けん玉
できません。
串刺しにして高く掲げるより
受け皿で掬いあげてやることのほうが
性にあってるし
小さな皿にうまいことのせてやったのを
得意がるより
こぼれおちないような 大きな皿で
あぶなげなく だきとめてやったほうが
あるいは ずっといいことだって思えるのは
ぼくの気のせいってわけでもないはずだ
だからぼくは これしかできないことを
恥じる必要もないし
いちばん大きな皿にとりこぼさないように
それがきちんとできれば
胸をはって生きていけるとさえ思う
さきっぽのとんがりで串刺しにできなくたって
小さな皿にうまいことのせてやれなくたって
べつにかまわない
いちばん大きな皿には わりとうまく
けっこうな たしからしさで のっけてやれるんだから
ぼくは それほど
けん玉がへたくそでもない
串刺し、できたことないや。