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続・妹攻略

 梶田グループの本拠地「悪魔の館」にて、地下の階段前での黄泉川悼美との戦いが続いていた。

「つまり、この本が無ければお前は戦えない。そうだろ?板チョコ女」

本をパラパラとめくり、余裕の表情をした零が自信たっぷりに言う。

「残念ね。私は武闘家なの。昔中国で3年修業したわ」

「そーかい」

「だけど、大事な商売道具、返してもらうわよ」

言うが早いか、悼美は中国仕込みの回し蹴りを放ってきた。


 脇腹にもろに喰らった零は、あらぬ方向にながってしまう。そして、壁に激突する。

さらに悼美は回し蹴りをする。

計3回喰らってしまうことになった。


「くそっ!」何とか逃げることができた零は、壁に手をついて息を切らしていた。だが、大事な悼美の本は手放していない。これからは、この本を巡っての争奪戦になる。

絶対に渡すわけにはいかない。


 急に肺が苦しくなった零は、咳を一つした。すると、咳と同時に血も噴き出してきた。零の手が真っ赤に染まる。俺もヤバいな。

零はそう思った。

ここまでの連戦で大分体がやられている。

仮にこの試合に勝ったとしても、その先の戦闘で負ける可能性が高すぎる。

保証はどこにもない。


 心がオレそうになった零の後ろから気配を感じた。

もう悼美がきたのだ。

「時間稼ぎにもならなかったな」

零が向きを変えた途端、悼美の必殺キックが飛んできた。

それを何とか後ろへ飛んで避ける零。


 避けた零にまた攻撃を仕掛けてくる。それをまた避けて零は剣を悼美に向けて突こうとしたが、当たらなかった。かなり素早い動きだった。

体が小さいならではのすばしっこさだ。

悼美は、動物にたとえるとハムスターだった。


「さあ、早く本を返しなさい」蹴りながら悼美が言った。

「やーだね。この本は死んでも守りきる」悼美の攻撃を受けながら零が言った。

「じゃあ死ね」

悼みが強烈な一撃を与えた。零は自分の腕で防御したため、しびれて動かなくなってしまった。しかし、本は手放さない。



 キックでの激しい攻防を何とか維持していた零のもとにチャンスが到来した。

悼美の蹴りに隙ができ、零はその足をつかんだのだ。

「あああああああ!」悼美は予想外の出来事に悲鳴を上げた。

構わず零は足をつかんで自分の近くに引き寄せた。

そして、悼美を思いきり壁に突きつけた。

「お返しだ!」


 悼美はショックのあまりに動けないようだった。

零はブリキの剣を構え、倒れている悼美に向かって振り下ろした。

「これで終わりだ」

決め台詞を言って完全に勝つ気でいた零の足を、悼美が蹴った。

零はバランスを崩して転んでしまった。

「卑怯だぞ!」零が叫んだ。

「私もさっきやられたわよ」

ふふんと笑う。

悼美は、転んだ零の手を踏んづけ、零が本から手を離したすきにそれを奪ってしまった。

まさに、華麗な手口。

華麗な手際。


 それにしても、ハイヒールで踏まれるのは良いなあと変態的な事を考えていた零は、本が盗られたことに気づくのに時間がかかった。

「しまった!」零が驚いたのはとられてから5秒ほどたったのちである。

「遅っ!!」


 本を手にした悼美は、悪い顔で何かを書き込んだ。あの女が書いたことが本当になる。ヤバい。零はどんな怪奇現象が起きるか身構えた。


 後ろから轟音がする。そう気づいたのは悼美が書き込んで数秒経った時だ。

何かが転がってくる音。

後ろを見た零は驚愕した。


 ほんの数メートル先に巨大な岩があったのだ。しかも現在進行形で零めがけて転がってくる。

「何でもアリかよ!」

零は剣で転がってくる岩を止めようとした。

零の手に衝撃が走った。ジーンとする。それでも手を離さずに岩を食い止めた。

零の靴から火花が散ったが、何とか止めることができた。

もし止めなかったら押しつぶされていた。

本当に恐ろしい能力だ。


