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5話:お母様、何を開発しているのですか…

王都から4日、ガリム伯爵領に入ってそのままタリムの町まで一直線で馬車を走らせてもらった。

馬車から眺めた限りだとタリムの町は少し活気がない。

わざわざ危険地域に旅行に来る観光客はいないだろうから当たり前か…意外と観光領収入ってタリムにとって大きいから今年の収入は激減かもしれない。


男爵家の時から変わらない2階建のタリム家につくと、すぐにお母様と妹が出迎えてくれた。

「おかえりミリア、長旅ご苦労様」

「ただいま帰りましたお母様。それにアイシャも元気そうね」

「お姉様も元気そうでなによりだわ」

お母様は見事な赤毛のロングヘアだが、私と妹のアイシャはお父様に似たのか見事なブルネットのストレートヘアだ。

似ているのは目つきと瞳の色かな。

思ったよりも2人とも元気そうで安心した。

「最近はアイシャにも書類仕事を手伝ってもらっていてレイ君がいない穴を埋めてもらっているの」

「アイシャは昔から頭が良かったからそういうの得意そう」

「お姉様は学校でも射撃をやってらっしゃるんでしょ?私はからっきしだから向き不向きですわね」

「全くその通りね…私、税収報告書とかいまだに見てると眠くなるし」

「ミリア様はもう少し子爵令嬢としての矜持をもって頂きたく思います」

ルーナに小言を言われてしまった。

しょうがないじゃない、子供の頃から勉強も頑張ったけれど苦手なものは苦手なのよ。

「まぁミリアはミリアだからあまり責めないであげてルーナ」

「身体能力が高ければ騎士としての道もあったと思いますよ奥様」

グサァ

ルーナの会心の一撃、私の精神力は0よ…

数字を読み解くよりも体を動かす方が好きと言っても、私は運動神経が終わっている。

お母様から「運動音痴(うんち)ね〜」なんていわれる程度に運動ができない。

木刀を振れば強かに自分の足を打つ程度ではダメダメだ。

ルーナは逆にその辺りがとてもすごい。

短剣一つで家の騎士をうち取れる。

ルーナはメイドとして以外にも私の護衛としての役割も持っているのだ。

すごいメイドなのだ。

「まぁ私に似て射撃が上手いからいいのよ。2人とも着替えたら私の部屋に来なさい。渡したいものがあるから」


お母様に言われた通り私たちはひとまず着替えをしてお母様の部屋に向かう。

また何か開発したんだろうか?

今私が使っているマスケットのバイエルン銃だってお母様が開発に携わっている。

私からすれば射程300mもあるなんて凄い銃だって思っていたけれど、お母様は不満らしく、ずっと何かをやっていた。

「来たわね2人とも」

「はい、お待たせしましたお母様」

「ところで、ミリア。あなた戦争に出たいと思っていて?」

いきなりそんなことを聞かれて思わず目が点になってしまう。

そりゃぁ私の銃の腕を試したいって思いはあるし、このタリムを守るというのも貴族としての仕事だとおもってるから出られるものなら出てみたいけれど…

「令嬢である私でも戦場に出られるのでしょうか?」

「つい先日までならNOと言ったわね」

「今は違うと?」

「王国からの通達よ。兵士が足らないから貴族なら女性でも使えるものを使えってお達し」

なんとまぁ…そりゃ兵士の育成って大変よ?

前までは農閑期とかに農民や市民を引き連れて槍を持たせとけばいいみたいな感じだったと聞いているけれど、今は銃が使えないといけない。

銃の扱いは1日2日で習得できるものじゃないから、兵士が足りていないのかも。

「そりゃぁタリムのために戦うってのはやぶさかではないけれど…」

「大丈夫よ。うんちなミリアのために新しい銃を開発したから」

そりゃーさっきからお母様の後ろに鎮座しているマスケットとは違う形状の銃は気になっていたけれど、それ私用なのね?

あとさらっと”うんち”なんて言わないで…運動音痴なのは事実だけれど略さないでお母様お願い。

「ルーナにも渡したいものがあるから、あなたもこちらにきなさい」

「は、はい奥様」

私の後ろに控えていたルーナを私の横に座らせたお母様は後ろに置いてあった銃をテーブルの上に持ってくる。

「これはスナイパーライフルと言います。

 便宜的にマザーKar98とでも呼びましょうか。

 ボルトアクション式でバレルにライフリングを施してある銃…最大有効射程は1000〜1500mってところかしらね」

私もルーナも目を見開く。

待ってお母様、なんてものを開発しているの!?

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