冒険者登録と付属スキル
この世界の物価は作者の独断と偏見で決めているので、おかしい所もあるかもしれませんがご了承下さい。
ギルドの扉を通り、中に入った宗太郎。その内装は、まさに一昔前のRPGに出てくる酒場の様だった。
中央の奥にカウンターがあり、受付嬢達が対応を行っている。左右の開けたスペースにはテーブルと椅子が並んでいて、実際に酒場も兼ねているのだろう。テーブルには冒険者達が集まって酒盛りをしていた。
またも異世界情緒のある光景に、宗太郎は軽く感動を覚える。気を取り直して、中央のカウンターに近づき、受付嬢の1人に話しかけた。
「すみません。」
「はい、クロージャの街冒険者ギルドにようこそ。担当させて頂きますケリナと申します。今日はどうされましたか?」
「えーっと、俺この街に来たばかりでまだ詳しく知らなくて...冒険者とかギルドとか色々教えて頂けませんか?」
「わかりました。まずここ、ギルドというのはこの街の住人や冒険者同士の助け合いを目的とした互助組織です。住人や冒険者から依頼を募集し、それを他の冒険者の方々に斡旋するのを主な内容としています。その他にも素材の買い取りや両側の酒場の運営等も行っています。
冒険者というのはこのギルドから依頼を受け、素材採集やモンスター討伐等を行う方々の事を指します。」
受付嬢の女性ーケリナが説明する。
「ギルドでは、冒険者の方に等級証を発行しています。この街ではこれがそのまま身分証として使用することが出来ます。等級とは、その冒険者の方の力量に合わせてギルドが定めさて頂いているランクです。等級は下から順にEランク、Dランク、Cランク、Bランク、Aランク、Sランクの6つがございます。基本的に冒険者登録を行った方は皆さんEランクからのスタートとなります。」
「なるほど...」
「この街に来たばかりなら、冒険者登録をしてしまうのがおすすめですよ。身分証がなければ街の宿屋等も利用出来ませんからね。あっちなみにこのギルドハウスの二階以上の部屋も宿として貸出を行っているので、街の良い宿に泊まるお金が無い時は是非ご利用下さい。」
「じゃあ、冒険者登録をお願いします。」
「畏まりました。では一般ステータスを表示させて頂けますか?」
「一般ステータス?」
宗太郎がオウム返しに聞いた瞬間、目の前に半透明のディスプレイ画面のようなものが現れた。そこには宗太郎についての情報が記されていた。
名前:加地 宗太郎
年齢:20才
性別:男
レベル:1
経験値:0
状態:健康
切替:詳細情報
(うわっ、なんかゲームみたいだ。)
突如現れた画面に思わずそんな事を思う。
ディスプレイの下には切替と書かれたボタンがあり、恐らくそれを押すともっと詳しい情報を見れるのだと宗太郎は考えたが、まずはこれを対面のケリナに見せなければならない。どうしようかと迷っていたところ、ケリナが指を横にスライドするジェスチャーをしてくれた。教えられた通りに指をスライドすると、ディスプレイが半回転してケリナの正面に移動した。
「はい、ありがとうございます。
加地、宗太郎さん。年齢は20才。男性。レベルは...1ですね。ではEランクからのスタートとなります。はい、こちらが等級証となります。」
宗太郎のステータスの内容を紙に書き写したケリナは、手のひらサイズのカードを手渡してきた。受け取って眺めていると、カードに宗太郎の名前やレベルなどのステータスにある情報が浮かび上がる。
「はい、これで登録は完了です。どうします?このまま依頼を受けますか?初心者の方におすすめなのは薬草採取やスライム退治がありますよ。」
「じゃあ、薬草採取で。」
「畏まりました。ではこちらの薬草を10個、街近くの森で集めてきて下さい。」
ケリナは見本となる薬草を見せてくれる。
「依頼報酬は全て完了後の後払いとなっております。ご了承下さい。」
「わかりました。色々ありがとうございます。」
「いえ、どういたしまして。」
そう話して、宗太郎はカウンターから離れた。
ギルドを出て、大通りを歩く。そこで少し思い立ち、
(ステータス。)
と頭の中で唱えてみた。思った通り、目の前に先程の画面が表示される。そこでさっきは押さなかった切替ボタンを押してみた。すると切替ボタンの下にスペースが生まれて、追加の情報が表示される。
詳細情報
所持金:0G
パーティー:無所属
所持スキル:(ユニーク)等価変換Lv1
付属スキル 査定眼
(ん?所持スキルの所...等価変換はロデウスさんが言ってた奴として、その下の付属スキル?査定眼?ってなんだ?)
宗太郎は画面の査定眼という文字を指でなぞった。すると宗太郎の視界に変化が起きた。
足元にある雑草や建築現場の木材、通り過ぎる通行人が持つ装備品。そういった物に意識を向けると、シューティングゲーム等にある照準サイトのような円が発生し、雑草:1G、大型木材:3000G、剣:3000Gなど、その物品の名前と値段を表示するのだ。
(成程、査定ってそう言うことか。こりゃこの後の薬草探しに便利だな。)
正直さっきパッと見ただけの薬草を探せるか不安だった宗太郎は思わぬ便利スキルに舌を巻く。
そのまま査定眼を使って通り過ぎる様々なものの価格を調べていく。その結果分かったのは、この世界の通貨、Gは元の世界の日本円と比較して、大体1G=1円ぐらいという事が判明した。
(早い所この世界の通貨も覚えなきゃなぁ...)
そう考えながら宗太郎は門を通り、近くの森を目指すのだった。