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6.たんぽぽ花咲けり
○ 春草路三叉 中に捷径あり 我を迎ふ
○ たんぽぽ花咲けり 三々五々 五々は黄に
三々は白し 記得す 去年此の路よりす
○ 憐れみとる蒲公茎短くして乳を浥
○ むかしむかししきりにおもふ慈母の恩
慈母の懐袍別に春あり
夢の中の物語のように少女は、春の野で三叉路に出会い、真ん中のたんぽぽの道がこっちだよと言ってくれます。
まるで「オズの魔法使い」のyellow brick roadのように。
「五々は黄に 三々は白し」、「むかしむかし」という表現もおとぎ話ふうです。
たんぽぽの花からくみ取るイメージは、現代の我々となんにも変わりません。
やさしく折り取ったたんぽぽの茎から乳汁があふれ出ます。
それが暖かい母の胸を連想させ、過去を蘇らせます。
「茎短くして乳を浥」なぜ短いのかと言えばそれは少女の乳房のイメージも重ねられているからです。