8:人は数ヶ月も何もしなければ何をしていたか忘れてしまう
タイトルの通り、何を書いていたか分からなくなりました。
書きたかったことは書いていくつもりですが、やはり数ヶ月も経ってしまうと忘れてしまうということに悔しさを感じています。
ともあれ、今年1番の壁を乗り越えたので、1年が終わる時にはこのお話も終わらせれればいいな。と思っています。
いつも通りの日常を過ごしている。
静かで、住み心地のいいこの国は客観的に見たら天国のような所だろう。
ナツキは自室の布団で改めて再認識した。
かれこれ三日間はこうしていただろうか、太陽が上がったのかどうなのか、私にはどうでも良くなるほどやられてしまったのだろう。
──結論から言うと失敗した。
夏もそろそろ終わりをつげ、時たまに肌寒い風を感じるようになったあの日。
私はハチの治療を始めた。
本来であれば、まだ治療の段階では無かったのだ。
私もそれは自覚していた。彼女の心の病の原因も、彼女の事も理解していないのだから……
それでも何故かやってしまったのだ。
ルーカスの時のように、簡単に治療が出来ると思ってしまったのだろうか……
自分が失敗しないと高を括っていたのだろうか……
理由はどうであれ、失敗したことに変わりはなかった。
ナツキはハチの心に侵入をし、彼女の心の中で”病”と目を合わせてしまった。
その後の記憶は残っていないが、ハチが「すぐに気を失った。」と言っていたのだから失敗している。
病原性心象郡……あの病はやばい。
本能がそう叫んだのだから、あいつはやばいのだろう。
幼い子供がクレヨンで描いた絵のような、生き物だった。
普通の病であれば見えることなんてないのだが、とんでもない巨大生物だった…
「はぁ……」
ため息を吐くと、脳裏にあの生き物の姿を思い出す。
緑と黄で描いたようなもので、生き物ではあるが同時に風景のようなものだった。
子供が描いた様な棒人間が複数人動いていて、真ん中に長方形の箱に人が入っている。
恐らく葬式で行った動作が絵となって動いている………というのだろうか、言葉にするのが難しいものだ。
あのクレヨンで描かれたような絵の生き物を見て、常識から離れた理解しにくいこの生き物を見て恐怖しか感じなかった。
ハチはどうやってコイツと共生出来ていたのだろうか─。
私の疲弊した心では、もうハチの心を治療することは不可能だろう。
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私の治療というものをしてたから6日は経っただろうか。
ナツキはまだ部屋から出てこようとはしない。
そろそろ家の食べ物が尽きそうだと思い、ナツキのカバンから買い物をする時に使う真っ白なカードを手に持つ。
よく分からないけどこれを見せると全てが無料になる。
本当によく分からないけど便利なカードだと思う。
玄関の扉を開けると、太陽の光で目をくらます。
夏も終わったというのに、少しばかり暑いこの気温にうんざりしながら少し離れた街へ向かう。
パンと卵と肉があれば最低限生きていけるだろう……
###街へ向かうまでの間、話す相手もいないため、1人で解決出来る事を考えていた。####
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セイメイと呼ばれている男が営んでいるベーカリーショップ。
彼の作るパンは確かに美味しくはあるが、何故か客を見かけない。少なくともナツキとこの店に来る時には必ず人がいなかった。
しかし今日の店内には珍しく1人の先客がパンをトングで掴んでおり、珍しく客がいることに関心をしていると、その女性は私を見るなり話しかけてきた。
「やぁ、久しぶり」
長く伸ばした茶の髪の毛と特徴的な黄色の目をした女性。たしか銭湯で1回だけ会った事がある。
だが、それ以降あっていなかったのですっかり忘れていたが……
「久しぶり……です。銭湯のあの日以来みかけないから忘れちゃってた」
咄嗟のことに対応しきれず、敬語とため口が混ざり合うような言葉になる。
「おやおや、それは気づつくなー……それにしても、このパン屋にお客さんが来るなんて珍しいものだ。この国の人のほとんどが、この店を認識していないのに」
女性の発言にセイメイはニコニコしている。けなされているように感じたが、そうでは無かったのか……
「ま、そんなことはどうでもいいんだよ。人がいないからパンの売り切れは無いからね、国から見たら赤字だからどうでも良くなさそうだけどね」
……このパン屋は自分で経営している訳ではなく、国が経営しているのか?