 岩を止めて「ふー」と息を吐いた零の背中にものすごい蹴りが入った。

悼美だ。

そういえばこいつがいた。零は今まで忘れていた彼女の存在に気付いた。


 零は振り返り、目の前にいる悼美に剣で突こうとした。

しかし、悼美と零の間に突然大きなクローゼットが現れ、攻撃を防がれた。

「ちっ」

零はクローゼットの上にジャンプし、上から悼美を見降ろした。

彼女も上に顔を向け、お互い睨みつけた。

「戦場にクローゼットなんか持ち込むんじゃねー!」

「あら、あなたにはおしゃれも必要よ」


 零はクローゼットから飛び降り、剣を振りかぶった。

すると、彼女の手にもサーベルが現れ、零の攻撃を防がれた。かかさず2回目の攻撃に入る。

彼女が防御したと思ったとき、サーベルが吹っ飛んでしまった。

彼女は無防備になってしまった。

素っ裸。

何かエロい。


 「クソッ」女の子にはあまりふさわしくない言葉が聞こえた。悼美は気が動転していた。

「慣れない剣を使うからいけねーんだ」

零は、無防備な彼女に、武器も何もない素っ裸な彼女の体を斜めから切りつけた。

「きゃああああああ!」

切りつけた個所から新鮮な血が噴き出した。

そして、悼美はどさっと倒れてしまった。


 廊下が血の海になる前に、零は階段に向かった。

思えば戦闘中に階段からかなり離れてしまった。

少し進むと、縛られた桜子が立っていた。


「終わった?」少しうつむき加減に彼女は聞いた。

「ああ」

「私、途中から怖くて見れなかった」だから少し離れた場所にいたのか。

「殺し屋ってのはそういうもんだ」

「あなた、私より年下でしょ。よくできるね」

「お前年上なのか!?」

「何よ」

「中学生かなんかかと思った」

「ありがたいような馬鹿にされたような・・・。私は21よ」プーと膨れて桜子が説明する。

「そーかい。じゃあ行くぜ。人質さん」

「偉そうに!」

 

 零一行は小ボスを何とか倒し、階段を登ることができた。

階段を上がった先は、赤いじゅうたんが青いじゅうたんに変わっただけの、地下2階となんら変わらない狭い廊下だった。

窓もない。


「なんだよ!また同じ景色か・・・」零がうなだれる。

「仕方ないわよ!さあ行く!」手を縛られている桜子は、体当たりをした。

「お前、ロープ外した方がいんじゃね?」

「え?」

「人質の意味、殆どねーし。多分ここの連中はさっきの姉妹みたいなさめきった連中だけだぜ」

「それもそうね。でも、信用できるの?私?」

「まあな」

「嬉しいー!」

零は桜子のロープをほどいてやった。


 「いざと言う時は私が助けるわ」桜子はこぶしを突き出した。

弱そー!

「お前戦えるのか?」

「失敬ね!私は昔、天の川高原の悪魔と畏れられたものよ」

「聞いたことねーよ!」


 雑談を交わしながら同じ景色の廊下を進む。

そんな時、天井から1人の男が降ってきた。

一言でいうと「忍者」。

全身黒づくめで顔はマスクをしていて、目だけ出している。靴の代わりに足袋を履いていた。

「おぬしの命、拙者が頂戴いたす!」

また変なのが出てきた。

「今度は忍者とバトルかよ!俺は殺し屋だ。似たような職業どうし、正々堂々殺しあおう」

零は嘘つきだ。

にこやかにそう言うと、速攻で忍者を剣で切りつけた。

忍者はすぐに倒れてしまった。

「ひ・・きょうな・・・」最後にそう言うと、忍者は息をひきとった。


 「こいつ激弱だな」梶田グループにもこういうやつがいるんだなと、続けて言った。


梶田グループの刺客を一瞬で倒して、零と桜子は進む。地上を目指して。

 第18話です。

昨日は更新できませんでした。最近忙しくて・・・。

その分少し多めに書きました。

冬は寒くて手がかじかんでしまうので良い手のほぐしになりますな。

明日も頑張ります。

感想、アドバイスお待ちしています。

ではでは。

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