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4.江南の言葉
○ 店中有二客 能解江南語(お店に二人連れのお客はん、島之内の言葉よう知ってはる)
酒銭擲三緡 迎我譲榻去(酒手に三十文くれて、床几に座りぃゆうて行きはった)
江南が色街の島之内とは、驚かれたかも知れませんが、永井荷風が私娼街玉の井辺りを濹東(隅田川の東岸)と表したのと軌を一にしています。
船場あたりの本物の大阪弁はよく知らないのですが、上のように訳してみました。
しゃがんでいた彼女に酒手をはずんで、折り畳みの椅子に座らせてくれた粋な旦那といった光景が浮かび、彼女が色街の女性で、客あしらいも慣れたものだということが暗示されています。
茶店周りでのやり取りを経て、場面が変わっていきます。