都から脱出したものの…!
「へい!らっしゃい!」
宿屋のおやじが快く出迎える。
どうやらここのおやじは、王族や、王族に仕える者たちとは代々の知り合いで、逆に革命政府に対しては、よく思っていないらしい。
「俺たちは今まで、革命政府にだまされてきたんだ!
革命政府の言っている革命ってのは、同じ立場の民衆のための革命じゃない。
自分たちが政権をとり、この国を自分たちのものにして、自分たちの思いのままにするための革命だったんだ!」
言っていることはごもっともだったが、今の彼らにはその革命政府に対抗できるだけの力はない。
それに軍閥や魔物たちもいる。
とりあえず今夜は、セーブポイントでセーブをして、ここからどうするかを考える。
「道沿いに行くと、中継地点に宿屋がある。
まずはそこに泊めてもらうといい。
そこからさらに行くと、村もある。
さらに道沿いに行くと、海辺の町にたどり着く。
そこはけっこう大きな港町だ。装備もそこで整えられるし、いろんな情報も聞ける。
船にも乗って、よその大陸にも行けるぞ。」
「その海辺の町はクレアおばさんの故郷の町でもあるんです。」
「なんと、さようでございましたか。陛下のお仲間の故郷の町で…。
これはこれは…。ではなおさら、無事にたどり着かねばなりませんな。」
今夜はこの宿屋で一晩泊まることにした。
翌朝…。
「それじゃ、いってらっしゃいね。」
宿屋のおやじに見送られ、僕らの一行は、都を脱出して旅立つことになった。
軍閥にも、革命政府軍にも見つからないうちに、逃げようか。
食事も忍び足で、気がつかれないように走りながら、食べるという。
「よしっ!まずは次の目的地である、中継地点の宿屋を目指すぞ!」
都は今や、軍閥たちの軍勢と、革命政府軍とが、血で血を洗う殺し合いを続ける、無法地帯と化していた。
急げ!気づかれるな!都を囲む門の外まで出たら、あとは次の目的地まで一直線だ!
だが、そんな願いもむなしく、軍閥たちの軍勢に見つかってしまう。
「へへへ…。あれは王族の連中だな。とうとう革命政府軍に、城を追い出されてしまったというわけか…。」
「俺たちにもチャンスがめぐってきたというわけだ…。やっちまえ!」
軍閥とは、各地に割拠した私的軍事集団のこと。
この時期はいくつもの軍閥が、しのぎをけずっていた。
「撃てーっ!」
バン!バン!バン!
軍閥の軍勢は銃を撃ってきた。
「魔弾銃か!?」
実は銃弾にも、剣や槍や斧などと同様に、属性があり、それらの属性を持つ銃弾は、魔弾といい、その魔弾を放つ銃のことを、魔弾銃といった。
「おい!執事!どうすればいいんだ!」
「ここは残念ながら、まともに戦っても、勝ち目はうすいでしょう。」
「かくなるうえは…、逃げるしかない!」
僕たちは逃げるよりほかなかった。しかし軍勢は追いかけてくる。
「追え!逃がすな!追いかけろ!」
国王の威光など通用しない。ここの軍閥は自分たちの意に沿わない者たちは躊躇なく殺す、殺戮集団であった。
「あーん!こわーい!」
ネコ耳メイドのミーちゃんもおびえるばかり。
僕らはようやく、物陰に隠れて、難を逃れる。
「どうだ?見つかったか?」
「申し訳ございません。見失いました。」
「まだ見つからないのか!草の根分けても探し出せ!」
軍閥の連中は僕らを見失い、いきりたっているようだった。そして、気がついた時には、いなくなっていた。
これでどうにか逃げ出せると思った僕らは、ようやく都を取り囲む城壁のところにたどり着いた。
「確か、ここの門でいいんだよな。」
そしてようやく門をくぐりぬけた僕らは、まずは中継地点の宿屋に向けて、まっすぐ歩いていくことにした。