~プロローグ2~
予定通り一人称視点なのです。
--終業式前日--
~優羅 side~
朝6時。
小鳥の美しい囀り……なんか聞こえず、ケータイのうるさいアラームでボクは目を覚ます。
明日は終業式だ。そのせいか、最近は体が(精神的な意味で)軽い。
授業は午前中で終わり、部活も強制中止されている。
のんびりするのが好きなボクにとっては、とても嬉しいことである。そのためか、起きたばかりなのだが妙にハイテンションだ。
こんな調子が少なくとも夏休み中までは持つと思っていた。
今朝までは。
ボクはケータイのアラームを止め、ベットから跳ね起きる。
いつものように手櫛で髪を整え、パジャマを脱ぐ。そしてハンガーに架かっている、制服であるシャツとズボンに着替える。
着替え終わったボクはドアを出ようとする……が、何かが気になり、横を見た。
そこには小学生のころから使っていた勉強机が佇んでいるが、目線の先はそれではなく、上に乗っている真っ白な物体に向けている。
「……何、これ?」
ボクは真っ白な物体を観察してみることにした。
どうやら翼のようだ。だけど、羽毛でできているわけではないみたいだ。
ちなみに翼は小さく、手のひらサイズだ。
「おかしいなぁ……。 昨日はこんなの無かったはずなんだけど」
ボクはそう言いつつも、観賞用にしようかなと考える。
「まぁいいや。 優実にも見せてみよう」
それから部屋を出ていき、リビングで朝食をテーブルの上に並べていた母と、寝癖を立てながら椅子に座っている優実に先ほどの真っ白な翼を見せた。しかし、二人はどうやら、翼<朝食 みたいで、あまり興味を示さなかった。この二人には好奇心がないのか……?
仕方ないのでボクは一旦、部屋に戻り翼を置いてきて、朝食を食べた。汚したらダメだからね。
まぁそのあとは、適当に時間を潰して、時間になったら家を出て行った。
そのあと学校に行ったわけだが、特に変わったことは起きず、一日が過ぎて行った。
--終業式当日--
「じゃあ、私はこっちだから。またね~」
優実は中学生で、学校は勿論別の場所にあるが、ボクが通っている学校の近くの公園までは同じ道なので、いつも一緒に歩いている。ただ、優実は仮にも美少女だ。もしかしたら、傍目からはカップルに見えるのかもしれない。
公園で我が妹と別れた後、ボクは学校に向かって歩いて行った。
この後起きる災難を知らずに。
「椿さん! 僕と付き合って下さい!」
「好きだっ! 誰よりも君を愛しているっ!」
「俺は優羅さんを……」
はぁ……。
どうしてこうなった。
ボクは校門を渡り、生徒玄関に向かってたはずなんだけど……。
なぜか野郎どもが次々とボクに愛の告白をしてくる。
んあぁ!気持ち悪い! ボクは自分が女っぽいっていうのは理解しているけど、まさか野郎どもに告白されるとは思わなかった……。
「絶対に嫌ですっっ! っていうか第一ボクは男だっ!」
「ははは! 今更何を言っている? 君が男だということは知っている。 だが、性別の壁は壊すものなのだよ! さぁ、僕の愛を受け入れたまえぇ!」
……誰か助けてぇ~~
ボクはこの状況に耐え切れなくなり、目の前のキザ男を跳ね除け、一目散に玄関に逃げ込んだ。
玄関でも誰かがボクを呼び止めている気がしたが、そんなの無視して一気に階段を駆け上がり、教室に入った。……助かった。
教室内にはどうやらボクに告白してくる変態野郎はいなかったので一安心だ。
ボクが机に座ったと同時に朝のチャイムが鳴り、先生が入ってくる。
そして、先生はトレードマークである眼鏡をあの『ガリ○オ』の湯○風に人差し指で定位置に戻しながら、数々の連絡を伝えていく。
数十分程経ち、先生は最後の締めとばかりに、
「えー……。今日は終業式だ。そして、明日からは夏休みだ。夏休みだからといって変な行動をおこさないように! 火遊びなんか決してするんじゃないぞ。 ……そういえば、私は子供のころ火遊びをしてつい、木を燃やしてしまったのだが、その燃え方が実におm」
決め台詞を言おうとしたが、チャイムの音にかき消された。
その後、ボク達は終業式を無事に終え、SH後、教室から全力疾走で逃げ帰ったわけだ。
プロローグが終わらない……。
次には終わらせたいです。