29話:敵奇襲部隊撃滅
先の戦いで使用した弾は5発。ルーナから1箱もらい、残っている弾数は30発ある。
ルーナが確認した限りでは、敵奇襲部隊は総勢100名。
全員を倒すことは不可能だけれど、5人隊隊長と全体統括の部隊長を合計すれば約20発もあれば足りる。
ぎりぎりの計算だけれど数発は当たらなくても許されるだけの余裕はある。
「ミリア様はここでとどまってください」
「ここから狙えるかしら?」
「奇襲をするのにわざわざ余計な体力を使うようなことはしないと予測します。であれば通るのはなるべく平坦な土地、今私たちがいるちょっとした高台から木の後ろなどに隠れて狙撃すれば見つからないのではと思います」
「そうね…じゃあルーナ宜しくね」
「ミリア様もご無事で、無理なさらないでくださいね」
そうしてルーナは全力で林の中をかけていく。
森ほど木も密集していないのであっという間に距離が離れていった。
それを確認した私は箱から弾をすべて取り出し5発ずつポケットに突っ込む。
この服ポケットがいっぱいあって助かる。
ライフルにはすでに5発分装填済み。
そして背負いカバンを下ろして茂みの中に隠す。
これは移動したときに余計な音が出ないようにするため。
ルーナから教わった隠密活動の基本なのです。
余計な荷物はどんなに注意しても音が出る。
だから必要最低限にする。
ギリースーツを完全に着込んで、なるべく林の中を見渡せる位置にて伏せて陣取りスコープを覗く。
まだ人影はない。
自然の音と私の呼吸音だけが聞こえる時間がしばらくたつと、カチャカチャという鎧がぶつかる音が聞こえ始める。
音のする方にスコープを向ければ辛うじて視認できる帝国兵を確認できた。
予測通り100名規模、まだ距離は2kmはある。
私が必中できるのはせいぜい500mが限度、もう少し引き付けないといけない。
接近してくる間に身なりの良い敵兵士を探す。
それが将校…隊長格のはず。
数名の将校を見つけその中でも一番身なりのいいものに狙いをつける。
邪魔になる木々があるが、大丈夫タイミング次第だ。
パスッ
射線上にちょうど入った帝国兵を撃つ。
血が、飛び散る、次。
パスッ パスッ パスッ パスッ
事前に確認していた将校を次々と撃つ。
5発撃ち切ると私はポケットに手を突っ込んで弾を取り出し再装填する。
敵側は既に混乱しているのか怒声、罵声が入り混じっている。
誰一人此方に気が付いていない。
じりじりと伏せたまま向きを変える。
いま隊をまとめようとしているのはアイツか…
パスッ
悲鳴を上げる暇もなく頭が消し飛ぶ。
ライフルの弾は兜をやすやすと貫通して敵の顔面を消し飛ばす。
既に敵との距離は300m前後、確実に頭を狙える。
パスッ パスッ
敵が明後日の方向を捜索し始める。
このサイレンサー…消音機は気配を消せるだけでなく敵に射撃位置を誤認させる効果もあるとお母様から聞いていたけれど、その影響かもしれない。
全く発射音がしないわけではなく”パスッ”っという音は鳴る。
林の中での反響も有るんだろうけれど私には誰も気が付いていないようだ。
パスッ パスッ
部隊をまとめようと動く者に次々と狙いを定めて引き金を引く。
一部の下っ端の兵が命令を無視し始め帝国軍側へ逃げ帰っていく。
それでも私は引き金を引き続ける。
パスッ
これで10人、私はまた再装填する。
敵は完全には撤退していない。
弾を撃ちきるまで私は射撃を止めない。
接敵から30分ほどたっただろうか、敵が潰走した。
撃った弾は25発、ぎりぎりだった。
完全に敵が撤退したのを確認して私は起き上がる。
全身びっしり汗をかいていてすごく不快感がある。
手袋をはめて薬莢を回収したら隠しておいたかばんを背負いなおして私は本陣へともどった。




