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不利な状況

 梶田グループの館で開催された『デスゲーム』。その初戦の相手、赤いサングラスの男に攻撃された腕が鉛になってしまった・・・。


 「う、腕が・・・」どこまでも赤いカーペットが続く、長い長い廊下、その交差点で零はもがいていた。謎の能力で、零の腕が鉛になった。あの棍棒が原因のようだが・・・。


 男は棍棒を振り回して零に向かって走ってきた。棍棒に当たる寸前で零は避けた。

本当にギリギリだった。

続いて一回転した男は遠心力で零に攻撃した。それも、避ける。棍棒が横を通り過ぎていった。


 逃げることしかできない。

殺し屋の俺が・・・。

「くっそ!」

零は悔しかった。絶対にこの男に勝ちたい。

『デスゲーム』なんて関係ない。

俺を辱めたこの男をボコボコにしてやる。それだけが零の頭の中を支配していた。


 「どーしたどーした!逃げるだけか?」男は余裕な表情でせせら笑う。

そしてまた突っ込んできた。本当に脳のない奴だ。

「あんたも同じことの繰り返しじゃねーか」

零にできるのは挑発だけ。

「んだとコラ!オレの必殺ビッグバンキックをプレゼントしてやるよ!」

小学生か。


 無駄の多すぎるへなちょこキックを避けた零は長い廊下を前に向かって走り出した。

役立たずの腕をぶら下げて。

「たったったったったったった」

静かな廊下を全力で走った。それを追いかける男。

何か武器は無いか?

今の自分には『素人殺し』が無い。武器に変わるものが欲しかった。


 だがいくら走っても景色は同じまま。煉瓦の壁が続くだけだ。

地下だけに窓は1つもなかった。

「捕まえたぞ」

男に追いつかれてしまった。

男は棍棒を横に薙ぎ払った。避けたつもりだったが左足の付け根にあたってしまった。

「しまった!!」

左足の付け根が鉛になる。だが、かろうじてまだ動くことができた。


 「どんどん使い物にならなくして、ダルマにしてやるよ!」

「オレの能力は『悪魔の悪戯』<デビルズ・スマイル>だ!もうわかってると思うが、棍棒に当たった場所を鉛にしちまうのさ!恐ろしーい能力なんだぜ」

そう言って男は棍棒を薙ぎ払った。

零は屈んで避けそこから思いきり頭突きをした。男の腹めがけて。

それは見事に命中して、男は床に倒れた。


 男が呻いている間に零はチャンスとばかりに遠くに逃げた。

100メートルくらい進んで、どんだけ広いんだよこの館、と思ったとき零の視界に青銅の鎧が映った。西洋風の鎧で夜に見たら気絶するぐらいの不気味な風貌だ。

その鎧は、剣を構えていた。

「しめた!」

零はしばらくその剣を拝借することにした。

腕にずっしりとくるよくできた剣だった。これだったらあの男に対抗できる。


 しばらくすると男がへたくそな走りでやってきた。

その男に見せつけるように剣を振り回す。

「あーお前!どこで手に入れたんだよ。その剣!」男はずるいとばかりに言う。

「これで勝負らしい勝負ができるぜ!名を聞こう」

「オレは生涯無敗の最強戦士、梶田グループの幹部にして切り込み隊長、戦場稲妻せんじょういなずまだ。今からお前をぶっ殺してやる!」

かっこわるー!!

「そうかい。俺は名乗らないぜ」

「おかしいだろ!はめたなこの野郎!」稲妻は子供のように怒った。

「ふん。ちょろい」

「鼻で笑うな!鼻で!」

「敵に名を教える奴がどこにいるんだよ」

「お前が教えろって言ったんだろ!」

「鬱陶しいんだよ。いちいち語尾に!マークつけんな」

「ムキー!!」

猿か。


 零は手に入れた剣でまだ怒っている男に攻撃を仕掛けた。稲妻は驚いたように棍棒で防御した。

「いきなり攻撃すんな!卑怯者め!」

「卑怯で結構。敵の隙をついた攻撃は『殺し屋』の専売特許なんだよ」

零は構わず攻撃を続ける。

それを稲妻が防御する激しい攻防戦が続いた。


 完全に零が優勢にたった。

零が剣を薙ぎ払ったのが稲妻の顔をかすり、血が噴き出した。

「大事な顔を悪かったな」

零はまた激しく剣を振るう。


 だが、油断した時に稲妻の棍棒攻撃が右足に当たってしまった。

「くそっ!足が鉛になる」

足をやられた零は立つことはできても歩くことができなかった。

これでは戦えない!

「これで終わり(ジ・エンド)だ!」稲妻は零めがけて棍棒を振り上げた。しかし、彼の棍棒が原に当たる瞬間、零が消えた。

『時の番人』の発動である。


 稲妻は何の前触れもなく腹から血を流して倒れてしまった。

「ど・・・どういうことだ」

稲妻が必死に顔を上げて前を見ると、零が遠くを歩いていた。


 零は、稲妻の攻撃が当たる瞬間、『時の番人』で過去に行ったのだ。

右足が鉛になる前に。

そして、まだ動ける過去の零は、素早い動きで稲妻の腹を切り裂いたのだ。

だから、現在の稲妻は動いていてはおかしくなり、血を流して倒れてしまったのだ。

零は未来だけでなく、過去にも行ける。

必殺『過去からの刺客』。


 稲妻を倒した零は館を歩く。

1階に行くための階段を探して。


 長い廊下を進んでいる途中、零はある女に出会ってしまった。

黒いぴちぴちのタイツスーツ(まるで峰〇二子さんが来ているような)を着こんだ黒髪の女だった。

綺麗な顔立ちをしていた。

やはりこの女も梶田グループか。となれば攻撃してくるだろうな・・・。

「お前も俺を殺そうとしてんだな!勝負だ」

零は剣を構えた。


「待って」女が言った。

「・・・」

「私は戦う気は無いわ。梶田グループを抜けようと思うの」黒髪の女は突然告白する。

「はあ?」

「私を人質として連れて行ってほしい」

「はああ!?」


 それが、桜木桜子との出会いだった。


 第14話です。

『デスゲーム』1回戦が終わりました。いやー、本当に勝てるかと思っちゃいました。絶体絶命でしたから。でも何とか勝てた。

そして、新キャラ登場ですね。

僕の好みの黒髪美人です(笑)。

感想、アドバイスお待ちしています。

ではでは。

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