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7.梅は白し
○ 春あり成長して浪花にあり
梅は白し浪花橋辺財主の家
春情まなび得たり浪花風流
○ 郷を辞し弟に敗く身三春
本を忘れ末を取る接木の梅
この個所では、大阪に奉公に出た日々が回想されます。
前半は華やかな生活が「浪花」の文字が各行に登場することで強調されています(浪花橋は「らうくわけう」で音の変化もつけられています)。
後半は故郷を忘れがちであったことが言わば短調で語られ、それを梅が前半とつないでいるという趣向です。
ただ苦界に身を落としたことを嘆くという気配は後半でも淡いもので、あどけない少女の述懐である以上、そうであるはずです。
認めない人は絶対に認めないでしょうが、昔も今も身体を売ることをさほど苦にしない少女はいるのでしょう。