68話:領都奪還作戦2
翌朝、日の出とともに城壁に対する砲撃が始まった。
「では私たちの部隊は敵本陣へ侵入します」
私の号令で灰色の迷彩服を着た部隊16名と補給部隊20名が動き出す。
16名の構成はサブマシンガン部隊11名(ルーナ込み)とライフル兵5名だ。
私を入れるとライフル兵は6名か。
今回は砦への侵入ということで、緑の迷彩服ではなくお母様曰く都市迷彩と言っていたものを着用している。
石垣などに紛れ込めるため砦の中で目立ちにくいはずだ。
先行するのはサブマシンガン部隊、後方から私達ライフル部隊が支援し、私以外の5名のライフル兵は補給部隊の護衛となる。
補給部隊員4名にライフル兵1名という体制だ。
事前の密偵部隊の偵察の結果、砦の中の帝国兵は総勢1,000名程度に増強されているというが、弾薬だけなら総数10,000発は用意できている。
城壁から少し外れたところにある井戸から地下に侵入し暗闇の通路を進んでいく。
行きつく先は砦の武器庫。
ルーナが先行し安全を確認して皆で外に出る。
ここが第一拠点だ。
補給部隊はここで一時待機、攻撃部隊が先行して砦の中の掃討を開始する。
「敵を負傷させればいい!サブマシンガンの弾は十分にあるので気にせずぶっ放せ!」
武器庫を出てすぐに敵兵がおりサブマシンガンが火を噴く。
軽装だったのもあり敵兵士たちは一瞬で沈黙した。
「目標は掃討です!順次拠点を確保します!」
武器庫からでたら階段部に拠点を築きながら前進する。
敵が団体で来た場合サブマシンガンで倒せるのは前面のみなので、私は後方にいる敵を狙い撃ちする。
なるべく物陰や柱に隠れながら次々狙撃しては弾を補充する。
拠点を確保したら補給部隊を前進させる。
一部はさらなる弾薬を運搬すべく本拠地と往復させる。
「敵は重火器を持っている!銃で対抗しろ!ちかづけっ」
号令をかけている隊長格を狙撃する。
指示なんて出させない。
既に20人は打ち倒したか?
上の階から降りてくるもの、町からもどってくる帝国兵もハチの巣にする。
次から次へと湧いてくるが、次第にその勢いはなくなっていった。
「部隊を分けます。5名チームで砦内を制圧してください」
私の指示で砦内の掃討作戦を始める。
「ミリア様、敵が外で民を人質にしているようです」
間もなく砦が制圧できるかというタイミングで外の噴水がある広場に民が立たせられ銃を突きつけられているのが分かった。
確保できた砦の屋上へ行くと、確かに民に向けて銃を突き付けている帝国兵が20人ほど見える。
「直ちに攻撃を止めよ!さもなくば王国民は死ぬぞ!」
帝国兵が叫んでいるのが見えた。
「ルーナ、私が何とかします」
「サポートしますミリア様」
私がライフルを構える。
「敵将校、距離750、風速4、風向5時方向」
「了解…うちます」
パスッ
叫んでいた男が倒れ込む。
敵兵士が動揺しているがまだ誰も引き金を引いていない。
再装填した私は次々に敵兵士を撃つ。
民に狙いをつけようとしたもの、剣を抜いたものを優先的に。
逃げるなら後回しだ。
直ぐに次弾を装填する。
「弾薬の補給を!」
「はっ!」
私の後ろまで追いついた味方兵に補給を依頼する。
建物の影にならない限り確実にヤル。
「砦の確保ができたら街へ突入して!サブマシンガンで民を撃たないように注意!」
「はい!」
補給物資を持ってきてくれた支援兵に指示をする。
内部の掃討が終わったのかライフル部隊も私に合流した。
「砦から見える範囲だけでもこちらで倒します!各個帝国兵を狙え!」
私の号令で次々と見える範囲の敵兵を倒していく。
街の中からサブマシンガンの発砲音も響き始める。
だがそれも散発的だ…もうほとんど帝国兵は残っていないのかもしれない。
住民たちも帝国兵に反撃に出たらしくたまに突撃の号令のような声が聞こえ始め、ついに城壁の門が開いた。
べリリム騎士団が流れ込み、私達はそこで狙撃を止めた。
後は歩兵による掃討で戦いは終わる。
私の足元には数えきれない薬莢が転がっていた。
これは…戦果報告が面倒なことになるかもしれない……




