表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚刑事  作者: 肺腸
16/17

召喚刑事 15

 施設への侵入を果たした永倉は周囲を見回す、屋内とは思えないほど開かれた空間は


 エルフの統治するこの世界に来てから隔離されていた永倉にとって、見慣れることのない異様なものと映った


 螺旋状の外殻を持つ都市は、内部に入っても広く区画整理されておりドームを支える巨大な柱の一つ一つは樹木のように枝を伸ばして隣接する柱との通路を形成している


 その柱が巨大複合施設になっているのだが、こうしてその施設内に入っても天井は高く、通路というよりも空間の中に各部屋が点在するような配置になっていた。


 見晴らしは非常に良いが方向感覚を失いそうになる。いつまで経っても屋外にいるような感覚に襲われる。


 視線をリサリーから預かった警杖に向ける、扱い方が分からない以上これを警棒と同じ様に使っていいものかどうか判断に迷いが生じる


「あまり先走るな」リサリーの声と共に掌中の警杖が使い慣れた竹刀へと変化する。


 振り返る先にリサリーと義体の修理を終えたロゼの姿があった。


「鮫崎に対しては完全な俺個人の私怨だ。君たちを巻き込みたくはない」


 永倉の言葉にリサリーは軽く笑いながら答えた


「ここまでくれば、一蓮托生だ。鮫崎は私達で確保するぞ」


 リサリーの台詞にロゼの冷静沈着な声が続く


「そもそも永倉さんは警察病院の内部構造に詳しくはないでしょう。私とリサリー捜査官、永倉さんの間に閉鎖的リンクを張りますこれで傍受は難しい筈です」


「すまない、恩に着る」永倉の謝罪にリサリーは無言で彼の腕を叩き会話よりも行動を促す、三人の目指す先は鮫崎の右手の保管庫だ。



「キース主任が指揮する別働班は警備管理室に向かうでしょうから、敵の人員のほとんどは引き受けてくれるでしょう」


 外部からの操作は難しいが内部に侵入してからは通路を塞ぐ隔壁を一つ一つ解除するのはロゼの独壇場と言っても良いだろう、直接に術式回路を瞬く間に書き換えていき扉を開く。


 そのまま、待ち伏せもなく保管庫についたが、すでにそこに鮫崎の姿は無かった。


「右手は持ち出された後だ。ここで見失うようなことがあれば二度とチャンスはないかもしれない」リサリーの言葉に焦りと不安がまじる。


「鮫崎がこの場所に他に必要なものがなければそうなるだろうな」永倉の表情にも焦燥がうかがえる、二人の様子を見ながらロゼが云う


「ありますよ。鮫崎の望むものがここに。連邦国内に置いて十指に数えられる名医が」


「コルムか!確かに彼ならば異世界の人間の外科手術も可能だろうし、犯罪者相手でも好奇心を優先しそうだ。」リサリーは同郷の知人を思い浮かべながら


「連れ去るよりも、設備は申し分ない此処で今行われているはずだ。コルムが普段から詰めている部署から一番近い手術室は…」


「東棟の第四手術室と思われます」リサリーの疑問にロゼが推測を述べる


「コルム医師が普段から召喚生物の研究に使われている所です。術式に頼らない機材も揃っていると以前に自慢していたのを記憶しています」


「とにかく、行ってみよう」永倉は手になじむ竹刀を強く握り締めながらいった。


 時折、遠くで銃声や爆発音らしきものが永倉の耳に聴こえてきたが、リサリーはロビーに集められた人質の救出班が手こずっているのかもしれないという


 各病室は警報装置が作動した時点でロックされているので少なくとも患者たちが危険に晒されることはないだろうと思うしかない。


 手術室までの道のりは順調にすすんだが、そこいたのは腹部から出血し仰向けに倒れたのコルムだけであった。


 既に機能を停止した自律人形の義体が幾つか倒れているが他にコルム以外に生きている者は残っていない。


「コルム。大丈夫か」リサリーが素早く駆け寄り声をかける


「辛うじてね」弱々し声音であるが意識はまだハッキリとしているようだった


「異世界人がここに来ていただろう何処へ向かった」リサリーの問いにコルムは苦笑する


「少しは心配してくれよ…麻酔術式を掛けているが瀕死なんだから」


「異世界人は僕に右手の結合手術をさせた後、勧誘して来たのだけど、断ったらこのざまさ、恩を仇で返すとは文明レベルを疑うね」


「それだけ、軽口が叩けるなら問題ないだろう。奴は何処へ向かったと思う」


「この先が物資の搬入口につながっているおそらくそこだろう」


「先に行く」コルムの言葉に永倉ははじかれたように通路に飛び出していった、制止する暇もなかった


「いいのですか」ロゼが問うがリサリーはほんの少し眉をしかめ「永倉は信用するにあたう、私はそう思う」そう返して、コルムに話しかける


「私たちに出来ることはあるか?」


「幸いここは手術室だ、必要なものは揃っている。ただ手が足りなかった」


「助手の自律人形は壊されてしまったが疑似霊格は残っている。それをロゼとリンクさせて処置術式を発動させてくれ」


 指示するコルムの顔は既に蒼白で声も小さく聞き取りにくくなっている、リサリーは立ち上がりロゼに指示する


「施術を開始する」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