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Ep.5 『ラーメン屋に野球中継と二人の会議』


決して清潔とは言えないイメージながら、“昔ながらの”といった言葉がよく似合う為に気持ち的には安心する店づくりの小さなラーメン屋で、柳川静子と竹山邦衛は向かい合ってラーメンを啜っていた。


店内の隅に設置してあるテレビには野球中継が映っている。静子は一旦箸を止め、その中継を眺めながら竹山に言葉を向けた。



「間もなく東西南北、各地のエースが中央本部に集結します。最終作戦の準備もいよいよ最終段階ですよ」



竹山は味噌ラーメンの麺をズズズと啜ると、「うむ」と返事をした。そして咀嚼しながら「まさに夢のオールスターだな」と続けた。



カウンター内にいる店主は、静子と竹山以外に客がいないため、カウンターに寄り掛かる形で野球中継に見入っている。



静子は再び箸をとんこつラーメンのスープに突っ込み、麺をひとかたまり掬い上げて口へ運ぶ。まだまだ熱いその麺に少しだけむせながら、静子はもぐもぐと言葉をくぐもらせる。


「データを見ても能力は皆最上級。彼等がチームを組めば負ける事は考えられませんよ」

静子はそう言うと、麺を飲み込み、今度はナルトを口に入れて咀嚼した。舌の上にポトンと乗るようなこの独特の味が静子はたまらなく好きだ。



竹山は丼を傾けてスープを飲んでから「それはそうだろうな。なんてったって4人のエースが組むのだからな」と言い、テーブルに用意されているティッシュで口を拭った。それから「ぶはぁー」と満足感を滲ませる息を吐いた。味噌ラーメンも美味しかったのだろう。



静子は上司の竹山を建前上とはいえあまり待たせるわけにもいかず、それから後はとんこつラーメンを早めに完食することに意識を傾けた。


途中で店主が近寄ってきて「お客さん達、どこのファン? 各チームのエースがどうとか言ってたけど、今度オールスターゲームでもあるわけ?」と嬉しそうに言ってきて、申し訳ないが適当に聞き流した。




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