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第03話

「坊ちゃんは、魔力――白い魔力光が見えておられるのですか?」


 衝撃の事実!

 あの白くてふわふわしたものは魔力だった!!


 おい、いきなり俺の『元の場所に帰る方法』の可能性を低くするような発言をするんじゃないよ。なんだ? お前さんは俺に現実味のない現実を突きつけてどうしようって言うんだ。


 ……ちょっと待てよ?

 今ここで聞かれたって事はそれなりに重要なことなのか? ここは魔法のある世界――実際にこの目ではまだ見てないが――で間違いないだろう。そんな世界でそんな質問をされる意図を考えよう。

 一つは、この世界では魔力光を見えることは珍しい。

 もう一つは、そもそもこの世界に魔法使いは少ない。

 最悪、この世界では魔法を使えるものの排斥がされている、とか。


 うわぁ。最初からクライマックスに近い感じ?

 取り合えず、ここは話を合わせていこう……慎重にな。


「魔力ってなぁに?」

「魔力とは、魔法を使うための(もと)となるものです。魔法を使うには、この世界に漂っている魔力を感じ取り、集めなければなりません」

「じゃあ、その魔力光ってのが魔力を感じ取ってるってこと?」

「はい、その通りです」


 神妙な表情で語られたその内容は、とても普通の子供に5歳児に話すようなことではない。

 が、()には理解できるし、さっきまで俺が見ていた白い輝きが魔力光だったってことで納得できた。さすがに貴族の屋敷だとしてもそこまで装飾に凝るわけにはいかんだろうしな。


「じゃあ、この部屋の片付けも魔法でなんとかできるの?」

「は、あ……いえ、まぁ、できなくはないですが」

「なぁんだ、使えないじゃないか」


 適当に思ったことをできるか聞いてみたが、そこまでのことはできないのか。

 そもそも、この世界の魔法体系はどうなっているんだろうか。こう言っちゃ難だが、前の世界で俺はそれなりに厨二病を患っていた。だからそれなりに想像力も沸くし、そういった系統のゲームもやっていたこともあるから、適応力はこの世界の誰よりもあるはず! はず(願望)

 できなくはない、か。

 部屋の片付けをするにはそれなりの修練がいるのか? 物を壊さないように魔力を制御しないといけないとか。それならさっきの言い方も理解できる。


 なんてつらつら考えていると、お姉さんが小さな声で何かをつぶやき始めた。

 小声のそれを聞き取ることはできないが、少しずつお姉さんの周りに魔力光が集まってることから魔法を唱えているのだろう。両目を閉じて口を動かしているが、俺にも聞こえる声量でお願いシャス。

 そして、お姉さんの双眸が開かれた。


「――ウィンデ」

「わ」


 室内に微かな風が発生した。

 窓も締め切っているて、風が起きる理由も無いのにこの現象が起きたということは、確かに魔法はこの世界にあるのだろう。なんて冷静に描写しようとしているが、内心興奮しまくりである。


 散らかっていた部屋の中が次第に綺麗になっていく。

 おお、これは非常に便利な魔法だ。電気も労力も……いや、労力はもしかしたら使っているかもしれない。魔法を使うことで精神的に疲れる、とか。

 その辺りはどうなっているのだろうか。魔法は言葉を以て世界に働きかけ、魔力を消費して事象を発生させているとかかな。その行為を行うことに非常に集中するから疲れたりするとか。いやぁ、ロマンが溢れてますなぁ!


 視線を感じてハッとなる。

 お姉さんを見ると微笑んでいるではないか。既に綺麗になった部屋を見て、俺はまた醜態を観察されていたのかと気付いた。あわわわわ。


「坊ちゃんは変わってますね」

「そうかな?」

「ええ、そうですとも。坊ちゃんぐらいの方ですと、魔法の事となると攻撃魔法について聞いてくるのでうが」

「ふーん」


 なるほど。

 確かにやんちゃな男の子だったら攻撃魔法に憧れるか。極大炎魔法とか、『俺の魔法の威力は龍の息吹(ドラゴン・ブレス)をも上回るものと心得よぉ!』とか叫んでみたりするのか? そんな厨二病真っ盛りなことをしろと? 貴族の決闘とかあったら面倒だな、いちいち名称を叫ばないとやれ卑怯だとか叩かれそうだ。

 まぁ、子供が攻撃魔法を聞きたがる理由はそれなりに分かるが、そこまで今の俺には必要ないしなぁ。そもそも子供がそんな魔法を使う機会なんてあるのか? そりゃまぁ教えてくれるんでしたら頑張って習得しますが。


「でも、攻撃魔法は生活に役に立たないでしょう?」

「――」


 うぉっ!?

 くわっと目を見開いたよ。この人。

 何か気に障るようなことでも喋ってしまっただろうか。

 もしかして、それなりに魔法に思い入れがあったり……?


「嗚呼、レーモンド様……貴方の御子様は立派に育っております」


 なんということでしょうってか。

 御馴染みのテーマが聞こえてくるようだよ。様付けで呼ぶってことは、俺の父親のことを指しているのか? それとも母親か? いや、しかし……この屋敷でまだ母親に出会ってないが、何か面倒ごとでもあるのだろうか。


 それにしてもお姉さんや、そろそろ戻ってきてもいいんじゃないかな?

 おぉい……魔法、教えてくれないかな。

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