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悪魔の館

 夕暮市内の遊園地「シーサイドスプラッシュパーク」にて『運び屋』に拉致された零は、謎の部屋に閉じ込められていた。手足を拘束されている零は動くことができなかった。

何が何だかわからない零の前に1人の人物が現れた。

 扉から出てきたのは、長身の男だった。白いシャツに黒いズボンという格好だ。


 「どういうことだよ!これ!」零は猛犬のように吠えた。

「どうもこんにちわ。僕は梶田海かじたうみと言います。以後、お見知りおきを」

青年は礼儀正しく言ったが、逆にそれが零の導火線に火をつけることになった。

「ふざけんじゃねー!ここから出せ!」

「そんな顔したらせっかくの美男子イケメンが台無しですよ。零君」

零は殴り掛かりたいが足が鎖でつながれていて近づくことさえできない。鎖がこすれあう音だけが響く。


 「さあ、そろそろ本題に入りましょうか。1つクイズをしましょうか。あなたは絶対にやってはいけないことをしてしまった。それは何でしょうか。制限時間は0.3秒です。でもそれはかわいそうだ。3秒にしてあげよう」海はにっこり笑ってそんなことを言う。

「・・・・・・・」

「沈黙ですか。確かに便利ですがね。何も答えないということは自ら好機チャンスをどぶに捨てているようなものです。感心しません」

「いちいちセンセーみたいなしゃべり方しやがって、うっとーしーんだよ!」

「それでは答え合わせです」


「あなたが犯してしまった大罪とは、梶田グループに手を出してしまったことです」


 「なんだと・・・」

零はやっと理解できた。

あの男が名乗ったとき、梶田と言ったことが引っかかっていたが、やっぱりこの前零が処分した梶田鮪の身内だったのか。

それで、かたき討ちをしようってわけか。


 「理解したようですね。あなたはよりにもよって梶田グループ総本山、梶田鮪を殺してしまった。父が死んだことでグループ内は大変なことになりました。混乱に次ぐ錯乱。頭を失ったことで乱れてしまったのです。そして、挙句の果てには次のリーダーを決めるための殺し合いへと発展してしまいました」

海は一気にしゃべったが微動だにせず、表情一つ変えなかった。

この男は零が殺した梶田鮪の息子だったのか・・・。


 「そこで僕はこう提案しました。『父のかたき討ちをしよう』と。そうすれば乱れて混乱したグループを統率することができると考えたのです。それは受け入れられ、今こういう状況になっているというわけですよ」


 「ちょっと待てよ。俺が殺ったってどーしてわかったんだ?」それが一番疑問だった。

「そんなのは簡単ですよ。あなたが撃破した対『殺し屋』用戦闘機M-125があなたのデータを送信してくれたのですよ。あのホテルが爆発する前に」

あの戦闘機が・・・。

すべてが理解できた。

が。


「俺を殺してどーしようってんだよ!小学生じゃあるめーし仕返しして気を紛らわせようとしてんのか?それで満足か?」

大声で言う。

零は仕事でやっただけなのだ。

依頼されたから。


 「まあ慌てないでください。今から説明しようと思っていたところですから」海は含み笑いをした後たっぷりと間をおいて言った。

「ただ殺すだけでは意味がありません。そこで、あなたと僕たちで『デスゲーム』をしようじゃありませんか。僕たちは「あなたを一番先に仕留めた人」を次のヘッドにする事になってます。つまり、実力行使と言うわけですね。強くなければ頂点にはなれない」

「俺で決めようってのか。馬鹿にしやがって」

「もちろんあなたにも好機チャンスがあります」

「あなたがこの館から脱出することができれば、今回の事は見逃しましょう」

「俺には武器も何もねーんだぞ。脱出なんかできるわけねーよ!」

零の手元には一切の武器もなかった。こんな裸同然で敵の巣穴に入って言ったら無残に殺されるだけだ。零は休日に友人と遊びに行っただけなのだ。


 「ごちゃごちゃうるさいですね。ここに連れてこられた時点であなたは殺されたも同然。僕たちはあなたに好機チャンスを与えたのです。生きる望みがあるだけでも感謝しなさい」

彼は、無表情で言い放った。

零は何も返せなかった。あまりにも淡々と言われたから。

こいつ、大人し目の野郎かと思ったがそんなの全然違う。

一番ヤバイのはこの男だ。

心の中に怪物がいる。


 「さあそれでは、鎖を外して差し上げましょう」海は何の構えもなく、何の警戒もなく堂々と零の鎖を外した。零はすかさず隙をついて攻撃をした。

だが、彼の目の前で拳は止まってしまった。

ほんの1センチのところで止まった。

何回やっても彼にはパンチが届かなかった。

まるで、見えない鎧を身に着けているかの如く。梶田海もまた、能力者だったのだ。

「部屋の外に出てください」

零は素直に従った。この男には勝ち目がない。


 部屋の外の廊下もやはり煉瓦造りだったが、床には赤いカーペットが敷かれ、何億円もしそうな壁画が飾られているあたり、さっきの部屋とは世界が違った。

「今から『デスゲーム』のスタートです。制限時間はありません。ただ、殺されずにこの館を出ることができたらあなたの勝ちです」

『デスゲーム』開幕!

 

 零は右の方向に進んだ。海が見えなくなる距離まで進んでも延々と同じ廊下が続いていた。

ここはおそらく地下だ。

抜け出すには上へあがるしかない。

零は階段を探すことにした。


 やっと交差点が見えてきた。零がまた右に行こうとしたとき、この館の住人と遭遇してしまった。

赤い眼鏡をかけたスポーツ刈りの男だった。

その男は零を見るなり、

「ここであったが100年目!地獄が原での因縁をつけてやる!」と言って棍棒を持って突撃してきた。

バトル開始である。

「ふん。お前とは会ったこともねーよ!」何が地獄が原だ。そんな地名は存在しない。

どうやらかなりイタい男らしい。


 相手の攻撃を零は軽々と避ける。さあ、どうやって戦おうかなと考えた時、男は見かけによらず素早い動きで予想していなかった第2撃を仕掛けてきたのである。


 零の腕に衝撃が走った。

棍棒で殴られたのだ。

痛い。

零は仕返しに一発殴ろうと飛び掛かった。しかし、腕が鉛のように動かなくなってしまった。

そう、鉛。

零の腕は鉛になってしまったのだ。

「ふふん」

赤サングラスの男は微笑んだ。

 第13話です。

新年あけましておめでとうございます。いくら暇とはいえ、元旦に更新するなんて・・・。

 今年も良い一年にしたいです。これからもよろしくお願いします。

さあ、「ソロシヤステップ」も新章スタートです。ぜひ読んでください。

感想、アドバイスお待ちしています。

ではでは。

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