逃亡中
ようやく投稿。
色々書いてないのはわざと…のはず。
さて、現状を一言で説明しよう。
石造りの街の中、私は全力で逃亡していた。
いや、説明不足で申し訳ない。とにかく、自分でも何が何だかほとんど分かっていない為説明の仕様がない。かろうじて分かっているのは今、私ともう一人の相方と共に逃亡中だということと、追いつかれたら不味いということぐらいだろう。・・・なにせ後ろから怒声と共にナイフや包丁、角張った皿、挙げ句推定重量10キロのフライパンまで飛んでくるぐらいなのだから。
そういえば今日は朝食を食べてないな・・・。怒声と飛んでくる皿の嵐の中、考え事をしつつフライパンを回収していたところ、隣から騒がしい声(・・・といっても念話だが)をかけられた。
「そこ現実逃避するな、空を仰ぐな、投げられたフライパンをちゃっかり回収するんじゃない!何をしてるの、逃亡中に!」
・・・そう言って走りながら回収したフライパンを取ってしまった。
投げ返そうかと思ったのに・・・。
「不満そうな顔をしない!」
これだからあんたは・・・と何やらぼやいている。
などと逃げている最中にも関わらず、暢気なやり取りをしていた のが原因か、怒声と飛んでくる物の数がやたら増え始めた。
この状況の打破のためにも、なぜこうなったのか、思い出してみることにしよう。
今日は朝から非常によい目覚めの日だった。夏の終わりごろの比較的涼しい日であったこともあり、日課の朝のトレーニングも非常に心地よい疲れを私に与えてくれた。相方も非常にその姿を生き生きとさせながら朝食を作ってくれていた。
運動をした後ということもあり非常に美味しく感じられる朝食を食べた後、私は街に買い物がてら観光に行った。この街に着てからまだ数日ということもあり、まだ見切れていない物も多くただ歩くだけでも新鮮に思えた。
石造りで整備され、迷子にもなりにくそうな町並みを眺めながら、市場へと足を進めていった。
市場に入ると、雑多な音と熱気が体を包み込む。騒音は嫌いだが、このような活気を感じられる場所は悪くない。そう思っている。
多くの人の中、店を一瞥した。今日も面白そうなものがおいてありそうだと思い、まずは一番近くの八百屋に近づいた。店先には非常に瑞々しい野菜が場所と彩をよく考えられて置いてある。手近なものをひとつ取り店先の店員に値段を聞くと、思ったよりも安かったことに驚き、つい買う気を起こしてしまった。店員は、こちらが買うと見るや否やすぐさまほかの商品まで進めてきた。商魂のたくましさに苦笑しながらついつい他の物まで買ってしまった。
自分の買い癖の悪さを反省しながら良い買い物ではあったと満足もし、店を出た。
その後、いくつか店により手荷物が増えたところでちょうど昼過ぎの鐘が鳴った。時間的にも良かったため昼食を取ることにした。
昼食をどこで取るか、若干迷ったが、近くに合った魚屋が営業している定食屋にした。
ようやく思い出してきた。ここの辺りからが重要だ。
昼食はから揚げ定食にした。隣の魚屋がやっている店だと?そんなことは知らん。少々値段は張るものであったが、ここに来る前に寄った店でお勧めであると聞いたため期待が膨らんでる。
から揚げ定食は非常に美味だった。さくさくの衣とかんだ瞬間にあふれる肉汁、それと同時に口の中に広がる熟成された肉の香り。手ごろで食べやすく、それでいて噛み応えのある絶妙なサイズとやわらかさ。つけあわせのスープもまた濃密でありながらさっぱりとした味わいであった。
なるほどこれはすばらしい、お勧めされるわけだと納得している間にいつのまにか食べおわってしまった。多少財布の中身が心もとないと思ったが、ギリギリ足りるだろうと思ったため気にしなかった。
会計を頼もうとして財布の中身を確認したところおおよそ250エル程度であった。これならギリギリ足りるだろうと思い安堵したところで店員を頼み財布から金を出した。しかし、
「会計、1000エルになります」
という声を聞き、目を丸くした。
正直、高過ぎる。
ついつい、
「高すぎないか?」
と聞いてしまったのも無理はないはずだ。
いや、高いことはいい。あまり良くないと言えば良くないが、それは置いておこう。問題なのは、今お金が無いことである。
このご時勢、散々食事だけして金がない等と言おうものならば、いろいろと危ういところにつき出されてしまう。それは不味い。
このとき私がとった行動はおおよそ最悪だったのだろう。
私がとった行動とはすなわち「家に金を取りに戻る」というものだった。
そして慌てていたこともあり、ついつい
「金をとってくる!」
と店を出てしまった。
............自業自得。その言葉が頭をよぎった。
次投稿は何時になるか............。