20歳、城を出る時
20歳になり、その日は誕生日パーティーを開いていた。
20歳になったらこの城を出る約束だったが、誕生日を迎えたその日になっても、特に何事もなく、誕生日パーティーを開催し、どんちゃん騒ぎを楽しんでいた。
ひょっとすると、このまま城を追い出されることもなく、一生この城で過ごすのか、と思い始めていた。
だが、その時は突然訪れる。その日は城内のテニスコートで、テニスをして、楽しんでいた。
ちなみに、この頃には僕は、眼鏡をかけていた。
視力が悪くなっていたので、近習たちのすすめで、眼鏡をかけることにしたのだ。
「それにしても由緒正しきレオ王朝の国王が、眼鏡をかけるなど…。」
「しかし時代は変わったのでございます。」
テニスを終え、休憩をして、もう1プレイしようかと思った時に、突然、軍服姿の者たちが銃を持って、入り込んできた。
そして僕らに対して銃を向ける。
「我ら革命政府に仇なす軍閥や、魔物どもを一掃する前に、まずは王族の犬どもを追い出す!」
なんてこった!いつかはその時が来ると思ってはいたが、まさかこんなタイミングで、それもこんな形で来るとは…。
当然、僕ら、国王とその近習たちや一族の者たち、それからネコ耳メイドのミーちゃんをはじめ、メイドたちや料理番、料理人の人たち、身の回りの世話をしてくれた執事、その他、僕ら王族に関わり、城に住み込みで働いていた、さまざまな立場の人たち…。
その人たちも含めて、全員、城を出ることに。
こうしてようやく城を出た僕ら。
しかし、なぜだろう。
あれほどこの城の外に出たい!と願っていたのに、
このような形で追い出されてしまったからか、無性に悔しさを、そして寂しさを感じていた。
そして僕は衝撃的な事実を聞いた。
「今、外の世界では、革命政府が勢いを失い、各地で軍閥たちが幅を聞かせ、動乱の時となっています。
家の外に出るのは危険な状況です。」
「それから、都の外では、魔物たちが幅を聞かせております。
ああどうしよう…。城は革命政府に占領され、私たちは城から追い出され…。」
そこで口を開いたのは、料理、雑用係だったおばちゃん。
「もうこの都にはいられないわ。
みんなで私の故郷の町に行きましょう。」
「いえいえ、他の者たちも、皆それぞれ、故郷がありますので、みんなで大挙して行くというのもどうかと…。
他の者たちは故郷に帰らせ、わずかな手勢のみで…。」
「しかし、途中で魔物たちにやられてしまったりしたら…。」
「大丈夫よ!私たちだって、それなりの戦闘スキルはあるんだから!」
他の者たちの方が、いざという時の決断力があるなと思った。
それにひきかえ僕は…。
これじゃあ、やっぱり飾り物の国王じゃないか。
他の者たちはそれぞれ故郷に帰っていき、僕のところに残ったのは、
料理、雑用係のおばちゃんと、執事。
それと、ネコ耳メイドのミーちゃん。
それと近習の男2人と、回復役の女1人、宮廷魔道士の女が1人。以上、このメンバーでこの先を行くことになる。
メンバーリスト 氏名と肩書き
元国王 レオ15世
料理、雑用係のおばちゃん クレアおばさん
執事 アレン
ネコ耳メイド ミーちゃん
近習1 ロン
近習2 レン
回復役の僧侶 アリス
宮廷魔道士 ルールー
以上、この8人でこの先の旅を進める。
やがて1軒の大きな宿屋の建物にたどり着く。
どうやら4階だてか、5階だてくらいらしい。
まるで豪華ホテルのようなこの宿屋に、今夜は宿泊させてもらうことにする。
そしてこの宿屋には、セーブポイントがあった。
ここでセーブしておけば、この先で魔物にやられたとしても、最後にセーブポイントでセーブをしたところからやり直せる。