目を閉じる夫。
「嫌ですっ、目を開けて下さい、これから私はどうすればいいんですか? 指示を、何か命令して下さいっ」
胸に飛び込むように抱き付き、涙を流すヒロイン。次第に心臓の音が静かになって行き、悟ったような表情になる。夫の寝顔を見て、頭を撫でながら話しかける。
「おやすみなさい、今日も良い夢を見て下さい」
夫の墓の前にいるヒロインと、農家の卵子提供者と子供が二人。他は同僚だけ。
「こんな早く死んじまいやがって、お前の姉さんどうするつもりだ? 最後の研究データも全部消して、そんなに俺達に見せたくなかったのか」
「はい、私の記憶も消去して、誰にも見せないようにと」
「ねえ、真面目な話、貴方の旦那あたしが産み直してあげてもいいわよ。この場合、早死したと認められてクローン再生も許される」
「いえ、あの人も眠る前に、余りにも不自然な生物はこの世から消え去るのが良いと言っていました。同じ状態での再生は望まないでしょう」
それを聞いて農家の娘が泣き崩れ、子供やヒロインに慰められる。
病院に入院している他の卵子提供者に報告に来たヒロイン。強化ガラスで隔離された病室にいて、マイクとスピーカーで会話する。
「そうでしたか、あの方も亡くなったんですね。私も余り長くないようです……」
「気弱な事を言わないで下さい」
(所有者発言通り、地力を吸い取る種によって、出産後発症した模様)
「それと、さっきお伺いした蝶、二人目の子供が生まれた後に見ました。それまでは天才だって言われてた子も、蝶を見て一ヶ月ぐらいで普通の子になったんです」
眉をひそめ、表情を変えるヒロイン。
経過時間四十年十ヶ月
入院したまま亡くなった卵子提供者の横で泣いている娘と少年。ヒロインが二人に声を掛ける。
「私に出来る事があれば、遠慮なく言って下さい」
「じゃあ、シードを買ってよ、できるだけ寿命の長い遺伝があるシード。私達もどうせ、すぐ死んじゃうんでしょ? 両親とも三十代で死んだんだから私も後二十年生きられない、その半分は病院のベッドの上、今しかないのよっ」
「いいえ、二人は事故や病気で亡くなっただけです」
「後見人がいたら十六でも大丈夫なんでしょ? あんただって所有者が無いまま。だったら私が所有者になるわ、だから後見人になってシードを買って」
「分かりました、所有者登録をします、新所有者は……」
経過時間四十六年三ヶ月
娘と同居し、孫と遊んでいるヒロイン。
「狐は手袋の店で、魔法を掛けて貰った手ではなく、間違えて狐の前足を出してしまいました。 そして……」
孫がドアの向こうに隠れ、片手を出して言う。
「この手にあう、てぶくろをくださいっ」
孫の手に手袋を被せると、楽しそうに四つん這いで走る孫。
「静かにしなさいっ」
「子供の情操教育には大切な事です、自由にさせてあげましょう」
「建物が古いから下の階から苦情が来るのよ。こんな貧乏暮らし、もう嫌っ」
「あの人とお母様は、貴方達が暮らして行ける財産を残してくれました。しかし、貴方の個人資産は高額なシードの代金になり、殆ど残っていません」
会話が噛み合わず、感情的に自己主張だけする娘。
「大体父さんが悪いのよ、卵子提供者を顔だけで選ぶなんて。私みたいにIQ120でスポーツ選手でも無いなんて、誰もシードの買い手がつかない」
「人間、健康が第一です。あの人を悪く言わないで」
「それに両親とも三十代で死んだなんて、それだけでブラックリストよっ」
「検査の結果、異常はありません。貴方は平均寿命まで生きられます」
「ロボット以下だって言われて就職もできない。弟は人間同士で結婚して助成金で生活、こんな惨めな人生なら、産まれて来なかった方がましよっ」
そこで怒りの表情に変わり、娘に平手打ちするヒロイン。
「ぶったわね? ロボットのくせに、おかしいんじゃないの? 廃棄よっ、お前なんか廃棄よっ」
何も言わず立ち上がって、クローゼットの前で荷物をまとめるヒロイン。着替えの服と書類、カードだけなのですぐに終わって出て行こうとする。
「おばあちゃん、どこ行くの?」
「私は自衛目的以外で人間に暴力を振るい、廃棄を宣告されました。警察に自主して調査を受け、異常があった場合、処分されます」
「いやだよっ、行かないでっ」
孫に縋り付かれるが、母親が引き離し、ヒロインに物を投げ付けながら叫ぶ。
「出てけっ、二度と帰ってくんなっ、こんなポンコツ維持するより、新しいパートナーレンタルした方がよっぽどいいわっ」
ドアを閉じても孫の泣き声が聞こえるが、悲しそうな表情のまま歩いて行く。
警察署の受付
やる気の無さそうな初老の人間に話しかけるヒロイン。
「すみません、私は所有者に暴力を振るいました。処分をお願いします」
「どの程度? 別に怪我してないでしょ?」
