表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/20

ヒロイン登場!

 零の絶体絶命のピンチに彗星の如く駆けつけたツンデレ美少女。

6話目にしてやっとヒロインの登場である。


 「安原・・・」踏みつけられながら零は言う。

「少し太ったか?」

「うるさいわ!今一番気にしていることを真顔で言うな!」

てゆーか、殺されそうになってる時に言うな!


 「さーてと、始めるわよ」ツンデレ少女はストレッチをする。

「あんたが世界最強の殺し屋、如月流星ね」少女は如月を睨みつけて言う。

「なんだ小娘。こやつのガールフレンドか。けっけっけ」

「あいにく私は人を愛するということを知らないの。そんなやつ大嫌いよ」

ポニーテールの美少女は、そう言ってのけた。


 彼女は、背中のかばんから何かを取り出した。

10本ほどの棒切れ。

美少女はそれを器用に組み立てる。最後に鋭利な刃物を取り付けて完成。


 それは、組み立て式の槍だった。彼女の愛用武器『ピンキーラッシュ』。「いつの間に組み立て式になったんだ?」例によって踏みつけられたまま、零が尋ねる。

「ちょうど1週間と2前よ。かさばって仕方ないから」


 彼女の名前は安原杏あんばらあん

零とは同期であり、同じ高校2年生。ツンデレが売りの美少女である。

彼女は、簡単に言うと「アルバイトの殺し屋」である。

彼女はほんの小遣いかせぎに殺し屋になる。

小遣いを得るために人を殺す。

殺し屋を本業にするつもりはないが、やめるつもりもない。それが、安原杏。


 「とりあえずそこから、どきなさーい!」

杏は『ピンキーラッシュ』を片手に俊敏な動きで如月の目の前まで移動する。

そして、如月の胴体めがけて薙ぎ払った。

当然ながら如月はよける。

解放された零はすぐさま床に突き刺さった『素人殺し』を回収した。


 「さあ、第2ラウンドと行こうか」


 今まで黙ってみていた地獄岬湊が如月の近くに行く。

「大丈夫?2人相手はきついでしょ」

「子供が余計な心配をするな。大丈夫すぎるわ」

「ふーん」


 「ところで安原、ここへ来たのは会長の命令か?」零は聞いた。

「そうよ」

「会長も余計な事をしやがる」

「強がり言っちゃって。さっきのあんたの顔干物にしか見えなかったわよ」

「サザエに言われたくねーよ」零は鼻で笑った。

「誰がサザエよ!」


 そんなことを言っている間に如月は糸を張り巡らせていた。

「やばい。あの糸の前では攻撃が通じねーんだ」

「先に言ってよ」


 2人が同時に飛ぼうとした瞬間、また体が動かなくなった。

如月に睨みつけられたからだ。

くそっ。あれがあいつの能力か・・・。

しゃべることもできない。


 如月が2人に近づく。

「貴様らはここで死ぬ。吾輩が殺す」

さらに近づく。


「吾輩の能力は『皇帝の目』<エンペラー・アイ>。睨みつけたものを5秒程度動けなくさせる」


最強の殺し屋という称号を得られた理由。

この能力のおかげだったのか。

並外れた戦闘力と「糸攻撃」、そしてこの能力があればそれも頷ける。


 5秒が経ち、零と杏は動けるようになった。

「ふー。これは厄介ね」

「だけど殺す」

「珍しく気が合ったわね。私も今そう思ってた」


 零は杏の腕を引っ張った。

「さあ来い」

『時の門番』発動!

零は杏を時のはざまに連れて行った。そう、時のはざまには本人以外も行けるのだ。


「どうするつもり?」杏は零を見つめる。

「今から10秒後の世界に飛び出す。そして如月の隙をついて一撃を浴びせる。それだけだ」零は人差し指を突き出した。

「だけど、糸が張り巡らされて進めないわよ」

「安原、お前の力を使うんだよ」

杏は気づいたらしい。頷く。


 「この作戦に失敗したらおそらく死ぬ。本気でやるんだ」

「了解」

「頑張れよ」

零は杏の顎をそっとつかむ。しゃがみ込む杏の顔に立ったまま自分の顔を近づけ、

そっと口づけをした。

杏の顔が真っ赤になる。

「ううう、うん」杏は抵抗したが、拒絶はしていない。

長い口づけは終わった。

「何すんのよ」開口一番怒鳴った。

「ご褒美を前払いで上げたんだよ。喜びたまえ」

「どんなキャラだよ!」 


 2人は時のはざまから飛び出した。

部屋は糸だらけだ。

文字通りありの通る隙間もない。

どうやっても近づけない。

そう思われた。

しかし。


 杏の能力が不可能を可能にした。


 『絶対服従』<パーフェクト・コントロール>。人間以外の『もの』を下僕にする能力。

その能力で糸を下僕にした。

ただそれだけのこと。

杏はその瞬間にだけ、女帝と化す。


 行く手を阻む糸たちは次々と引きちぎられていき、杏の通り道を作る。

そのあとを零が通る。

如月は呆気にとられている。理解できていないようだ。おそらくこの糸地獄を突破されたことが無いのだろう。


 如月めがけて杏は落下していき、『ピンキーフラッシュ』を構える。

そして、『ピンキーフラッシュ』が突き刺した。

如月流星ではなく、地獄岬湊を。


 杏の顔が血に染まった。状況を理解するのに数秒かかった。

湊が如月の身代わりになったのだ。


「湊おおおぉぉぉぉぉぉ!」如月はすぐに『ピンキーフラッシュ』を引き抜いて湊を抱きかかえた。

「ご、めん。お兄ちゃんがやられるの、み、見てられなかった」朦朧とした意識の中で湊が言った。


 「今日はここまでだ。だが覚えていろよ。いつか殺してやる」如月はそう言い残して湊を抱いて去ってしまった。


 「はあ、難は去った」杏は力を尽くしたように倒れこんだ。

「くそー!あの野郎今度会ったらぶっ殺してやる!」零はご立腹のようだ。

「で、レンタル料2時間分と交通費、あとボロボロになった衣装代をいただこうじゃないの」杏は手を差し出した。

「はい、お手」零は杏の手の上に自分の手を置いた。

「お前は犬か!ちゃかすな!」

「今年のツッコミ大賞はお前で決まりだ」

「ツッコミすぎて喉が痛いわ」


「うわっ」

 2人は、崩壊した食堂を見て愕然とした。

「てゆーかあの王様大丈夫か?」

見に行くと、ヤブカラ3世は奇跡的に無傷だった。

「これにてヤブカラ王国編は終了!」

「まだ続くわよ!」


 第6話です。

今回は書いてて面白かった。あの2人をもっと掘り下げていきたい。

もっと切れのある会話を目指して頑張ります。

ではでは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