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召喚刑事  作者: 肺腸
1/6

召喚刑事  プロローグ

久々の投稿です

水樹奈々の「NeverLetGo」

がイメージソングなので

お持ちの方は

ぜひ聴きながら

読んでください

敬称略


その夜は酷く寒い日だった。星も見えないほど分厚い雲が夜空を覆っていた、

車の外は身を切るような寒さであったがかろうじて雪は降ってはいなかった。車には二人の男が乗っている、

運転席に座り厳しい目を外に向けているのはメガネをかけた真面目そうな青年で

助手席には白髪混じりの髪と深いしわが刻まれたやや苦労人の風貌の年配の男。

二人は親子などではなく仕事の同僚だが、その夜は個人的な行動をとっていた

「永倉、非番の日にまで張り込みとは、よほど鮫崎をアゲたいようだな」

「村木さん奴がクロなのは間違いないんです。前回の四課との共同捜査で尻尾を出さなかったのはこちらの情報が漏れていたとしか思えません」

「それで上司にも相談せずに単独行動か?何かあったらどうするんだ」

村上と呼ばれた年配の男はメガネの青年、永倉に苦笑交じりにいう

「まあ、それに付き合う俺もたいがいだが」

「すみません、しかし誰を信用していいのか判らない状態では、俺の行動を知られるわけにはいかなかったので」

「まさか同僚を疑っているのか?」

村上の台詞に永倉は沈黙を通す、永倉はこの5年間で台頭してきた「鮫崎」という男を思い浮かべる。

「杜竜会」の構成員として突如といて現れ、小さな組織を数年で都心有数の暴力団へと造りかえ、幹部へと伸し上がった。

鮫崎自身はインドとの貿易会社を経営し、アンティークと称する中古家具を港の倉庫に溜め込み、

杜竜会は表向き警備会社としてそこの警備をしているのだが。

そんな建前だけの企業が収益をあげられる訳もなく、杜竜会の資金源は麻薬の密売で有ることは間違いがないのだが。

捜査四課へ根回しをし、囮捜査までしかけたにも関わらず、鮫崎の尾をつかむことはかなわなかった。

「鮫崎が動きます」

永倉の視線の先、オフィスの有る雑居ビルの地下駐車場から鮫崎の運転する高級外車が夜の街に走りだしていく。

その後を追うように村上は、自らの運転するレンタカーを滑り出させた。

二台の車はやがて郊外へと進み人気のない倉庫街に到着する。

「村上さん?」

鮫島の車のすぐ横に停車するレンタカーに、永倉が不審の声を上げる

「永倉。外に出てくれないか」

村上の顔色に何かを感じ取った、永倉はおとなしく外に出る。

鮫島は車にもたれかかる様にして、煙草をふかしていた。

明らかに市販品とは異なる、赤く染められたその煙草に向けられた視線に、鮫島は笑う

「気がついたか?、コレはウチ(杜竜会)の主力製品の『アサシン』さ。

一発決めれば2~3時間は高い集中力を持続できるし、2~3日に1本ぐらいだったら副作用や後遺症の心配もない。

用法要領を守ってさえいればこれほど役に立つお手軽な薬はないぜ」

「世間は、それを覚醒剤と云うんだ」

永倉の声は自分でも驚くほどかすれていた。

「俺も勝負時には使っているが、陽性反応がでるようなへまはしないぜ。

どうだ?お前も最後の一服に」

「何故です村上さん」

背後に立つ同僚に永倉はかすれた声をかけるが視線は鮫島から外すことはなかった、正面に立つ鮫島の手には拳銃が握られている。

永倉の疑問に答えたのは鮫島であった。

「村上さんのお嬢さんは今年大学受験で何かと物入りなんだよ。同僚だったら気を使ってやれよ」

「すまない…」

よわよわしい村上の声と同時に永倉の背に激しい痛みが襲う。

「グッ…」

横腹に刺さるナイフの確認し村上を振りかえると、脅えきった表情の男がそこに立っていた。永倉の知る同僚はもうそこにはいなかった。

ナイフをそのままに、痛みに耐え、永倉は鮫島を睨み据えた。

「どこまでも、屑野郎だな」

永倉の言葉にも鮫島は張り付けた笑いを外さない

「そういうなよ、俺もそこまで鬼じゃあないぜ、止めをさすの俺だ。お前さんも同僚に殺されるより、憎悪の向ける先がハッキリしている方がいいだろう?」

膝をつきながらも懸命に顔をあげる永倉の眉間を鮫島の持つ拳銃が狙う。

村上はその瞬間を見ないようにするためか二人から離れ、レンタカーのなかに引っ込んでしまっていた。

「言い残すことはあるかい」

「必ず報いを受けろ!」

永倉が叫んだ瞬間、二人の足元に光る図形が現れた。複雑な文様を描く光は柱となり内部にそのまま鮫島と永倉を内包したまま輝きを増す。

唖然とする永倉の前でまず鮫島が消えた、永倉の目の前に拳銃が握られたままの鮫島の右手が転がっている、

永倉がそれに手を伸ばし掴んだ瞬間、永倉の視界が暗転した。


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