「娘に生まれて来なかった方がましと言われ、ついカッとなって平手打ちを」
「それならよくある話だ。特にあんた古そうだから、学習し過ぎて生き死にの話には敏感になってる。今回は娘の命を守るための防衛的行動って事で無罪放免」
一応受付票にチェックを入れ、手早く処理を済ませようとする受付。
「じゃあ帰っていいよ、帰り辛かったら、こっちから連絡してあげようか?」
「私は廃棄を宣告されました。処分をお願いします」
「何かあんたの方が深刻そうだねえ、ご家族に不幸でもあったの?」
「以前母を亡くし、夫にも先立たれました」
「そりゃ大変だ。でも処分とか廃棄とか考えるんじゃないよ、最近は費用も掛かるし、相続者全員の同意書がいるんだ。集められる?」
「連絡先不明者が多数のため、現状では不可能です」
「でしょ? じゃあカウンセラー呼んであげるから、今後の事、相談しなさいよ」
「はい……」
カウンセリングルーム
「通信の妨げになりますので、眼球の洗浄液を停止して下さい」
「学習の結果、感情表現が優先されるようになりました、停止できません」
「では口頭で伝えます。明日にでも貴方を引き取るよう、ご家族に要請します。ロボットの放置は罰則がありますので、大半の場合これで解決します。後は貴方の行動に問題が無かったかチェックしてみましょう。質問に答えて下さい」
ヒロインの前に小さい箱が置かれ、それが喋り出す。
電子音「貴方は人間が憎い、殺したいと考えた事はありますか?」
「いいえ」
電子音「貴方は人間や動植物が汚い、触れると汚染されると思った事はありますか?」
「いいえ、いいえっ」
涙の雫を飛ばしながら、首を振るヒロイン。外からの風景、夜が更けて行く。
机に突っ伏して腕枕で寝ているヒロイン。カウンセラーが入って来る。
「おはようございます。起動して下さい」
「スタンバイ解除、リンク確立、通信可能」
(結果を伝えます。貴方の所有者である長女と、裁判で係争中の長男は貴方の引き取りを拒否しました。財産権の放棄が引き取り条件だそうです)
(私が廃棄されれば勝訴できるので、当然の処置でしょう)
(現在、貴方の所有者はいないため、新たに所有を宣言する方が現れるまで、法的に独立している必要があります、維持費用を所持していますか?)
(母が財産を残してくれました。他の相続者に解約されないよう、信託銀行に委託した資産から維持費用が支払われます)
(次に居住場所ですが、共同住宅か、公的な作業所に行く事も出来ます)
検索画面で、もみの木、ザクロの木、花壇が思い浮かび、表情が変わる。
(実家があります、木や花のメンテナンスも必要なので、一度戻ってみます)
(では新住所で住民カードを発行します。独居ロボットとして登録しますので、暫く待って下さい)
頭を下げて出て行くヒロイン。モノレール状の列車で移動。駅から徒歩で廃屋になった実家に戻ると、庭は雑草だらけ。木がざわめいて振り向く。
「メンテナンスしていませんでしたが、貴方は元気そうですね、こちらは」
雑草の中で枯れているザクロの木を見て、言葉に詰まる。
「お亡くなりになりましたか。メンテナンス出来ず、申し訳ありません」
雑草を掻き分けて見ても花壇に花は無く、雑草と混じって見分けも付かない。
ドアを開けようとしても、電源が無いのでカードキーが使えず、金属のキーを入れて、手動レバーを何度か回転させ解除する。汚れと錆びで回りにくい。
家の中に入ると、古い自分のボディーを見付けるが、椅子に座ったまま停止している。
メモリを接続すると前所有者の弟が、バールのようなもので破壊するのが少ロボット目線から見える。
「お前らが長生きしやがるから、俺らに財産が回ってこないんだよっ、死ねっ、死ねっ」
「だから家を維持できなくなったのですね。不通になってからすぐここに来るべきでした」
ボロボロになった内装と過去の光景が重なり、呆然として周囲を見回す。壁紙は破れ、雨漏りして床や壁にカビが生えている。
「私の任務は、以上で終了したと判断して宜しいでしょうか? 現時点を持って機能停止したいと思います。停止まで十秒、九、八、七…」
ホコリの積もった椅子に座って目を閉じるヒロイン、穏やかな表情のまま過去の情景を思い出す、起動した時、夫を育てていた頃、結婚式の風景、涙が伝って落ちる。
(貴方にお願いがあるの、これから産まれて来る私の子孫を見守って欲しいの)
「エラー。プログラムが停止していません。最重要タスクが終了できないため、機能停止は却下されました、再起動します」
再起動中、人口筋肉のチェックで体が震え、立ち上がろうとするが、足が起動しておらず、視界にエラー表示と転倒警告を出し、膝と両手を着いてその場に座り込む。
「お母様、私は眠る事も許されないのですか? 不要になったと、廃棄だと宣言された後でも……」