オシオキNo.2
今回は苦手な人がいるかもですが、どうぞ読んでやって下さい。
宝箱だったものを見つめながら、
「こんなガラクタ貰っても嬉しくないですよ。」
「勇くんギフトの説明聞いてないの?」
「適当に取れって言われただけですけど?」
エクレールが視線を軍服に向けじっと見つめた後、軍服の前に立ち見たことのない冷たい表情で言った。
「あんたもういいわ」
「は?」
軍服は何を言われたのかわかっていないようだ。
「聞こえなかったの?もう帰っていいって言ったのよ。ギフト付与は私がやるわ。」
「どこの誰だか知らないが、何様のつもりだ!それにギフト付与は僕のような選ばれたエリートにしか出来ない高等魔法だぞ。おまえみたいな派手なだけの女には無理だ。」
軍服が顔を真っ赤にして捲し立てるがエクレールの表情は変わらない。
「あんたじゃ無理だって言ってるの」
「なんだと!!」
軍服がなんか怒ってるようですね
「ギフト付与は恩恵のランクによって消費する魔力量が違う、あんたの魔力じゃもし勇くんが高ランクの恩恵を手にいれたら付与出来ない。技術的にはわからないけど根本的に魔力量が足りてないのよ」
「ならおまえは出来るっていうのか!!」
「当たり前じゃない、私を誰だと思ってるの!!」
「おまえなんか知らないと言ってるだろ!!」
、、、シーン、、、
確かにさっき知らないって言ってましたね。
軍服はエクレールと睨みながら距離をとり、
「もういい!、お前が誰だろうと僕をバカにするなら排除してやる!!エリートの力を思い知れ!!」
あっキレた、エリート思考の軍服におまえじゃ無理だから帰れって言ったんだもんね。それにしても沸点低くすぎでしょ。
「エリートの魔力を見て後悔しろ!」
軍服は両手をこちらに向けて火の玉を作り出した。
何あれ?どこから出したんですか?だんだん大きくなってますけど!!もしかしなくてもこっちに撃つ気ですね、当たったらきっと火傷じゃすまないんじゃないですか?
ボクはエクレールの前に立つ。
「どうしたの?勇くん」
「よくわかりませんがアレがきっと魔法なんでしょう?多分危ない系の。」
「そうよ♪アレは火属性の攻撃魔法ね。」
エクレールはニコニコしながら教えてくれた。
「なんでそんなに嬉しそうなんですか!!」
この状況でする顔じゃないだろ!!と思ったら後ろから抱き締められた。
「だって♪自分も危ないってわかってるのに私をかばってくれてる勇くんを見たら嬉しくなっちゃって♪」
「これは、その、男としては当然というか、、、」
「勇くん、照れてる♪」
照れてないし!!ちょうどボクの後頭部が柔らかい何かに埋まったからとかじゃないし!!
「謝っても無駄だぞ、もう自分でも止められないほどの魔力だ!!エリートに逆らった報いを受けろ!!」
巨大な火の玉がついに発射された。しかしエクレールはボクを抱き締めたまま動かない。
これはボクが盾になったくらいじゃダメかもしれないと思った時、エクレールが耳元で優しく呟いた。
「大丈夫よ、勇くん♪」
エクレールが火の玉に向けて手をかざした。
「紅の女神を相手にしたことを悔やみなさい、、、紅炎‼」
その瞬間、軍服の魔法が火遊びに思える程の極大の炎が放たれた。
「そんな!!バカなぁぁぁっ!!!」
「そんな!!バカなぁぁぁっ!!!」
軍服とボクが同時に叫んだ。
辺りを業火で埋め尽くす爆炎に凄まじい爆風が巻き起こる。
炎に焼かれながら吹き飛ぶ軍服とガラクタ。
軍服はボロ雑巾のようになり、ガラクタは塵と化した。
「どう♪勇くん、私スゴくない♪」
、、、シーン、、、
「あれっ?誉めてくれていいのよ勇くん♪、よくやった綺麗だよエクレールって言って抱き締めていいのよ♪。てゆーか誉めて♪」
あまりの事にへたりこんでいたボクはスッと立ち上がり渾身の笑顔でエクレールを見つめて、
「凄い魔法ですねエクレール♪」
「そうでしょう♪」
