表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
与謝蕪村:春風馬堤曲  作者: 夢のもつれ
2/9

2.少女との出会い

 では、小西先生をして日本文芸史上、「空前であると同時に、たぶん絶後でもあろう。そして、欧米においても、この類の詩は皆無でなかろうか」と言わしめた作品を見ていきましょう。


 漢文で書かれた序文では、蕪村が大阪の奉公先から故郷に帰る少女と淀川の毛馬の堤で出会い、一緒に歩いた経験を元に、彼女の視点で構成されていることが説明されています。彼女は3年の都会暮らしですっかり垢抜けて、なまめかしいながら、心映えは可憐であると描写されています。


 こうした少女と俳人らしき老人の道行きがお芝居仕立てで語られていくわけで、主情を押し立てていく啄木とは凝り方が違います。


 ○ やぶ入りや浪花を出でて長柄川


 ○ 春風や堤長うして家遠し


 ○ 堤ヨリ下テ摘芳草 荊与棘塞路(芹を摘んでいたら、茨が邪魔するの)

   荊棘何妬情 裂裾且傷股(裾が裂けて太腿に傷が……いやらしいやつね)


 情景説明的な句が二つ前置きされて、土手で芹を摘む少女が描写されます。

 草を摘むあどけなさと成熟しかかった肢体、昔も今も男ってそういうのが好きなんですね。


 そうしたエロスが少女の視点でしかも漢詩によって語られることによって、彼女を見る老人の視線も巧みに隠されています。


 荊棘の文字が2回出てくることで、やわらかい太腿を傷つけるトゲトゲした感じが強調されています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