27話:困惑する帝国軍(帝国軍視点)
side:帝国軍
「これは、どういうことだ!!!」
帝国軍司令部天幕では1人の将軍が大声を上げ机を殴りつけていた。
先日突如として物資輸送の護衛任務についていた部隊の隊長が2人も殺害された。
1人は頭が突然爆発したという。
もう1人は胸から突然血が噴き出て倒れた。
護衛していた兵士たちは理由がわからず慌てた1人がここへ伝令に来た。
確認のため一部隊を護衛に出せば、恐慌状態の馬車群を見つけ、その後無事に物資を届けた迄は良かったが、突如倒れた隊長達は明らかに"撃ち倒された"状態にあった。
甲冑の兜やブレスプレートを貫通した穴がきっちり残り、たった1発の銃撃で倒されていた。
ただ、銃声を聞いたものは誰もない。
突如隊長が倒れたため、周辺を探していた兵たちも、この未知の銃撃者を発見できなかった。
かなり森の奥まで探索したというのにだ。
そして今日、この天幕に到着したのは護衛隊の隊長からの報告ではなく、一兵卒にすぎない若年兵からの伝言。
交代予定の100人隊の隊長も含め5人もの隊長格が銃撃された。
おかげで怯えた新兵は指揮官を失い潰走、護衛がいなくなった馬車の御者達もそれに続いて帝国本土にある駐屯地へ引き返してしまったというのだ。
まだ到着はしていないだろうが、翌日物資を持ってくる部隊とはもう合流しただろう。
そちらの隊長どもがちゃんと指揮をできれば明日には2日分の物資と補充の兵がくるだろうが…
「一体何が原因だ!森をくまなく捜索したのか!!!」
「は、兵がいうには街道周辺100m程度を基準に虱潰しに捜索したとのことですが異常は発見できなかったと」
「敵兵を見つけられなかったというのか!」
「現状我々には確認のしようもありません…よもやアルミナ王国の魔女、ミシェル・タリムでも潜んでいるのでしょうか?彼女は貴族夫人ですよ」
ミシェル・タリム。
300m以上の射撃を100発100中させる女。
帝国にもその情報は入ってきていた。
射撃の名手。
通常100m先の的に当てられれば一流と言われる銃をつかって、その3倍の距離で必中を出す魔女。
それこそ魔法でも使っているのかと言いたくなるその技能からついた名前がアルミナ王国の魔女である。
だが奴は貴族夫人だ。戦場に出てくるなど考えられない。
せいぜいが安全な湖畔で開かれる狩猟大会ぐらいなもの…
「魔女であろうがなかろうが、同じだけの技能を持つ者が潜伏している可能性を考えろ。捜索範囲を広げるのだ」
「はっ!」
伝令に指示を出し私は椅子に座り直す。
第二皇子殿下の命でこの戦争が始まったが、思ったように進軍できておらず督促書簡だけが届いている。
何をしている早くアルミナ王国領を奪い取れと。
現場にも出て来ずに何をと言う奴だが、占領地域は私の好きにしていいと言われているからしたがっているようなもの…
なんとか兵の補充を進め一気に形成逆転しなければならないが…突如現れた森に潜む悪魔。
こいつをなんとかしなければアルミナ王国側の反撃準備が整ってしまう可能性が高い。
そろそろ本格的に作戦会議を行い王国兵を蹴散らす作戦を立案しなくてはならなそうだな…




