母さん。僕、童貞のまま死ぬみたいです
クリスマスなので書きました。
ミーン、ミンミンミン、ミーン。
ルルルルルルルルル
ミーン、ミンミンミン、ミーン。
ルルルルルルルルル
ミーン、ミンミンミン、ミーン。
ルルルルルルルルル
「もう少し遠くで音出してくれないかな!?未来のフィアンセが寄ってこないんだけど!?」
「なんですか。童貞さん。」
鳴き続けて早6日、私の元に来てくれたのは木の下で音を掻き鳴らすキリギリスだけである。
「いや、僕が未だ童貞なのは半分君の責任だからね!?」
そうなのだ。初日に僕の木の下のに来たと思えば、それからずっと音をかき鳴らして僕の妨害をしているのだ。
「まったく、これだから童貞は言い訳が多い」
キリギリスはため息混じりに音を掻き鳴らす
ルルルルルルルルル
ルルルルルルルルル
ルルルルルルルルル
「だからぁ!!いや、君ほど音を掻き鳴らすキリギリスも珍しいからね!?君のせいで僕のラブソングが雌に届かないんだよ!?」
キリギリスはこちら憂い憂いそうにこちらを見た。そして、音をさらにかき鳴らした。
ルルルルルルルルルルルルルルルルルル。
ルルルルルルルルルルルルルルルルルル。
ルルルルルルルルルルルルルルルルルル。
「拝啓、母上。僕は今日死にます。童貞のまま死にます。だけど悲しまないで下さい。僕は一生懸命生きたのですから、、、」
僕は悲しみにくれながら、涙をこぼしながら手紙を綴る。誰かを孕ませるために生まれてきたはずなのに、、、
「そんな事してたら本当に童貞のまま死にますよ。」
キリギリスはいぜんとして音をかき鳴らし続けている。
ルルルルルル。ルルルルルル。
ルルルルルル。ルルルルルル。
ルルルルルル。ルルルルルル。
母さん、僕、童貞のまま死ぬみたいです。
次話はないと思います。ごめんなさい。