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13歳の朝~ネコ耳メイドのミーちゃんにあーんして食べさせてもらうという快楽

俺が「レオ15世」として即位した初日。


しかしその時点で、既に王家は飾り物でしかなかったというわけだ。

なにしろ、即位した数日後には、俺を「レオ15世」として推挙した、例のおばばが寿命が尽きてしまって、そのまた数日後には革命が起きて、その革命政府の大総統とかいう人物が、この国の実権を握ってしまったんだからな…。

それはそれで、どうにか受け入れて、国王としての日々を過ごしていくか…。


そしてこの城には、人間の他にも、獣人族やエルフ、ドワーフ、ホビットなど、実にいろんな種族の者たちがいるということに気づかされた。

そんな環境の中で、飾り物の国王である俺、レオ15世は、すくすくと成長していった。



それから何年かたって、俺は13歳になっていた。

現実世界ならちょうど中学に入るくらいの年齢。

ある朝、いつものように起床して、いつものように朝食をとろうとすると、そこには見かけない顔の、ネコ耳のメイドがいた。


「はじめまして!ネコ耳メイドのミーちゃんでーす!

年齢はレオ15世陛下と同じ、13歳でーす!」


いきなり現れて、いきなり挨拶をしてきた。

今朝の料理は、コーンスープと、バターライスのご飯と、野菜の炒め物、それと飲み物は水とオレンジジュース。

ネコ耳メイドのミーちゃんは、まずコーンスープをひとくち、スプーンですくって、俺の口元に持ってきた。

「はい、ミーちゃんが愛情こめてつくった料理を召し上がれ。はい、あーんして、あーん。」

俺は言われるままにあーんして、口を開き、ひとくち、ひとくち、食べさせてもらっていた。

続いてバターライスと、野菜の炒め物も、ひとくち、ひとくち、ネコ耳メイドのミーちゃんが口元に持ってきて、

「はい、お口を開けて、あーんしましょうねー。」

などと言いながら食べさせてくれた。この日の朝食はそんな感じだった。

朝食だけでなく、昼食も、夕食も、となればもちろん、おやつもこんなふうにして、食べさせてもらえるのかと考えた。

いや、国王というのは、気楽なものだな。もっとも他の国の国王は、どんなもんなのかは知らないが…。


その頃、外の世界では、革命政府の内部で権力争いのいざこざが起き、たびたび大総統や執政官が入れ替わり、この時期の大総統はジョン・バレンという人物、執政官はコモドティアヌスという人物がなっていた。


外の世界というのは、このフェルディナント王国の王宮の外のこと、

革命政府の居城は王宮ではなく、革命宮殿という、この王宮とは別に新たに建設された宮殿だという。

外の世界の情報は王宮の中にも入ってきてはいたが、俺は王宮から外に出ることはできなかった。

とはいってもこの王宮は大きな庭があるほど広大なものだった。それでも俺は、この王宮の外の世界に出たくて、しょうがなかった。

そしてなんとこの王宮にはテニスコートまであった。俺は時々そのテニスコートで、テニスをして楽しむことが、この王宮の中での数少ない楽しみの1つとなっていた。

あとは、ネコ耳メイドのミーちゃんに、あーんしてと言われて、食事を食べさせてもらうこと。

それが俺の楽しみとなっていた。だから案外、きゅうくつでもなかったのだった。


王宮の中で、6歳の時から暮らしはじめてから、気がついた時には、14年の時が流れ、俺は成人する年齢の20歳になっていた。



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