後悔の記憶の公開
パソコン壊れてプロットも下書きも全部吹っ飛んでふて寝したら一年以上経ってました。ウケる。
一年全生徒が講堂に集まり、皆一様に期待に胸を躍らせている。
かく言う俺もかなり期待している。特に空を飛部は期待の塊しかないだろう。
「やっくんさ、できれば一緒にできる部活にしない?私もここの部活の多さは気になってるんだよねぇ」
隣に座る蒼が手元のパンフレットを見ながら俺に話しかけてくる。
「いやお前、中学の時と同じように陸上でもしねぇの?結構やってたろ、お前」
「いやぁ、高校生になるとまた新しいこと始めたいなーって?」
「...気になるのが同じならまぁ、いいけどよ」
「へへ、やった」
蒼はもう隣で何がいいかなぁなんてウキウキしながらパンフに目を落とす。
すると、登壇に一人の女子生徒が上がった。
「えー、一年生の諸君。入学おめでとう。入学式でも挨拶はしたが、改めて、皆空高校生徒会会長、美山朱音だ。これからの三年間、諸君が少しでもいい学生生活を送れることを心より願っている」
その女子生徒を見たのは二度目である。入学式の時に式辞を述べた生徒会長その人である。
艶やかな黒髪を腰上まで伸ばし、しかし手入れを怠っている様子もなく、女子生徒とはこうあるべし、というようにきっちりとその肢体は制服に包まれている。
一点の曇りもないまっすぐな瞳、健康的な肌色、どれをとっても完璧な美少女といえるだろう。俗にいう美人さん、というやつだ。
「さて、今から諸君にはこの皆空高校の部活動説明会を拝見してもらうわけだが、皆も知っての通り、この学校は部活の数が多い。強制入部は校則にはないが、諸君らの貴重な高校生活という青春は、是非どこかの部活に入り謳歌してほしいと、私は思う」
凛とした声音とソプラノボイスの美声に、男女問わず新入生は生徒会長を見つめていた。
「それでは、まずは運動系の部活動の紹介からだ。それでは、またあとで」
生徒会長が登壇から降りると、誰からともなく拍手が始まり、皆テンションが上がっているようだった。これがカリスマ、というものか。
そんな中、俺は背中に何か悪寒のようなものが走った。それも人生で(とはいえまだ15年しか生きてはいないが)一番飛び切りのものだ。
いやな予感は当たるモノ。かつて誰かにそう教わった俺は、そういう直感は大切にしている。
が、この悪寒の正体は見抜けなかったので、素直に部活動紹介を楽しむことにした。わー、サバゲ―部もあるのかー。
後の俺は、この部活動説明会、サボった方がまともな高校生活が送れたということに気付き、涙を流すのだが、それがわかるのはまだ少し先の話。
高校生活が始まって、まだほんの数日の日の思い出。