世界最強
如月流星。
最強にして無敵の殺し屋。
王道にして邪道。
+にして-。
誰もが認める最強の殺し屋であり、絶滅したとされる『糸使い』の一族『ガルタ族』の唯一の生き残り。その華麗で完璧な戦いをする彼を人は「戦場の流れ星」、「月の使者」などと呼ぶ。
殺し屋の世界だけでなく、民間や政府にもその名は知れ渡っている。
100戦100勝。
100人の有能な殺し屋を相手にしても無傷で勝つ。
完全無欠、疾風迅雷。
容姿端麗、頭脳明晰。
それが如月流星。
彼を雇えば、国1つを滅ぼすことができるという。成功報酬は国家予算を超えるそうだ。
そんな彼が、今、曲野零の前にいる。
最強の殺し屋が、いる。
零は、持っていたパンを落とした。彼の筋肉は動かなかった。いや、動かすことができなかった。
それほどまでの殺気。こんな相手を零は今まで見たことが無い。
食堂の開けっ放しになったドアから、もう一人の人物がひょっこりと姿を現した。
それは、ほんの6,7歳の男の子だった。
おしゃれなシャツを着て、黒い上品な短パンをはいている。つぶらな瞳の小学生だった。
どこにでもいる、小学生。
ただ一つ、彼の持つ大鎌を除いては。
零は、その少年を知っている。
「微笑む悪魔」、「死神の大鎌」と称される小学生の殺し屋。
可愛い外見を装って、標的を必ず仕留め、むごい殺し方をする。素性は不明。
だが、1歳のころから預けられていた孤児院の人たちを皆殺しにして逃げたという話はニュースにもなった。それは少年が4歳のころである。
悪魔のように残忍な小学生の殺し屋の名は、地獄岬湊。
絶対にパートナーをつくらない如月流星が初めてパートナーに選んだ殺し屋が地獄岬湊だ。
そんな最悪なコンビが、今回の零の標的<ターゲット>。
零は唾を飲み込む。
手が震えて『素人殺し』が抜けない。
「貴様、名はなんという?」如月が冷たい、氷のような目つきで睨み、聞く。
「ま、曲野零だ」
「そうか、吾輩は今から殺す相手の名を聞かずにはいられなくてな」そう、つぶやく。
勝者の余裕。
強者の余裕。
零が殺されるのはもう決まったことなのだ。
「殺した奴の名は、全て記録してある。曲野零。貴様もそのリストに加えてやる」長髪の殺し屋は言う。
「お兄ちゃん。僕が殺ってもいい?」湊が大鎌を振り回しながら無邪気に笑った。
「だめだ。お前は今日、殺し過ぎた」
曲野零は拳を握りしめる。
この俺が、この俺が侮辱されている。
簡単に殺せると思われている。
俺の前で勝手に話をするな!この俺をいないように扱うな!
俺はここにいる。
「ふざけるな。誰が殺されるって?誰がお前のリストに加わるって?俺は曲野零だ。俺に勝つのは親父だけ、そう決まってんだ」
零は、目の前にいる最強と悪魔に向かってそう言った。
本来ならしゃべることも許されない怪物に向かってそう言い放った。
「ほう。なかなか面白いじゃないか。やってやろう。お前を運命の糸でがんじがらめにしてやろうぞ」最強の『糸使い』は意味深に笑った。
「俺はこの後新刊を読まなきゃいけねーんだ。こんなとこでくたばってたまるかよ」
『素人殺し』曲野零 VS 『世界最強』如月流星
ここに開幕。
その時、チョーゴ・ブレイ・ヤブカラ3世は泡を吹いて失神していた。
「コロシヤステップ」第4話です。
僕は基本的に肩書が大好きな人間です。
何故って?
かっこいいからです。
小学生かっていう話なんですけど、そういうのが大好きなんです。あと四字熟語も好きです。疾風迅雷とか電光石火とか。
こういうのを何とか病っていうんですかね。
それはいいとして、感想、アドバイスお待ちしています。
ではでは。