「あまりの威力に全て吹き飛びましたよ♪」
「まーね♪自慢じゃないけど攻撃魔法には自信があるのよ♪」
エクレールは誉めてもらえて上機嫌だ。
「本当に全て吹き飛びましたよ、ボクのギフトも♪」
「えっ?」
やっぱり気づいてなかったんですね。
エクレールの顔はどんどん青ざめていく。ペタンと座りこんで、
「私ね、カッコいいとこ見せたら勇くんが誉めてくれると思ったの。でも調子に乗ってやり過ぎた?」
「いえいえ、ボクのギフトをまるごと灰にしただけですよ♪」
ボクの笑顔は崩れない。
「勇くん、怒ってる?」
「ぜんぜん、まったく、これっぽっちも怒ってないですよ♪」
「ウソだ‼オシオキの時と同じ顔してるもの‼」
「そんな事ないですよ、ボクを信じてくれないんですか?」
瞳をウルウルさせながら上目遣いで見つめる。エクレールはズキューンと鳴った胸を押さえている。
「そっそんな抱き締めたくなる愛くるしい顔してもダメよ!勇くんは可愛い顔してやる時はやる子だってお姉さん知ってるんだから‼」
エクレールはそう言いながら座ったまま少しずつ離れていく。
そんなエクレールの後ろに回り込み優しく抱き締める。
「ほら怒ってない、怒ってない」
耳元で囁いた。
「ホントに?」
「まだ信じられませんか?」
ウルウル、ズキューン!!
「ごめんなさい勇くん、疑ったりして。私、勇くんを信じるわ♪」
効果は抜群だ。
ボクが怒ってないと信じてくれたようで、はりつめていた緊張が解けて体の力が抜けていく。、、、、そんなわけないのに。
背中をそっと押すと、何の抵抗もなくエクレールは四つん這い状態になった。
「あれっ?どうしたの勇くん。私ね安心したらなんか力が抜けちゃって動けないのよ、もう少し抱き締めてて欲しいな♪」
安心しきっているエクレールのお尻が目の前にある、全て計画通りです。おもむろにボクは優しくお尻を撫でる。
「ひゃっ!!」
これには流石に驚きを隠せないようだ。
「さっきのオシオキの時なんですけどね」
「勇くん、その、、、お尻に、、、手が、、、」
ボクは聞こえないふりをして撫でながら続ける。
「エクレールとボクが楽しく回ってる最中に何か叫んでましたよね?」
「んっ♪なんか気持ちよくなって、、、えっ、何か言った?」
「たしか、もう調子に乗りませんから許して下さい。でしたっけ?」
パシーン‼
エクレールのお尻をフルスイングで叩いてやる。
「ヒアッ!!」
いきなり叩かれた事に戸惑いながらも答えるエクレール。
「えっと言ったかな、そんな事?」
ボクはまたお尻を優しく撫で回しながら、
「言ってましたよね、泣きながら♪」
「うんっ♪、確かに言いました!あんっ♪勇くんちょっと撫でるのやめて、なんか変な気分に、、、」
脱力しきったお姉さんは動けません。
「言ったにもかかわらず、調子に乗って全て吹き飛ばしたんですよね?」
パシーン‼
「あんっ♪」
またお尻をフルスイングで叩いてから撫でる。
「んんっ♪ごめんなさい、言ったこと守れなくて、はんっ♪、ごめんなさい」
「本当に反省してるんですか?」
パシーン‼
「あはんっ♪してます、反省してますから許して下さい」
無言でお尻を撫でる。
「はぁっ♪ダメよ、これ以上されたら新しい世界に目覚めそうだから、もう!!」
顔を真っ赤にして涙を浮かべながら懇願してくるエクレール。
「では、これで最後です!!オシオキNo.2、ニューワールド(飴と鞭)」
腕を振りかぶっているボクを見つめるエクレールの瞳が期待しているように見えたのは気のせいでしょうか?
パシーン‼‼
「もうダメェェェッ♪♪♪」
エクレールは幸せそうな顔で意識を失った。
途中から楽しくなってきてやり過ぎてしまった。ボクも反省しなければいけないかな、エクレールが目を覚ましたら謝りましょう。
それよりも、、、ギフト、、、どうしましょう、、、
プロローグもそろそろ終わらせないといけませんね、次で終われるかな、多分