セイメイが1人で経営しているように見えていたが、国がこのパン屋を……よく分からない事になってるな。
「あれ」
セイメイは1度だけ声を出し、しばらくの間きょろきょろと周りを眺めてから言う。
「そう言えばナツキは?」
私は特に秘密にする必要もないと思い、今までの出来事を話すことにした。
私の病気について。(自覚症状が無いことも含めて)
私の病気を治そうとして失敗したという事。
今、ナツキは6日間、家から出ていないという事。
セイメイと女性は少し真剣な顔持ちをして、私の話を聞いてくれた。
「はぁーん……ナツキくん珍しくバカやったね」
女性は冷静さを保ったまま、親指の第2関節を噛む。
「まぁ、困ったことではあるね……」
セイメイはこういっているが、顔が本当に困っているといった感じではない。
どちらかと言えば他人事だ。
「それで、私はどうしたらいい?」
パン屋に来たもう一つの理由。
セイメイならもしかしたらどうにかできるのではないか……という期待だ。
今の私にはできることがない。
彼がナツキを治してくれるのであればそれに越したことはないのだ。
「残念だけど、僕がどうにかできる問題ではないし、君がどうにかできる問題ではないんだよ」
セイメイは先ほどと変わらず他人事の様に話す。
「僕ができることはパンを焼くことと、願い事をするくらいだからねぇ……まぁ時間がたてば治るとおもうよ」
そのセイメイの発言に私は怒りを覚える。
「以前にもセイメイはそんなことを言っていた。でも治ってない」
少しだけ怒りが混じった声がでる。
自分でも気づくこの声に違和感を感じる。
自分の事でもないのに、なぜ私は一週間も経っていないナツキのために怒らなければいけないのだろうか。
「だから言ってるじゃん。僕は願い事をすることしかできないんだって」
怒りが伝染し、セイメイの声にも怒気が漏れ始める。
「はいはいやめたやめた。」
パンパンと手で叩いて大きな音をだした女に二人とも静まる。
「ハチはいったん落ち着いて、セイメイもね」
女のその発言に、セイメイは何か言いたそうに少し口をもごもごさせるが結局くちを閉じた。
「とりあえずこの問題に関しては私たちで何とかしてみるから。セイメイ、ナツキは症状はいつに終わる予定なの?」
セイメイは女に不満がありそうな感じではあったが「たぶん一か月後」とだけ答えた。
そうふてくされるなよ、女はそんなことを言ったあと
「ハチ、セイメイがこういう分には彼の症状は一カ月で終わるわ」
そう告げた後、だから毎日この店に来るのはやめてあげて。
と言って店を出て言った。
私は少し怒りをぶつけたセイメイにどう接すればいいか分からなかったが、とりあえずカードだけ渡して一週間分のパンを袋に詰めてもらい。さっさと帰った。
家に帰る途中、私は異常なほど考え事をしていた。
何を考えていたかは覚えていないが、スイッチが入ったと言った方がわかりやすいのかもしれない。
彼女には1ヶ月も待つ事が出来るほど余裕がないのだ。
最初にあった時、ナツキは私が聞いた質問に返答をすること無く話題を変えに来た。ということは時期は決まってないが私の病とやらは、少なくとも1ヶ月やそこらで解決するものではないのだろう。
一刻も早くこの国から出たい私にとって、治療をするナツキが1ヶ月も動けないようになるなんて待てるはずがない。
1ヶ月……それまでに私が解決しなければいけないのだ。
異常なほどに集中していたせいか、町で人にぶつかったことにも気づかない事に腹を立てた男は、彼女に呼びかけようとした。
しかし、男はハチの身から溢でていた”何か”に気圧された。
前書きにも描きましたが、この12月でこの話を終わらせたいと思います。
何を書いていたか分からなくなった。というのがあるため、本来なら20~30で終わらせる予定だった物を上手くまとめて12~16前後で終われればいいなと思っています。(まぁやること終わったし毎日書いてけば終わる……終わるよね?)
なので月曜投稿だけでなく別の日にも投稿します。
身勝手で申し訳ありませんが許してください。
最後までこの物語を完結される事に意味があると思うのでグダグダはなるべく無しにしたいのですm(_ _)m