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プロローグ

どうも、Sonnetソネットです。

息抜きに異世界物語を書いてみようと思いました。

自分の思うように書いていくつもりですが、何かご意見や誤字脱字等がありましたら気軽に感想のほうにお願いします。

 晴天である。

 今日は雲ひとつない好天になったみたいだが、俺の心は曇天模様だこの野郎。


 上司に会いに行く。

 足を滑らせるて転ぶ。

 近くにあった水溜りにケツが着水。


 今の俺はその状態のまま空を見上げている。

 こうやって青く澄み渡った空を見上げていると、清清しい気持ちになってくる。

 ……もちろん現実逃避をしているだけで、情けない気持ちになってきたから心情だけでもハイになって紛らわせてみようとか思ってないぞ? 本当だぞ?


 しかし、さすがにこんな格好であの人に会いに行くなんてことはしたくない。

 まさか休みの日に仕事の話をしようとは考えては無いだろう。取り合えずメールで都合をでっち上げて一旦帰ろう。メールを打ち、送信したところで溜息を付く。


 ――ブロロロロ……バシャッ


 ぼんやり考えながらメールを打っていると、通りかかった車が水溜りを跳ね、ちょうど近くに居た俺に盛大に水が掛かった。うん、あれだ……なんだ? 俺は何か悪いことをしただろうか? なんて思っていたら今度は手に持っていた携帯の画面が真っ暗になっていた。


「ねぇ……あの時防水だって説明してたじゃん……嘘だといってよ!」


 しかし、スマホの電源は応答してくれなかった。

 嗚呼、無常なり。

 新しいスマホ買わないといけないのか……最近のスマホ、高いんだがそれは……


 それにしても朝っぱらからなんて運が悪いんだ……確かに朝の正座占いは最下位だったし、生年月日の占いも最下位だったよ? でもこれは無いんじゃない?


 失意のままに歩き出し、スマホを濡れたポケットの中へと押し込むと、何かが前から迫ってきた。


「はぁ? ……はぁっ!?」


 点。

 黒い点が真っ直ぐこっちに向かってきてる。まるでマンホールの蓋を開けたような穴だ。それが、凄い勢いで動いている。

 あまりの光景に後ずさる。力が抜けて体勢が崩れたすいだろう、少し左に動いてしまっただろうか。

 それと同様に穴が少し左に動いたように見えた。


「ま、まさか」


 あまりの考えに口角が吊り上るのを自覚した。

 こいつ、俺を目指して来てるんじゃないだろうかということ。

 あまりに荒唐無稽な考えなのだろうが、こうして実際にこんな体験をしてみろ。そう思うから。

 ……まだ腰を抜かしてなくてよかった。その場にへたり込んでたらどうなってたかわからない。あの穴も、そのまま俺を無視してどっかに行くかもしれないし。


(取り合えず、どこかに逃げないと)


 後ずさった格好のまま反転。

 そのまま走り出そうと手を動かし、その直後。


 ――ドン


「あべしっ!?」


 何か――視認することのできない透明な何かの塊――が顔にぶつかった。

 走り出した瞬間だったこともあり、それなりの衝撃が顔にぶつかったせいもあって、目の前がクラクラする。ジンジンする鼻頭を左手で抑える。地味に濡れているのと微かにする雨臭さにうぅと呻く。


 ふと、足裏から伝わっていたアスファルトの反発力が薄れた気がした。


「は……ぁいやぁ……まぁさかねぇ」


 恐る恐る下を見る。

 直径1メートルほどの穴がそこに広がっていた。かなり深いのか、底が全く見えない。

 直後、体は自由落下を始める。確かに感じる浮遊感にひぇと情けない声が出た。


「――ふぅんぬぅぅぅぅぅ!!」


 精一杯の力を振り絞って右手を穴の(ふち)に伸ばした。

 ギリギリ届くだろうと思い、今まで出したことの無いような声を腹から出しながら必死に伸ばす。


 みょーん。そんな効果音が聞こえたような気がした。


「嘘だと言ってよぉぉぉぉぉぉぉ……」


 なんてことでしょう。

 穴の縁が広がってしまったではないですか。

 それももう少しで手が届いたのに、残念でしたねプークスクスと言わんばかりの距離を開けて。


 落ちていく。

 半端ない風に、濡れた体は冷えていく。未だにジンジンする鼻の感覚が次第に薄れていく。

 理解できない事象に頭が追いつかない。もう、体も限界だった。

 俺の意識は、遠ざかっていく光点を最後に失われるのであった。

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