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竜使いの鎮魂歌 ~空の覇権が人に移る時、少女と竜は空を翔ける~  作者: 春待 伊吹
第三章

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第102話「星渡りの盾」

敵爆撃機部隊を撃破し、ホニーは空母 《コタンコロ》へ帰還していた。

艦全体でも迎撃はうまくいき、戦果は上々だ。


ホニーは戦果報告のため、艦長室へと向かう。


「敵爆撃機16機を撃破しました。別働隊の10機は、こちらの迎撃態勢を確認して空域を離脱。追撃はしていません」


「テンペスト卿、戦果、確かに承知した」

シマ艦長はうなずき、ホニーの報告に一つ一つ目を通していく。

そして話題を切り替えた。


「して──旧霊都航空隊への援護について、だが」

一瞬、ホニーの背筋が強張る。


「……命令を逸脱した件、申し訳ありません。コタンコロの防衛が崩れる前に先に――」

考えていた言い訳を続けようとしたところで、シマ艦長が手を上げて遮った。


「テンペスト卿の判断に意義を唱えるつもりはない。劣勢に傾きかけていたのも事実である。

だが話の本題は、命令違反の咎めではなく――」

そこで一拍、シマ艦長の表情が柔らいだ。


「彼らを率いる“隊”を新たに編成してもらえんか、という打診だ」


「……新部隊、ですか?」


思いがけない話にホニーは目を見開く。


「旧霊都航空隊の残存兵、13名。全員がテンペスト卿の指揮下で戦いたいと志願してきている」


「え……」


ホニーは思わず声を失った。


「もちろん、正式に部隊を組むには承認が必要だ。だが上層部でも、テンペスト卿の単騎戦闘だけでなく、今後は小隊規模での運用が適しているという見解が出ている」


シマは言葉を継ぐ。


「航空戦におけるテンペスト卿の戦いぶりには、なぜか降霊術士の戦闘スタイルに非常に近い。」


「……はい。あれは、ジャスミンの影響です」

ホニーはコタンコロ 艦長シマにはジャスミンが憑りついている可能性が大きいことを伝えてある。


「霊都航空隊の降霊術士たちは、優秀だが配属の受け入れ先がなかなか決まらんのが実情でな。

彼らの行き場と、テンペスト卿の力。その両方を繋げるのが、今だと判断した」

ホニーは、しばし黙考した後、そっと口を開いた。


「私の隊があるのはありがたいです。ただ、降霊術士の方々は──少し距離を取る傾向があります。私と一緒にやりたいと本当に思っているのかは……」


「その件も心配ない」

シマは淡々と告げる。


「彼らからの希望だ。テンペスト卿の戦いぶりを見て、“取り憑いかれている”と確信したらしい。

帰艦後、直ちに私のもとへ来て志願した。テンペスト卿と戦いたい、と」


「そうですか……分かりました。」

ホニーは苦笑いを浮かべる。ジャスミンで慣れているとはいえ、降霊術士の上に立つ負担を思い描く。


「助かるよ。降霊術士の“個性的な”面々を預けられるのは、君くらいしかいないのでな」


「“個性的”、ですか……でも確かに。優しい人も多いです。……一人、すばらしい個性的な親友がいました」


「うむ。能力は高いが、個性的だ。……いや本当に、個性的でな」

お互いの苦労を想像し、思わず笑みが漏れる。


「部隊の面々は第二伝令室で待機している。すぐに顔合わせを頼む」


「了解しました」

ホニーは敬礼し、艦長室を後にした。



***


(私ほんとに隊をまとめられるのかな……)

第二伝令室へ向かう廊下で、ふと不安が胸をよぎる。


その背中で、ジャスミンの気配がふつふつと主張しているのを感じた。

怒っているのかと思いきや──どこか得意げで、嬉しそうで。

(……まさか、何か企んでる?)


扉の前で深呼吸をして、心を整えようとした瞬間。

「テンペスト隊長、どうぞこちらへ!」


勢いよく開いた扉に引きずられるように中へ案内された。


そこにはすでに整列した13名の隊員たち。

ホニーのもとに、かつてジャスミンの遺品を届けてくれた二人が進み出る。


「副長を務めます、アリサ・プーワ少佐です」

「同じく副長を務めます、セユホ・トッチョウ大尉です」


見知った顔ぶれに少し安心しつつ、ホニーは平常心を取り戻す。


「このたび、皆さんの隊長を務めることになりました。ホニー・テンペスト・ドラグーンです。よろしくお願いします」


『はっ! テンペスト隊長、よろしくお願いします!』


13人全員が、声を揃えて敬礼した。

その次の瞬間──


『我ら、“星渡りの盾”、テンペスト隊長のために!』


「……えっ!? 星渡りの、なに?」


ホニーが素っ頓狂な声を上げると、副長のプーワが平然と返す。


「星渡りの盾です。以前、前任のシャマン隊長より、隊名の使用についてはテンペスト隊長の同意をいただいていると──」


「……ジャスミンーーーー!!」


コタンコロの一室に、ホニーの叫びが響き渡った。



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